5Mとは?製造現場の管理に必要な5つの要素「5M」

5Mとは?製造現場の管理に必要な5つの要素「5M」

5Mとは?製造現場の管理に必要な5つの要素「5M」

製造業において、品質管理はとても重要な要素です。顧客は優れた製品を求め、その信用に応えるためにも、企業は安定した品質の製品を提供する必要があります。低品質の製品を提供するようでは顧客からの信用は低下し、結果として経営のピンチに陥るでしょう。

そのような事態を防ぐためにも、5Mを意識した取り組みが必要です。5Mを基準にして製造を見直すことで、問題点が見つけやすく、改善案も立てられるようになります。

5Mとは、どのような要素のことを指すのか。5Mの意味や、類似のフレームワークについて紹介します。

5Mとは?:製造業における生産の5要素を用いたフレームワーク

5Mとは?

5Mとは、製造業において必要とされるフレームワークのことです。製造には主に5つの要素が関係すると考えられており、その影響によって、品質や生産性などの結果が変わってきます。
そのことから、生産管理を管理する際は、5Mを基準にして考えると上手くいきやすいです。品質改善をする際にも、5Mを基準にして見直すことで、効率的に問題解決ができるでしょう。

Man(人)

人とは、製造に携わる従業員のことです。製造現場で働く作業員はもちろん、資材を運ぶ運送業者、新しい製品を作る研究者、総合的な統括をする管理者など、すべての従業員を指します。

製造業は技術が必要な業種であり、技術の差による影響は大きいです。たとえ機械を用いたとしても、操作は人が行うため、新人とベテランでは結果が大きく変わってきます。

また、作業者の体調やモチベーションも、製造には大きく影響します。長時間労働によって疲れた状態では、正しい判断ができず、ミスを頻発させてしまうでしょう。

他にも、シフトによる影響も関係します。近年は人手不足が問題となっていますが、人手不足の状態では業務がままならず、生産性はもちろん品質にも影響してしまいます。

それら人による問題を解決するためにも、一人ひとりへの働きかけや、働きやすい環境づくりなどが望まれます。

Machine(機械)

機械とは、設備のことです。製造機械はもちろん、整備をするための工具、材料を運ぶためのトレーラーなど、製造に関係するすべての設備・道具を指します。

当然ですが、設備が古いままだと、生産性は低下します。不良品の発生も多くなり、品質低下にもつながるでしょう。安全性も低下することで、従業員が怪我をするかもしれません。

もちろん、メンテナンスも重要です。最新機器であっても、メンテナンスを怠れば故障の原因となるでしょう。

また、近年ではデジタル技術も導入されており、セキュリティ対策も必要です。セキュリティが甘いと簡単に不正アクセスされ、大切な企業情報が抜き取られてしまいます。

他にも、環境を意識する必要があります。作業をしやすいよう動線を意識した配置をしたり、異物混入を防ぐために清掃を徹底したりなど、工場全体も設備の一部といえるでしょう。

それら機械による問題を解決するためにも、最新設備の導入やデジタル意識の改善、さらには、3S(整理・整頓・清掃)を意識した取り組みなどが望まれます。

Material(材料)

材料とは、原材料のことです。製造に使う資材だけではなく、機械を動かすための燃料(電気)、次工程へと回す仕掛品など、製造に使うすべての材料・消耗品を指します。

良い製品を作るためには、良い材料を使うことが大切です。品質が悪い材料では、低品質の製品しか作れません。良い製品を作るためには、耐久性、扱いやすさ、重量、質感など、製品に適した材料を選ぶ必要があります。

また、在庫管理も重要な要素です。いくら良い材料を用意できても、管理がずさんだと、錆びたり濡れたりなどで品質は低下してしまうでしょう。折角の高品質な材料を用意しても、これでは意味がありません。

他にも、管理体制も意識する必要があります。在庫状況が分かっていないと、材料が足りず生産が止まってしまいます。逆に多すぎた場合は過剰在庫となり、倉庫のスペースや管理コストを圧迫するからです。

それら材料による問題を解決するためにも、品質の安定化や在庫管理の見直し、在庫状況の見える化を目指した取り組みなどが望まれます。

Method(方法)

方法とは、作業手順のことです。基本的な製造手順はもちろん、指示書の作り方、設備の操作手順、安全対策など、製造に関係するすべてのやり方や流れを指します。

製造方法が統一化されていないと、製本の品質は統一されません。自己流によって作り方が変わり、丁寧さも変わってくるからです。「なぜ必要なのか」が分からないことから作業を省略してしまい、品質の低下や安全性の低下へとつながります。

また、属人化もしやすくなります。製造方法が他の人では分からず、担当者が休んでしまうと、業務に甚大な影響を与えてしまうでしょう。

他にも、トラブルが生じた際の対応策も必要です。別の方法でも製造ができるのかや、火災が生じた際の対策など、生産についてはもちろん、安全対策についても事前に検討する必要があります。

