製造業が注目したいITトレンド~デジタルツイン~

デジタルツインとは?製造業におけるムダを省き、生産効率の向上にもつながる「デジタルの双子」とは?

製造業が注目したいITトレンド~デジタルツイン~

デジタルツインという技術を知っていますか?「ツイン」とは「双子」という意味があり、文字通り「デジタルの双子」と言う意味になります。

大まかに説明すると、現実世界のモノをデジタル世界に再現する技術になりますが、応用性と実用性が高いことから、様々な業界でデジタルツインは注目を集めています。

デジタルツインではどのようなことができるのか。注目される理由や使われ方などを紹介します。

デジタルツインとは?

デジタルツインとは、現実世界(物質空間)の情報を、デジタル世界(仮想空間)に再現する仕組みのことです。IoTやAIによって取り込んだ情報を分析し、CAEやARによって情報を再現します。

東京ドームや東京タワーといった建造物も、最新のIT技術を使えばデジタル世界に再現可能です。そして、現実世界ではできない実験や改装なども、デジタル世界でなら自由に試すことができます。

デジタルツインの特徴としては、リアルタイムにシミュレーションできることです。従来もデータから仮想モデルを作ってシミュレーションはできていましたが、作成時のデータを基にしているため、経年劣化を始めとした日々の変化はフィードバックできず、実際のモデルとは異なる部分もありました。

ですが、loTなどの技術によってリアルタイムにデータが更新されるため、常に現実世界のモデルと、同じ仮想モデルにできます。それによって、従来のシミュレーションよりも精度が高く、現実世界に照らし合わせた、実用性のあるシミュレーションができるようになったのです。

仮想モデルを参考にすれば、今後の変化を予測することも可能です。事故を未然に防いだり売れ行きを予測したりなど、様々な形で、現実世界にアプローチができるでしょう。

デジタルツインを構成するIT技術

デジタルツインには、様々なIT技術が活用されています。それぞれどのような働きがあるのか確認をしてみましょう。

  • IoT:仮想空間に物理データを再現
  • 5G:リアルタイムでのデータ反映
  • AI:膨大なデータを分析
  • CAE:仮想空間でシミュレーションを実行
  • AR・VR:デジタル空間を視覚化

IoT:仮想空間に物理データを再現

IoT(Internet of Things)とは、モノ同士をつなげるシステムのことです。日本語では「モノのインターネット」と訳され、インターネットで他のデバイスと接続することにより、データのやり取りや操作が行えるようになります。

リアルタイムにデータ分析をするためにも、常にデータ収集が可能なIoTのシステムは欠かすことはできません。デジタルツインに限らず、情報社会にとって必要不可欠なシステムと言えるでしょう。

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5G:リアルタイムでのデータ反映

5G(5th Generation Mobile Communication System)とは、高速通信システムのことです。「5」とは第五世代目を意味し、4Gよりも、大容量のデータを超高速で送信することができます。

loTのデータは膨大であり、従来の通信システムではすぐに通信制限に達し、データ通信が遅くなってしまいます。リアルタイムにデータを反映するためには、それに対応できる最新の通信システムが必要なのです。

AI:膨大なデータを分析

AI(artificial intelligence)とは、人工知能のことです。人の助けを必要としない自律化システムであり、状況に応じて機械自らが判断し、作業や指示を行います。

デジタルツインでは、常にloTによる情報収集、データの分析、分析データの反映、結果の集計などが行われており、人間だけでは到底対応しきれるものではありません。そのため、人間よりも処理能力に優れる、AIの力が必要になります。

CAE:仮想空間でシミュレーションを実行

CAE(Computer Aided Engineering)とは、仮想シミュレーターのことです。集められたデータを基に仮想モデルを作成し、その仮想モデルを用いて、様々なシミュレーションが行えます。

デジタルツインの目的は、現実世界では難しい状況をデジタル世界を用いてシミュレーションをすることにあります。デジタルツインを活用するためにも、CAEは必要なシステムです。

AR・VR:デジタル空間を視覚化

AR(Augmented Reality)とVR(Virtual Reality)は、どちらも物質空間と仮想空間をつなげるためのシステムです。ARは現実世界にデジタル情報を表示するのに対して、VRは専用のデバイスを通してデジタル世界を体験するシステムになります。

ピンとこない人もいるかもしれませんが、大まかに「仮想モデルを視覚化するシステム」と思ってください。

もちろん、結果を知るだけなら文章による表示でも問題ありませんが、仮想モデルを直接見た方が分かりやすいです。VRによって直接体験もすれば、より説明がしやすいでしょう。

ただ、ARとVRは、どちらも技術的には発展途上であり、あまり実用的とは言えません。よりデジタルツインを身近なものに感じるためにも、今後の発展が期待されます。

製造業でデジタルツインが注目されている理由

デジタルツインが注目されている理由としては、やはりリアルタイム性が挙げられます。従来よりも現実に照らし合わせたシミュレーションが可能であり、より正確な予測を可能にするからです。

