製造業が注目したITトレンド BI(Business Intelligence)

BIとは?製造業でも広がる企業戦略の意思決定を支援する技術

製造業が注目したITトレンド BI(Business Intelligence)

経営方針の要となるBI(ビジネスインテリジェンス)。誰でも簡単に方針が立てられることから、BIを活用する企業は年々増えています。

製造業界でもBIを使用する機会は多く、今後の企業運営に欠かせないシステムといえるでしょう。

BIツールを導入するためには、BIについて知っておくことが大切です。

BIとはどのような仕組みなのか?構成する要素や導入した場合のメリットなどを紹介します。

BI(ビジネスインテリジェンス)とは?

BI(Business Intelligence)とは?

BI(Business Intelligence)とは、業務に関する意思決定能に役立てる手法や技術のことです。BIによってまとめられたデータを基に、今後のビジネス方針を決めていきます。

「最近は寒くなってきたから冬服を販売する」といったように、集計した情報を基に分析し、効果的な経営戦略へと活用するのです。

また、BIは特定のIT技術のことを指すのではなく、データ収集から保存、分析、出力までのプロセス全体の総称となります。ただ、近年ではそれらプロセスをまとめたBIツールも数多く存在し、1つのIT技術として扱われることも多いです。

他にも、ユーザーからの操作を可能にしたモダンBIも存在し、意思決定を促す決め手として活用されています。

従来のBIとモダンBIの違い

現在BIには、従来型のBIと、新しい形となるモダンBIが存在します。それぞれどのような仕組みなのか、確認をしてみましょう。

従来型BIとは?

従来型BIは、分析や検証をすべてBIに任せる仕組みです。ユーザーが検証したい内容をBIに伝えることで、BIはその結果をまとめ、結果をユーザーに使いやすいよう出力します。

そして、ユーザーはその結果を基に企業戦略へと活かすのです。

また、「情報を別の観点から見たい」場合には、改めて指示を伝えます。それに対してBIは、一から結果をまとめ直し、その結果を出力することで、ユーザーとやり取りします。

モダンBIとは?

モダンBIは、ユーザが自分で仮説を立てて検証できるセルフサービス式のBIです。従来型と同様にデータの収集やまとめ作業は行ないますが、どのようにまとめて出力するかはユーザー自身が行ないます。

従来型BIとの違いは、ユーザーからの関与があることです。ユーザーが自由にまとめ分析できることで、従来型BIとは違った、自由な発想ができます。

また、従来型BIでは、再検証するために一から結果をまとめ直す必要がありましたが、モダンBIでは、自身で内容を組み替えて分析するため、一からまとめ直す必要はありません。気になる部分だけを変更して再検証が可能です。

それにより、従来型BIよりも再検証のレスポンスが早くなり、迅速な問題解決と意思決定が可能となるのです。

ユーザーが操作する都合上、まとめる手間と分析するための知識が必要ですが、ニーズの多様化によって市場が変動しやすい近年において、迅速な対応ができるモダンBIが注目されています。

BIが重要である理由

BIが重要視される理由は、客観的な視点から予測し、今後の方向性を選択できるからです。社内で保管された過去のデータはもちろん、社外の情報も合わせることで、物事を多角的に分析・評価し、より具体的な経営戦略を組むことができます。

例えば、「冬服を売るタイミング」を見定めたいとします。その場合は、気象庁からの気温情報と過去の販売データを比較すれば、おおよそのタイミングがわかってきます。さらに、情勢から流行データを取集することで、「どのような商品が売れる」といった、商品開発にも活用可能です。

製造業でも同じような活用が可能で、設備の稼働時間や過去のデータなどを分析すれば、故障するタイミングが見えてきます。事前に把握できていればメンテナンスのタイミングも決められ、生産ラインの大幅な停止を防ぐこともできるでしょう。