それら方法による問題を解決するためにも、作業手順の統一化やマニュアルの作成、分かりやすい指導方法の実施などが望まれます。

Measurement(計測)

計測とは、精度を高める方法のことです。品質の測定、原材料の測量、技量の測定、エラー検知など、製造に行われるすべての計測方法を指します。

当然ですが、計測ができていないと、まともな製品は作れません。規格が合わなければ使えませんし、分量が間違っていたら製造に失敗してしまうでしょう。識別も不確実なら、不良品を見逃してしまいます。

また、正しい計測をするためには、技術や設備も必要です。低レベルな技術や設備のままでは、正しい結果は出せません。

それら計測による問題を解決するためにも、技術の向上や設備の新調、製造に適した検査方法の導入などが望まれます。

品質管理における5M+1E

製造現場・業種によっては、5Mではなく、「5M+1E」と表現する場合もあります。5Mは同じ内容だと予想がつきますが、1Eとは何を指すのでしょうか?

1Eとは?

1Eとは、Environment(環境)のことです。温度、湿度、気圧など、製造環境に関係するすべての条件のことを指します。

現場環境が悪いと、品質管理もままなりません。結露による腐食や虫食いといったように、二次被害を引き起こします。当然、そのような被害が生じれば品質は悪くなり、製造に大きな影響を与えるでしょう。

劣化以外にも、金属が熱に膨張し寸法にずれが生じる、湿気を含んで重くなるといった可能性もあり、品質の低下がないからといって問題がないわけではありません。

また、現場環境は作業員にも影響します。寒い現場では手がかじかむことで精密性が失われ、逆に暑い現場では熱中症のリスクがあります。空気が淀んでいることから体調不良にもなり、様々な問題が生じてしまいます。

それら環境による問題を解決するためにも、在庫や作業員にとっての、適した環境づくりが望まれます。

5M+1Eとは?

5M+1Eとは、従来の5Mに、新しく1E(Environment:環境)を付け足したワークフレームのことです。

今まで、製造管理には人や設備といった、製品に直接関係のあることが影響すると考えられてきました。ですが、近年では環境による影響も大きいとされ、新しく付け加えて考えられるようになります。

近年は多品種少生産の生産傾向が強く、昔のように「安かろう悪かろう」では通用しなくなってきています。自社製品への付加価値を高めるためにも、品質の安定化や向上を目指した、環境への取り組みが必要となるのです。

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製造業の品質管理を支える要素「4M」「5M+1E」「6M」とは?

4M、6Mとの違い

「5M+1E」以外にも、4Mや6Mといった亜種となる考え方も存在します。4Mや6Mでは、それぞれどのような要素をフレームワークとしているのでしょうか?

製造業における生産の4要素「4M」とは?

4Mとは、「人」「機械」「材料」「方法」からなるワークフレームのことです。5Mから「計測」の要素が除かれています。

元々は、5Mではなく4Mが主流でした。ですが、1Eと同様に、時代とともに「計測」の必要性が注目され、新しく付け加えられたことで5Mとなったわけです。

そのため、主な内容自体は5Mの時と同じです。「人、機械、材料を管理し、正しい方法を実施」することが、生産管理や品質管理に必要といえます。

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製造業における生産の4要素「4M」とは?

多品種少量生産時代に必要な「6M」とは?

6Mとは、5Mに対して新しく、「Management(マネジメント)」を追加したワークフレームのことです。マネジメントとは、製造における計画のことであり、状況に合わせ、柔軟に計画や製造ラインを切り替えていくことを指します。

「5M+1Eとは?」でも簡単に触れましたが、近年は多品種少生産の傾向が強くなってきています。グローバル化やデジタル化などの影響によって顧客ニーズが多様化し、ニーズの変動が激しくなっているからです。製品を売るためには、顧客に合わせて製品を作る必要があります。

ですが、計画の組み立てが遅いと折角のチャンスを逃してしまいます。ニーズに合わせて生産ラインを調整しても、調整中にニーズが変わってしまっては元も子もないでしょう。

そのような事態を防ぐためにも、迅速なマネジメントが求められます。

近年における市場事情に合わせるためにも、6M、ひいてはマネジメントへの対応が必要不可欠です。

まとめ:製造業における管理に重要な生産の5要素

5Mとは、「人」「機械」「材料」「方法」「計測」からなる、製造を構成する5つの要素です。品質管理はもちろん、製造管理や在庫管理など、様々な管理で必要とされます。

効率の良い生産管理を実施するためにも、5つの要素を見直し、改善することが大切となります。

また、5M以外にも、1Eや6Mといった考えもあります。どちらも時代に合わせた考えであり、近年において欠かせない要素です。5Mだけではなく、それぞれについても意識してみてください。

他にも、企業ごとに必要な要素は異なります。自社に合わせたフレームワークを意識し、自社の付加価値を高めていきましょう。

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