製造業における生産性とは?製造業の4つの生産性を解説

製造業における生産性とは?製造業に関わる4つの生産性を解説

製造業における生産性とは?製造業の4つの生産性を解説

製造業において、生産性は重要な指標の一つです。生産性とは、投入したリソースに対してどの程度の成果が得られたかを示すものであり、多くの企業が生産性の向上を目指し、日々努力を行なっています。

しかし、近年は人材不足やデジタル化の影響などから、生産性に伸び悩む企業も多いです。生産性向上を目指すためにも、今一度、生産性について見直してみる必要があるでしょう。

生産性は何によって決まるのか。製造業における生産性について紹介します。

製造業における生産性とは?

製造業において、生産性とはどのようなことを指すのか。生産性について改めて考えてみましょう。

生産性の種類

生産性とは、生産活動の効率性を示す指標のことです。「投入したリソースに対してどのくらい結果が出たのか」によって決まることから「成果 ÷ 投入」で求めることができます。

また、生産性は投入するリソースによって変わってきます。同じ個数を作ったとしても、人員で見た場合と時間で見た場合では、生産率は全く変わってくるでしょう。

そのことから、生産性の評価は複数の視点から見ることが大切です。特に、製造業では人員(人)、資源(モノ)、資金(金)の要素から評価することが多く、それぞれ「労働生産性」「設備生産性」「資本生産性」として評価しています。

製造業における生産性の考え方

製造において、生産性はとても大切です。生産数が多ければそれだけ商品となり、企業の利益につながります。そのことから、生産数を増やすことを目的とする企業は多いといえます。

しかし、実際には生産数が大幅に増加することはほとんどありません。そのため、増加だけではなく、生産量を維持することも重要になってきます。

また、生産性は「物的生産性」「付加価値生産性」の2つに分けて考えることができます。「物的生産性」とは生産した数や大きさなど物理的に計測可能な量の指標であるのに対して、「付加価値生産性」は生産物の付加価値を評価します。

付加価値とは、「本来の価値に企業ならではの価値を付与する」ことです。製品に対して、安全性や丈夫性、信用性などを付与することで、本来の製品よりも価値が上がり、高く売ることができます。

生産性を評価する際は、ただ生産量にだけ目を向けるのではなく、品質を始めとした付加価値についても、評価することが大切です。

製造業における生産性の種類

生産性には、主に以下のような種類が存在します。

労働生産性

労働生産性は、労働者1人あたりが作業した際に、どの程度の成果を生み出せるかを測定する指標です。「生産量 ÷ 労働者数」で求めることができ、数値が大きいほど、労働者1人当たりの成果が大きいことがわかります。

また、労働生産性は1時間当たりの成果で見ることも可能です。「生産量 ÷ (労働者数 × 労働時間)」で求めることができ、数字が大きいほど、時間当たりの成果を評価できます。

生産性にはほかにも種類がありますが、最も活用されるのが労働生産性です。生産性といえば労働生産性を指す場合も多いので、労働生産性だけでも覚えておきましょう。

関連記事

「労働生産性」という言葉を聞いたことはありますか。大まかに説明すると、「コストに対する成果」を示す指標の事であり、労働生産性が良ければ、それだけ、低コストでより多くの成果が出せたことを意味します。 ローコストハイリターンの考え[…]

製造業における労働生産性の現状と労働生産性を向上させる3つのメリット

設備生産性

設備生産性は、投入した設備に対して、どの程度の価値を生み出せるかを測定する指標です。大まかに説明すると、効率よく設備が使えているかを示す指標といえるでしょう。

「付加価値額 ÷ 有形固定資産」で求めることができ、数値が大きいほど、企業の設備がどれほどの付加価値を生み出しているかがわかります。

資本生産性

資本生産性は、投入した資本(土地や資産など)に対して、どの程度の利益を生み出せるかを測定する指標です。大まかに説明すると、投入した予算に見合った成果が出ているかを示す指標といえるでしょう。

