製造業が注目したいITトレンド~コネクテッド インダストリーズ(Connected Industries)

コネクテッド インダストリーズ(Connected Industries)とは?日本版インダストリー4.0 と言われる戦略

製造業が注目したいITトレンド~コネクテッド インダストリーズ(Connected Industries)

スマートフォンやパソコンなど、電子技術が当たり前となる近年。ドイツでは、「インダストリー4.0」についての政策が発表されました。

インダストリー4.0とは、「第4次産業革命」のことであり、将来に向けた様々なデジタル政策の取り組みがされています。

一方日本では、2017年にコネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)が発表されます。「日本版インダストリー4.0」とも言われており、インダストリー4.0と合わせて、期待されているのです。

コネクテッドインダストリーズとは、どのような政策内容なのか。主取り組む分野についても紹介します。

コネクテッド インダストリーズ(Connected Industries)とは?

コネクテッドインダストリーズとは、2017年に経済産業省が打ち出した、日本産業界の方針・概念のことです。「人、モノ、技術、組織などがつながり協力し合うことで、新しい付加価値の創出や技術の発展を目指す」取り組みとなります。

「三人寄れば文殊の知恵」といった諺がありますが、技術の発展に関しても同じです。一人や一企業の力では限界がありますが、他企業や他業種と協力し合うことで、様々な問題解決の糸口となるでしょう。

また、政府は、2016年の閣議決定において、日本が目指す未来社会として「Society5.0」を提唱しました。

「Society」とは人類がこれまで歩んできた社会を示す定義のことです。狩猟社会は「Society 1.0」農耕社会は「Society 2.0」工業社会は「Society 3.0」と続き、情報社会である現在は「Society 4.0」の位置づけとなります。

そして、「Society5.0」となるのが、未来社会となるデジタル社会のことです。高度な人工知能を要とし、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させることで、経済発展や社会的課題の解決などが目指されています。

コネクテッドインダストリーズは、Society5.0を目指すために提唱された方針の一つであり、重要な政策ともいえます。

技術の共有によってAIなどが発展することで、一人ひとりが快適な生活を送ることのできる、新しいデジタル社会が実現されるでしょう。

3つの政策

コネクテッドインダストリーズは、横断する3つの政策によって成り立ちます。それぞれどのように政策がされていくのか、確認をしてください。

  • データの共有・利活用
  • データ活用に向けた基礎整備
  • さらなる展開

データの共有・利活用

まず初めの政策として、「データの共有・利活用」から始めます。

データの共有・利活用での主な取り組みは、各企業との情報を共有することです。各企業が保有するリアルなデータや技術を共有することで、新たなシステム開発の支援をします。

また、支援に伴い、新たなルール改定も必要です。認定制度の創設や税制などによる支援、実証事業を通じたモデル創出など、環境を整えていくことで開発しやすい環境を作り、コネクテッドインダストリーズの流れを作っています。

データ活用に向けた基礎整備

データの共有や環境の整備が整ったら、次は「データ活用に向けた実際の活動」です。共有したデータから問題点や課題を洗い出し、それに向けた、革新的なAIチップ開発の促進を行います。

もちろん、開発によって生じたデータは、再び各企業・業種で共有し、認識を新たにしていきます。トライ&エラーを繰り返すことで、より実用的な技術へと進化させるのです。

また、デジタル技術の開発と共に、人材の育成も必要です。いくら技術が優れていても、使いこなせなければ意味がありません。必要なら、世界中から優秀な人材をスカウトする仕組みも作り、ネットとリアルの両方に対応できる、ハイブリッドな人材育成も進めます。

他にも、大切なデータを守る必要もあります。折角開発したデータも、他国に奪われてしまうと、活用するのが難しくなるからです。

日本は「スパイ大国」とも言われるほど、セキュリティが甘い国です。電子技術の流出だけではなく、近年では野菜や果物といった、リアルな技術も流出しています。

今後新しく作られるデジタル技術を守るためにも、ネットとリアルの両方でセキュリティ対策が必要になるでしょう。

さらなる展開

新たな技術が実用化されたら、「さらなる展開」を目指します。技術を、他地域や中小企業へと広めることで、社会全体を過ごしやすいデジタル社会へと作り変えていきます

また、国内だけではなく、海外へも展開させます。同じ業種でも、日本と各国で同じではありません。環境が変わることでリアルなデータも異なり、それによって、保有する技術も異なるからです。各国と協力することで、さらなる発展へとつながるでしょう。

そして、さらなる展開によって得たリアルなデータを再度各企業と共有し、次なるシステム開発へと活用します。

データの共有・利活用」「データ活用に向けた基礎整備」「さらなる展開」を横断しながら繰り返すことで、コネクテッドインダストリーズは展開していくのです。

重点的な取り組み分野

コネクテッドインダストリーズでは、主に5つの項目に重点をおいて取り組みます。

  • 自動走行・モビリティサービス
  • ものづくり・ロボティクス
  • バイオ・素材
  • プラント・インフラ保安
  • スマートライフ

自動走行・モビリティサービス

一つ目は、渋滞や交通事故など交通に関する事柄です。運転をAIがサポートすることで、人災によって発生する交通事故を減らすことができます。交通渋滞の緩和にもなり、トラックによる物流も、スムーズに行われるようになるでしょう。

