製造業が注目したいITトレンド CPS (Cyber-Physical System) サイバーフィジカルシステム

サイバーフィジカルシステム(CPS)とは?製造業も注目したいITトレンド

製造業が注目したいITトレンド サイバーフィジカルシステム ~CPS (Cyber-Physical System) ~

デジタル社会となりつつある近年。loTやAI、デジタルツインなど、様々なIT技術を見聞きするようになりました。

スマホや冷蔵庫などにも生活の中で使われる機器にもIT技術は活用されており、今後も様々な形で普及されると考えられます。

そんなデジタル社会となる中で「サイバーフィジカルシステム」と呼ばれるIT技術が注目されています。

サイバーフィジカルシステムとはどのようなシステムなのか。注目される理由や導入によるメリットなどを紹介します。

サイバーフィジカルシステム(CPS)とは?

サイバーフィジカルシステムとは、仮想世界で分析した結果を、現実世界へとフィードバックするシステムのことです。センサーなどによって収集された情報を数値化して取り込み、仮想世界で分析した後、現実世界に分析結果を出力します。

例としては、車のカーナビゲーションシステムが挙げられます。センサーによって交通渋滞情報を習得し、その内容を基に空いている道を設定、案内としてドライバーに進行方向を伝えます。

情報を現実世界と仮想世界で循環させることで、より最適化された結果を導き出すことができるのです。

類似する技術

サイバーフィジカルシステムの他にも、似たようなIT技術が存在します。それぞれどのような技術なのか、サイバーフィジカルシステムと合わせて確認しましょう。

IoT(Internet of Things)

loTとは、「モノのインターネット」を意味するシステムです。タブレット、スマートフォン、車、家電製品など、あらゆるモノとつながることで、膨大な情報収集を可能にします。

収集した情報はAIなどによって分析され、管理システムや作業用ロボットに送信することで活用されます。

また、「モノ」には人も含まれます。人が入力した情報を分析したり、逆に収集し分析したデータをモニターやデバイスへフィードバックします。

近年では一般家庭にもloT技術は使われており、最も身近なIT技術の1つといえるでしょう。

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デジタルツイン(Digital twin)

デジタルツインとは、現実世界のモノを仮想空間に再現し、検証するためのシステムです。仮想空間に再現することで、現実では難しいシミュレーションも可能になります。

生産ラインを再現して流れを確認するのはもちろん、都市全体を再現しての災害シミュレーションも、デジタルツインでなら可能です。

また、検証も1パターンだけではありません。条件を設定することで多種多様なシミュレーションを可能にします。

デジタルツインを活用することで、製品や環境などの可能性を広げることができます。

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DX(Digital Transformation)

DX(Digital Transformation)とは、IT技術を浸透させ、作業環境を変革させるシステムのことです。AIやloTなど特定のIT技術を指すのではなく、AIやloTなどを複合的に活用したシステム全体のことを指します。

DX化されることで、作業工程改善による生産性の向上や、作業者のリスクと負担の軽減などが期待されています。

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2017年に経済産業省は「機械、技術、人などあらゆるモノがつながることで新しい価値が生まれる」として「コネクテッド インダストリーズ(Connected Industries)」を提唱しました。

DXはコネクテッドインダストリーズの実施に必要な技術であり、様々な企業・業界でDX化が推奨されています。

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IoTやデジタルツインとの違い

IoTやデジタルツインとの違いは、現実世界へのフィードバックの有無にあります。仮想世界で情報の収集や分析などをするのはサイバーフィジカルシステムと同じですが、IoTやデジタルツインは、外部へのフィードバックが含まれていません。

もちろん、出力するための作業をすればフィードバックされますが、その作業はIoTやデジタルツインとは別の作業です。IoTやデジタルツインだけだと、分析内容は仮想世界で補完したままとなります。

一方サイバーフィジカルシステムは、現実世界へのフィードバックも含みます。大まかにいってしまえば、loT(デジタルツイン)と出力システムをセットにしたのが、サイバーフィジカルシステムだということです。

