大手鉄鋼メーカーである株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所は、大規模な銑鋼一貫製鉄所であり、自動車や家電製品、船舶などに使われる高品質・高付加価値の鉄鋼製品を国内外に送り出しています。また、鉄鋼の生産に伴って生成される鉄鋼スラグは、セメント、コンクリート用砂などの代替品、道路・土木・港湾などの工事資材として幅広く使用され、天然資源・地球環境保護・保全に役立っています。
加古川製鉄所で製造した鉄鋼・鉄鋼スラグ製品のほとんどは船舶によって出荷されています。製銑部 資源循環室では、取り扱っている鉄鋼スラグ製品を「いつ」「どの出荷岸壁(バース)で」船積み出荷するのか計画立案、調整をしています。
この計画立案、調整業務において、2022年から生産スケジューラFreely(フリーリー)を有効にお使いいただいており、今回は、従来の業務における問題点・課題、導入に至った背景・経緯、課題解決方法、今後の展望などをお伺いしました。
インタビュイーとして、株式会社神戸製鋼所 加古川製鉄所 製銑部 資源循環室 唯井室長、児島様、金川様にお話を伺いました。
2014年に日本コンピュータ開発に入社。中小製造業向けの受託開発案件を経て、大手インターネットサービス企業でのアプリ開発案件を経験。現在は、生産管理システムパッケージソフトの立ち上げメンバーとして、提案~開発、マネジメントと幅広い分野に従事している。
2022年10月から地方Uターン制度により、故郷:北海道で在宅勤務を開始。
計画立案調整会議をホワイトボードを利用して実施しており、情報の転記作業としてのムダや転記の抜け漏れが発生していた
会議中の変更内容をホワイトボード上で加筆・変更していたため、その都度中断を余儀なくされていた
ファイル取込/出力機能により、転記作業時間削減!
45分→0分
抜け漏れも解消!
ドラッグ&ドロップの簡単操作でスムーズに会議進行が可能!
ドラッグ&ドロップの簡単操作でスムーズに会議進行が可能!
神戸製鋼所様の加古川製鉄所 資源循環室では、需給担当者が各担当ごとに対象の船便の出荷日(船積する日)を Excel で管理しています。このExcelは1か月単位で作成されており、どの出荷岸壁で船積するのかは決まっていない状態です。
出荷岸壁と出荷日を確定するために、出荷計画立案会議が週に一回実施されるのですが、この会議にてホワイトボードが利用されていました。
会議の前には各需給担当者が Excel の情報をホワイトボードに転記し、そのホワイトボードの情報を基に会議を進行。
会議で議論される内容には、加筆だけでなく、内容の変更もあり、その都度消しては書き加えるというアナログ的な運用をしていたため、どうしても情報を変更し終わるまで会議を中断して待つ必要がありました。
さらに、会議終了後には会議で決まった内容を各需給担当者の Excel に転記する手間が発生していました。
無料お試しプランで Freely をご利用いただく中で、実際に使ってみた感想として、シンプルな機能で分かりやすく、誰でも使えそうな UI であるというご意見をいただきました。また、データ連携もシンプルで、運用していた Excel との連携が容易に実施できたことも良かった点として挙げていただきました。
ユーザ数も十分で、機能的にも使えそうな一方、導入コストは手が出やすい価格帯で、費用対効果も高いとのことでした。
ただ、元々 Freely が「生産スケジューラ」として、製造業における工場の製造ラインや人の計画を想定していたこともあり、加古川製鉄所様のご要望の計画立案業務である船舶での出荷日や出荷岸壁の計画立案業務に対して導入するには、どうしても変更したい機能ややりたいことがいくつかあるとご相談をいただきました。
導入検討段階でのフィット&ギャップを測るための要件定義のフェーズにて、ご要望をお伺いし、実現可否も含めた可能な限りでの機能の拡張・変更のご提案をしたところ、課題解決を実現するツールの導入に繋がり大変喜んでいただき、Freely導入に踏み切っていただきました。
Freely 導入前の課題として、「計画立案会議におけるホワイトボード運用による転記のムダ、抜け漏れ、議論の中断」がありました。
Freely のファイル取込/出力機能により、会議前に準備のために転記していた時間15分と会議後に元の Excel に情報を転記していた時間30分がともに0分となり、会議一回の前後に対して45分の時間の削減に成功しました。また、転記をファイルによる入出力で行なうため、手書きによる転記ミスなどのヒューマンエラーを無くすことにも繋がりました。
さらに、会議中の計画変更においても Freely上のカードをドラッグ&ドロップするだけですぐに反映が可能なため、ホワイトボードの情報を消して書き直す間の待ち時間というムダな時間を削減し、円滑な会議の実現にも繋がりました。
会議前後の45分だけで考えても、1年を約52週間として年間で2,340分(39時間)以上の時間を確保することになるため、導入後の費用対効果にも大変喜んでいただいています。
また、コロナ禍によりテレワークが進み、物理的なホワイトボードを利用した会議が難しい状況にもなりましたが、クラウドサービスであるFreelyを利用し、同じ場所に集まらずに会議が出来た点も導入効果があったと仰っていただきました。
今後の検討課題として、各需給担当者もFreely を利用して、1ヶ月単位で運用しているExcel を無くたいと考えられています。この運用を実現するために課題がいくつかありますが、ご状況をお伺いしながら継続してサポートさせていただきます。
他にも計画立案会議にかかる時間を短縮したいというご要望もお持ちで、そのためには議論自体の時間を短縮するという課題がございます。この課題を解決する手段のひとつとして、AIを導入して適切な計画を自動で立案する機能などによって、その計画を基に議論できるようになることも期待されています。