「営業利益 ÷ 投下資本」で求めることができ、数値が大きいほど、企業の儲けが出ているかがわかります。

資本生産性と設備生産性は、どちらも投入された資源に対する成果を評価しますが、それぞれ対象とする資源が異なります。設備を対象とする場合は設備生産性、資産を対象とする場合は資本生産性と覚えておきましょう。

人時生産性

人時生産性は、労働者1人あたりが1時間作業した場合に、どの程度の成果を生み出せるかを測定する指標です。「粗利益高 ÷ 労働時間」で求めることができ、数値が大きいほど、1時間当たりの労働成果が大きいことがわかります。

労働生産性と似ていますが、人時生産性は従業員1人の1時間当たりの成果に対して、労働生産性は投入した労働量に対しての成果を評価します。

大まかな使い分けとしては、人時生産性が個人に対しての評価。労働生産性が工場全体に対する評価といえるでしょう。

製造業の生産性が低下する主な原因

生産性が低下する原因はさまざまですが、その中でも、特に生じやすい要因をいくつか紹介します。

作業ミスによるロス

作業ミスが多いと、生産性が低下します。作業ミスの対応に人や時間が割かれてしまい、その結果、ほかの作業が遅れてしまうからです。

場合によっては、前工程が停止することで、後の工程に大きく影響を与えることもあるでしょう。

大停止はもちろん、小停止であっても数が多ければ大きな遅延となります。生産性を下げないためには、些細な作業ミスでも起こさないことが大切です。

業務の標準化の不足

業務の標準化(マニュアル化)ができていなくても、生産性は低下します。標準化が不足していることで、作業者ごとに生産にバラつきができてしまうからです。

同じ物を作るにしても、ベテランと新人では生産速度に差があります。新人が一つ作る間に、ベテランは複数個作ることが可能です。製品の品質にも、大きな違いが生じるでしょう。

しかし、業務が標準化していれば、新人であってもベテランと同じように作業ができます。人によって多少の差はありますが、おおむね同じ個数を生産可能です。

また、作業しやすいよう標準化できていれば、作業ミスも減らせるでしょう。工程が少ないほど、作業は単純となり間違いにくくなります。

ほかにも、業務の属人化を防ぐためにも標準化は必要です。属人化された業務はほかの人が作業できず、増員をするのが難しくなります。

誰を増員しても同じ数を生産できるよう、業務は標準化しておくことが大切です。

人材や時間の不足

人材や時間が足りなくても、生産性は低下します。人材と時間が足りないと、満足に生産が行なえません。

また、人材や時間が足りないことで、満足に教育や訓練ができません。その結果、未熟なまま実戦投入され、作業ミスなどのトラブルが生じてしまいます。

ほかにも、後継者が育たないことで品質が低下し、企業の信用を損ねる結果にもなるなど、人材や時間の不足は、企業の将来性を閉ざすことにつながります。

生産体制を拡大するためにも、人材や時間の確保は必須といえるでしょう。

コミュニケーション不足

コミュニケーション不足も、生産性が低下する要因の一つです。連携がうまくいかないことで作業に遅れが生じ、生産速度が落ちてしまいます。

また、連携がうまくいかないと、作業ミスもしやすくなります。対応に人材や時間を割くことで、さらなる遅延となるでしょう。

製造業における業務には、他部門と協力する業務が多くあります。連携に手間取らないよう、スムーズな情報伝達と、適切な情報共有が望まれます。

管理不足によるロス

管理不足も、生産性が低下する要因の一つです。需要予測や在庫管理に不足があると、作り過ぎや在庫切れといった、生産のムダが生じます。

トヨタ自動車では、製造現場におけるムダとして、作り過ぎのムダを挙げています。一見するとムダではなさそうですが、納品されない製品を作るのは人材や時間のムダでしかありません。