状況に応じてすぐに対応できるため、ードタイム短縮やリスク回避にもつながります

もちろん、従来のシミュレーション通り、仮想モデルの存在も重要な要素です。実際に作ってシミュレーションをするわけではありませんので、製作する時間とコストの節約になります。

シミュレーションに失敗してもすぐに復元して再度試すことができ、実際に生じるリスクを最小限に抑えられるでしょう。

他にも、都市開発や災害時のマニュアル作成など、物理空間では難しいことも仮想空間では再現可能です。

ワクチンの開発、商品開発、顧客体験、消費エネルギー量の予測なども可能にし、多様性がとても高いことから、様々な業種から注目を集めています。

デジタルツインの活用方法

デジタルツインはどのように活用すれば良いのか。活用方法について紹介します。

  • デジタルツイン・プロトタイプ(DTP)
  • デジタルツイン・インスタンス(DTI)
  • デジタルツイン・アグリゲート(DTA)

デジタルツイン・プロトタイプ(DTP)

プロトタイプは、製品が完成する前に実施されるデジタルツインです。設計、分析、プロセス(経過による処理)に沿ってシミュレーションします。

事前にデジタルツインによってシミュレーションしておけば、失敗作や事故のリスクを減らすことができます。コスト削減やリスク回避をするうえで、とても重要な活用方法と言えるでしょう。

デジタルツイン・インスタンス(DTI)

インスタンスは、製品が完了後に実施するデジタルツインです。完成した製品を基に様々なシミュレーションをし、その結果から、予測データを集計します。

例としては、都市災害についてのシミュレーションが挙げられます。都市を仮想モデル化し、地震や津波を起こすことで、どのような被害が出るのかを調査するのです。実際に試すことで問題点が見つかり、リスク回避するための課題が見つかります。

デジタルツイン・アグリゲート(DTA)

アグリゲートは、デジタルツインインスタンスの集合体のことです。インスタンスを複数組み合わせた際、それによってどのような結果が生じるのかシミュレーションします。

使い方としてはインスタンスと同じであり、より多角的に知るためのデジタルツインと言えます。単体であるインスタンスでは分からなかった問題点が見つかる場合もあり、さらに念を入れたリスク回避や、予測結果を知ることができるでしょう。

製造業におけるメリット

最後に、製造業がデジタルツインを導入した際のメリットを紹介します。

  • 開発コストの削減やリードタイムの短縮
  • アフターサービスの充実
  • トラブル改善や設備保全の実現

開発コストの削減やリードタイムの短縮

一つ目のメリットは、開発コストやリードタイムの削減です。製造前に仮想モデルでシミュレーションすることにより、失敗作による資材の消費や製造期間を短縮することができます。

さらに、新商品開発に合わせた人員の再配置も必要ありません。仮想空間でシミュレーションできますので、数人だけで行えます。将来的にはAIも進化し、より人数が少なくても十分なシミュレーションが可能になるでしょう。

開発とデジタルツインはとても相性が良いです。費用、時間、人材のムダを省くことができ、開発効率が格段に向上します。

アフターサービスの充実

二つ目のメリットは、アフターサービスがしやすいことです。出荷した後も続けてモデリングができますので、「故障を事前に予測して修理の打診する」といったようなリアルタイムの状況を予測し、サービスを提供することができます。

また、流通した後のデータもloTによって取得可能です。売れ行きや使い方からニーズを予測し、その予測からマーケティングへの活用もできるでしょう。

デジタルツインを活用することで、よりお客様に合わせた、商品開発やサービスの提供ができるようになるわけです。

トラブル改善や設備保全の実現

三つ目のメリットは、安全性の向上です。生産ラインをデジタルツインで再現しておくことで、故障や事故などのトラブルが生じた際、記録したデータを基に原因を追究しやすくなります。

原因の追究も、AIがサポートしますので手間はかかりません。各工程ごとにモデリングすることもでき、すぐに原因の特定から改善案までが導き出せるでしょう。

また、仮想モデルを活用することで、事前にトラブルを回避することもできます。様々な状況を想定してシミュレーションするだけではなく、部品の劣化なども予測することができ、トラブルが生じる前に対策が取れるのです。

もちろん、loTやAIによるリアルタイムな監視も行っていますので、異常があればすぐに対応可能です。被害拡大や商品ロスの予防にもつながり、リスク管理とコスト削減を両立できます。

まとめ:現実世界では難しいことも試すことが可能な技術

デジタルツインを利用することで、様々な予測を調べることができます。現実世界では難しいこともデジタル世界ではシミュレーション可能であり、トラブル回避やマーケティング戦略などの役に立つでしょう。

特に、デジタルツインと製造業は相性が良く、開発から生産ラインまであらゆる場面で活用可能です。リスク管理はもちろん、製造におけるムダを省き、生産効率の向上にもつながります

デジタルツインは、将来的に様々な業種や分野で活躍が期待されるIT技術です。今後使う機会も増えていきますので、ぜひ、デジタルツインの特徴を覚えておいてください。

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