BIを導入することで、将来的な可能性を予測し、その予測に対して事前に準備ができるようになります。

BIを実現する要素

BIは、主に3つの要素によって成り立ちます。BIの仕組みを知るためにも、3つのプロセスについて確認をしておきましょう。

データの収集・統合

まず始めにすることはデータの収集と統合です。分析するためには、基となるデータが必要となります。

また、情報収集は企業に保管された過去のデータだけではなく、インターネットを通じた社外のデータも収集します。分析は様々な角度から見ることで深みを増しますが、社内のデータだけでは、情報を一面からしか見れないからです。

より深く洞察するためにも、多角的に見た、たくさんの情報が必要になるでしょう。

データの可視化

次に行なうのはデータの可視化です。データを集めただけでは、データの活用はできません。ユーザーにも把握できるよう、分かりやすくまとめる必要があります。

ですが、人が管理できる範囲には限界があり、膨大な情報を人が把握するのは難しいです。「各店舗の冬服の売り上げ」をデータ集計しても、店舗数が多ければデータは膨大となり、内容を把握するだけで時間がかかってしまうでしょう。「月別」や「年齢」なども加味すれば、さらにややこしくもなります。

そこで、誰が見ても分かりやすいよう、グラフや表などにまとめて可視化します。「各店舗の売り上げ」も、棒グラフにまとめれば一目瞭然です。

情報を分かりやすくまとめることで、全体の把握ができるようになります。

データの分析

最後はデータ分析です。可視化した情報から、「そのような結果となった理由は」「どのような影響が生じるか」なども予測します。

これにより、知識がない人でも今後の予測が立てられ、可視化した情報と合わせて評価することで意思決定ができるようになります。

もちろん、結果内容から疑問が生じれば、再度条件を指定してデータ分析をすることも可能です。モダンBIなら、再分析も素早く行え、迅速に意思決定が行なえます。

BIツールの主な機能

BIツールは、主に4つの機能によって成り立ちます。それぞれ、どのような機能があるのでしょうか?

レポート・ダッシュボード

一つ目の機能はレポート、ダッシュボード機能です。収集し分析した情報を、レポートとして提出します。「PDF」「Excel」「PowerPoint」などの標準的なファイル形式にも対応しており、他の人と共有することも可能です。

また、BIツール内だけなら「ダッシュボード」として表示もできます。操作方法は現実世界と同じで、見たい資料を選んで張り付けるだけです。マウス操作だけで簡単に、自分だけの資料ボードが作れます。

他にも、BIツールによっては、スマートフォンやタブレットなどに対応したものもあります。リアルタイムでの把握も可能であり、アラート機能と合わせることで、移動中でも異常やトラブルを見逃しません。

OLAP分析

二つ目の機能はOLAP分析機能です。OLAP分析とは多次元分析のことであり、複数の視点からデータを分析します。複数の視点から見ることで、ただデータ分析しただけでは分からないような可能性も、OLAP分析によって導き出します。

また、本来なら高度な知識と発想が必要になりますが、BIツールを活用すれば必要ありません。知識や発想がなくても、簡単に多次元分析ができるでしょう。

分析方法もいろいろあり、多角的な評価を可能にします。

データマイニング

三つ目の機能はデータマイニング機能です。データマイニング機能とは特定の情報を掘り出すことであり、膨大なデータ群の中から、必要な情報を簡単に出力できます。ようは検索機能のことであり、データを1つずつ確認して探す手間を、大幅に削減してくれます。