在庫切れに関しても、販売する機会を喪失する結果となるでしょう。

ほかにも、工程管理が不十分であることでボトルネックが生じたり、シフト管理が不十分であることで人材不足が生じたりなども挙げられます。

製造のリソースを効率的に使うためにも、ムダのないしっかりとした管理が必要です。

製造業における生産性を向上させて得られるメリット

生産性の向上により、以下のようなメリットがあります。

利益を大きくできる

生産性が向上することで、企業の利益を大きくできます。単純に生産性が良くなればたくさん製品が作られ、その分を売却できるからです。

また、標準化や生産管理がしっかりできていれば、作業ミスや在庫不足といったトラブルを減らせます。生産のコストを抑えることでも、利益を大きくできるでしょう。

ほかにも、製品に付加価値が付くことで販売の機会が増えるなど、さまざまな形で利益に影響してきます。

コストを削減できる

生産コストを削減できるのも、生産性向上によるメリットです。作業の効率化や標準化により、人件費や原料費などのコストを減らせます。

また、ムダな作業や工程を減らせれば、人材や時間といったリソースに余裕ができます。新人教育や付加価値の開発といった別の業務に回すことで、企業の将来性を保つことにもつながるでしょう。

生産性の向上は、ただ利益を増やすだけではありません。企業に余力ができることで、さらなる発展が見込めます。

高い品質を維持しやすくなる

生産性の向上により、品質の向上や維持もしやすくなります。標準化によって技術が均等になり、個人差がなくなるからです。ベテランの技術を標準化することで、新人でも高いレベルの製品が作れます。

また、デジタル技術の導入も品質の向上につながります。自動化によってヒューマンエラーによる作業ミスも減少し、管理不足によるロスを減らせるでしょう。

品質の維持は、企業の信用を守るために重要な要素です。品質の良さをブランドの価値とするためにも、生産性の向上は必要となります。

人手不足の対策ができる

生産性の向上は、人材不足対策にもなります。標準化によって作業のムダが減り、従来よりも少ない人数で生産が行なえるようになるからです。

また、工場のデジタル化が進むことでも人材不足は解消されます。従来の仕事をAIやロボットが担当するようになり、人の手が必要なくなるでしょう。

近年は、少子化の影響により労働人口が減少傾向にあります。新人が確保できず、規模の縮小を余儀なくされる企業も少なくありません。

人手不足を解消するためにも、標準化や生産管理システムなどによる対策が必要といえます。

まとめ:生産性の理解が製造業の成長を支える

生産性とは、生産効率を表す指標の一つです。物理的生産性が高いほど効率よく生産ができ、付加価値生産性が高いほど企業の利益が高まります。

生産性が低下する主な原因は、生産体制に余裕がないからです。人材や時間が不足することで作業員の負担となり、作業ミスを誘発させてしまいます。

ほかにも、教育ができる余裕がなかったり、標準化する暇がないなど、生産体制に無理が生じていると、生産性が低下するといえるでしょう。

生産性を向上させるためには、生産に余裕を持たせることが大切です。そのためにも、生産管理システムの導入などを行ない、生産体制を見直してみてください。

生産管理システムの選び方「37のチェックポイント」無料でプレゼント!
「生産管理システムの選び方 37のチェックポイント」を無料でダウンロード!
多品種少量生産、試作、特注、一品物など種類が増えるほど管理が煩雑になり、生産管理システムを導入する会社が増えています。
自社に最適な生産管理システムを選ぶためのポイントをまとめた「生産管理システムの選び方 37のチェックポイント」を無料でご提供いたします。このチェックリストは、システム導入の際にRFP(提案依頼書)を作成するためのガイドとしても活用できます。自社のニーズに最適なシステムを見極めるための基準を明確にし、提案を受ける際の比較検討に役立ちます。生産管理の効率化と成功への第一歩を踏み出しましょう!

生産管理システムの選び方「37のチェックポイント」無料でチェックリストをダウンロードする