また、環境への対策も大切です。電気自動車や水素自動車の普及により、CO2の削減につながります。将来的には、さらにエコロジーな車も作られるようになり、環境負荷の低減が期待されているのです。

ものづくり・ロボティクス

二つ目は、工場における生産の効率化についてです。生産業界の問題として人材不足が挙げられていますが、工業ロボットを導入すれば、人材不足は解消されます。

さらに、ロボットなら24時間の作業も問題ありません。メンテナンスなどで止める場合もありますが、常に生産を続ける「止まらない工場」も実現可能となります。

AIなら最適な生産プランを実施することも可能であり、生産におけるムダを極限まで省くことができるでしょう。

また、重労働や危険な作業も、ロボットに任せることができます。怪我や死亡事故を減らすことにもつながり、様々な形で、ロボットが作業者の負担を肩代わりしてくれるようになるのです。

バイオ・素材

三つ目は、原料や資材など科学技術についてです。コネクテッドインダストリーズにおける生産とは、なにも、車や雑貨品などの無機物だけではありません。有機物を活用したバイオテクノロジーも含まれます。

バイオ燃料、化粧品、人工肉、排水処理など、生活に基づく技術も少なくはありません。知らないだけで、普段から接しているバイオ技術も存在するでしょう。

また、バイオ技術は医療業界も促進させます。近年お世話になることの多いワクチン開発を始め、再生医療や遺伝子療法など、最先端医療として聞いたことがあると思います。

コネクテッドインダストリーズの実現によって、多くの人が救われるようにもなるのです。

プラント・インフラ保安

四つ目は、工場や施設の安全性についてです。センサーやドローンなどを活用することで、安全に現場確認が行えます。そして、集めたデータを参考にマニュアルを作成し、より安全に作業や生活ができるようにするのです。

特に、ドローンの活用はプラント保安の分野において、とても期待されている技術です。高所の点検はもちろん、ガス漏れや震災などによる、2次災害が心配な現場での作業も可能とし、より迅速で安全な保守作業を実現させます。

他にも、3Dモデルによる解析や音の反響による解析など、肉眼で見る以外の解析方法は、色々と研究されつつあります。

スマートライフ

五つ目は、社会問題についてです。少子高齢化が進む近年、製造業を始め、様々な業界で人手不足が問題となっています。特に介護・医療業界の人手不足が深刻であり、人材確保は急務と言えるでしょう。

ですが、サポートロボットが導入されれば、人手不足は解消されます。介護や医療で問題とされる重労働も、ロボットが作業をすれば辛くありません。24時間体制の管理により、夜勤の負担も軽くしてくれます。

現状でも、腰の負担を減らすパワーアシストスーツが開発されており、昔よりも楽に介護ができるようになりました。

将来的には、60代の子供が、80代90代の親を介護することも十分に考えられます。コネクテッドインダストリーによるスマートライフの改善は、将来的に必要な取り組みと言えるでしょう。

インダストリー4.0との違い

インダストリー4.0とは、ドイツが掲げる新しい産業革命への取り組みのことです。AIを導入した「スマートファクトリー(考える工場)」を目指し、人の代わりにAIが活躍する、新しいデジタル革命を目標とします。

コネクテッドインダストリーズ(やSociety5.0)との違いとしては、データ収集の方法が異なりますコネクテッドインダストリーズは、企業や国と協力することでデータ収集を行いますが、インダストリー4.0では、IoTやクラウドコンピューティングなどを駆使し、AI自らがデータ収集を行うのです。

もちろん、どちらが優れているとは言えませんが、コネクテッドインダストリーズは技術者中心の政策。インダストリー4.0はAI中心の政策といった違いがあるのです。

とはいえ、どちらも最終的な目標は「人の負担を減らす、画期的なデジタル社会」です。方法は少し異なりますが、基本的には同じと思って問題ありません。

他にも、政策に対する力の入れ方も異なります。インダストリー4.0はドイツ政府が主体となって行っていますが、コネクテッドインダストリーズは、どちらかといえば企業主体の政策です。主体となる規模が異なるため、ドイツよりも、日本の政策の方が遅れていると言えます。

コネクテッドインダストリーズは、まだ政策を発表して日にちが浅いのもありますが、今だ中小企業や民間への浸透が低い状態です。目立った結果が出始めるには、もうしばらく時間が必要になるかもしれません。

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まとめ:製造業にも必要とされてくるDX化

コネクテッドインダストリーズは、日本が進めるデジタル社会への方針です。様々な業務にAIなどの技術を導入することで、今まで感じてきた負担を軽減し、より住みやすい社会へとしてくれます。

提唱してから日にちが浅いとは言いましたが、AIの自動運転やパワーアシストスーツなど、現状でも様々な業種でデジタル技術を見かけることができ、政策の影響が出ているとも言えるでしょう。

技術の発展は簡単な物ではなく、世紀単位で行うものです。実際に、第一次産業革命は18世紀後半、第二次産業革命は19世紀後半、第三次産業革命は20世紀後半と、長い年月を必要としました。

ドイツでは、次なるデジタル社会を第四次産業革命(インダストリー4.0)と提唱しています。今後どのように技術が発展していくのか、各国の政策も含め、コネクテッドインダストリーズの影響に注目してください。

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