マイニング方法も「重回帰分析」や「相関分析」といった様々な方法があり、必要な情報に合わせて使い分け可能です。

近年は、AIを搭載したBIツールも存在し、検索内容に関係するデータを合わせて出力してくれるなど、よりデータマイニング機能が向上しています。

シミュレーション・プランニング

四つ目の機能はシミュレーション機能です。分析したデータを出力するだけではなく、その分析結果から今後の変化を予測し、経営戦略として活用ができます

OLAP分析から導き出される予測は信憑性が高く、マーケティングの知識がない人でも簡単に、経営戦略のプランニングを立てられるでしょう。

自力でプランニングできる人でも、自分で考える手間が省け、時間の節約にもなります。

BIツールを導入するメリット

BIツールを活用すれば、以下のようなメリットがあります。

ビジュアライゼーション

一つ目のメリットは、ビジュアライゼーションがしやすくなることです。ビジュアライゼーションとは、情報を可視化することであり、大まかに説明すると、グラフや図形などがビジュアライゼーションに該当します。

自分の事として考えてもらえれば分かりますが、人は文字よりも画像で見た方が分かりやすいです。「去年は40%の売上」「今年は50%の売上」「来年は60%の見込み」と記載されるより、棒グラフでまとめた方がすぐに理解できます。

データを集めるだけではなく、誰が見ても分かりやすく出力するのがBIツールの特徴といえます。

データに基づく素早い意思決定

二つ目のメリットは、素早い意思決定が可能になることです。BIツールによって素早く結果が表示されるため、すぐに行動へ移すことができます。

もちろん、自分で集計し分析することも可能ですが、作業には時間がかかります。近年はニーズの多様化によって市場の情勢も変化しやすく、もたもたしているとすぐに機会を逃してしまうでしょう。

BIツールを導入すればリアルタイムに状況を把握でき、すぐに行動へ移すことで機会を逃す心配がありません。

また、より知りたい情報をまとめられるのもBIツールの特徴です。疑問を投げかければ課題が見つかり、すぐに対応することができます。早期発見により、トラブルを最小限に抑えられるのです。

好機を逃さず行動することで、最大の利益を得ることができます。

容易にデータ分析が可能

三つ目のメリットは、データ分析が容易なことです。本来なら専門的な知識が必要な状況でも、BIツールが代わりに予測して出力してくれます。

また、データの見比べもしやすいです。複数のデータをダッシュボードにまとめて表示させることで、複数のデータを交互に見比べる必要はありません。

直感的に操作もしやすく、誰が操作してもデータ分析が容易に行えます。

レポーティングの手間と時間の軽減

四つ目のメリットは、レポーティングが容易なことです。レポーティングとは、意思決定に必要な判断材料を、可視化し提出することを意味します。

企業の意思決定は、個人ではなく会議によって決まります。いくら効果的な計画を立てても、他の人が納得しないと決定は難しいです。意思決定を促すためには、後押しするための資料が必要となります。

BIツールを使えば、意思決定に必要なデータを揃えるだけではなく、提出用の資料も作れるのです。

もちろん、Excelなどを活用して自分で作ることもできますが、わざわざ作るのは面倒です。「Excelで作成し、PowerPointに貼り付ける」といった動作も、操作に慣れていない人だと、時間がかかるでしょう。

BIツールでなら、資料作りに慣れていない人でも直感的に作りやすいです。さらに、モダンBIを活用すれば、より特定の内容に重点をおいた資料が作れ、意思決定を強く主張できます。

まとめ:BIとは企業戦略の意思決定を支援する技術

BIとは、企業戦略の意思決定を支援する技術のことです。様々な情報を集め、可視化し、分析することで、今後の企業戦略を決める要となります。

BIツールの最大の特徴は、誰でも簡単に企業戦略を立てられることです。本来なら専門的な知識が必要な可視化や分析も、BIツールならまとめて対応してくれます。知識がある人も、BIツールを使えば情報収集や分析する時間を大幅に短縮でき、素早い意思決定が可能になるでしょう。

経営戦略以外にも、設備の入れ替えや人事の変更など、様々な企業戦略にBIツールは活用可能です。作業効率を改善するためにも、BIツールの導入を検討してみてください。

生産管理システムFUSEのBIダッシュボード機能

生産管理システム FUSE 分析機能 BIダッシュボード機能 冊子表紙