また、DXとも少し異なります。DXはIT技術を用いて環境を変える概念に対して、サイバーフィジカルシステムは、最適な方法をフィードバックするだけで、AIが直接実行するわけではありません。

ただ、全く関係ないわけではなく、DX活動の一環としてサイバーフィジカルシステムは活用されます。

それぞれ、似ている部分と異なる部分があるため、活用する際には、それぞれの特徴に注意してください。

サイバーフィジカルシステムが注目される理由

サイバーフィジカルシステムが注目される理由は、現実世界へと結果をフィードバックできるからです。「IoTやデジタルツインとの違い」でも触れましたか。IoTやデジタルツインでは現実世界へのフィードバックができず、現実世界で活用することが難しくなります。

近年は、デジタル社会への推進により、様々なIT技術が普及しました。スマートフォン、車、冷蔵庫など身近な物にもloT技術が組み込まれており、IT技術は生活の一部と化しています。

今後も、IT技術の発展は続くと考えられており、現実世界と仮想世界をつなぎコントロールするための技術として、サイバーフィジカルシステムが注目されているのです。

製造業においてのメリット

サイバーフィジカルシステムを導入するとどのような変化が期待できるのか。製造業におけるメリットを紹介します。

  • 最適な生産ラインの実現できる
  • 仮想空間に工場を再現できる
  • 高度な生産自動化を実現できる

最適な生産ラインの実現できる

1つ目のメリットは、作業工程の改善による最適な生産ラインの実現です。サイバーフィジカルシステムによって現在の生産ライン情報を収集し、その内容を基に仮想空間でシミュレーションすることで、最適な生産ラインの設計をフィードバックします。

人間だけでは手間と時間かかる改善も、サイバーフィジカルシステムでならすぐに行えます。後はフィードバックされた内容を参考に、配置換えをするだけで、作業効率の向上や安定性の向上が見込めるでしょう。

仮想空間に工場を再現できる

2つ目のメリットは、仮想空間で様々なシミュレーションができることです。仮想空間に工場を再現することで、生産ラインの見直しなどが行えます。

仮想空間でのシミュレーションなら、実際に設備を使う必要はありません。配置換えも簡単に行え、いろいろ試せます。コストや手間を省け、スムーズな見直しができるでしょう。

また、新しい設備を導入する際もサイバーフィジカルシステムを活用できます。机上の空論では万が一の見落としがあるかもしれませんが、実際に試して確認すれば、不測の心配もありません。

サイバーフィジカルシステム、あるいはデジタルツインを活用することで、生産性向上に向けた様々な可能性を気軽に試せます。

高度な生産自動化を実現できる

3つ目のメリットは、高度な技術を自動化できることです。サイバーフィジカルシステムは外部の情報を数値化して分析するため、熟練作業者の技術も、数値化して分析することができます。

分析した情報はマニュアルとしてフィードバックもできますし、AIに学習させてロボットに習得させることも可能です。

自動化によって作業効率が向上するのはもちろん、人材不足による技術継承の問題も、サイバーフィジカルシステムによって解決します。

他にも、高品質な製品を保つ効果も期待できます。各種データから異常や故障を予兆し、事前に察知することで不良品の発生を防ぎます。

高度な技術と最適な環境によって、高度な生産自動化が実現されるでしょう。

まとめ:生産性を向上させた企業も増えてきている技術

サイバーフィジカルシステムは、生産環境を最適化させる技術です。現状をシステムが分析し、より良い結果をフィードバックしてくれます。

生産ラインの見直しはもちろん、設備導入のためのシミュレーションや技術継承など、現実世界へとフィードバックする技術によって、様々な問題を解決してくれるでしょう。

近年におけるデジタル社会への取り組みとして、DX化する企業は増えてきています。実際にサイバーフィジカルシステムを導入して生産性を向上させた企業も存在し、サイバーフィジカルシステムの有用性は示されています。

サイバーフィジカルシステムはもちろん、loTやデジタルツインなど、どれも将来的に必要とされる技術です。導入の検討だけではなく、今後の発展にも注目していきましょう。

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