近年話題となったChatGPT。人間のような滑らかな対話が可能なことから、多くの人や企業から注目を集めました。各メディアでも取り上げられ、耳にしたことがある人も多いと思われます。
そんなChatGPTですが、対話をするだけではなく様々な可能性が期待されています。個人での使用はもちろん、企業への活用も視野に入れられ、導入を検討する企業も少なくはありません。
ChatGPTを導入すると、どのようなことができるようになるのか。導入によるメリットや、実用例などについて紹介します。
ChatGPTとは
ChatGPT(Chat Generative Pretrained Transformer)とは、AIを用いた自然言語処理モデルの事です。OpenAIが開発したAIツールであり、実際に人と対話しているような自然な流れで、質問に対して回答が行なえます。
現在公開されているGPTはバージョン4(GPT-4)であり、バージョン3(GPT-3)の時点で、1,750億個のパラメータを有していると公開されています。(パラメータ:会話を選択するために使用される値のこと。個数が多いほど選択数が増え、より複雑な回答を可能にする)
GPT-4のパラメータは現在発表がされていませんが、バージョン3.5(GPT-3.5)が3,550億個と、GPT-3から約2倍に増えていることを考えると、GPT-4のパラメータは膨大であることが予想できるでしょう。
ChatGPTは、そんなGPTを対話型に特化させたGPTです。人のように自然な対話ができるよう、AIに学習をさせました。
ChatGPTのリリース当初はGPT-3が活用されていましたが、それでも、膨大なパラメータから作られる文章生成能力は高く、個人や企業を問わず、多くの人から評価されています。
発表してわずか2ヶ月で1億人のユーザー数を獲得し、今もなお、その認知度とユーザー数は増え続けているのです。
ChatGPTの仕組みと特徴
ChatGPTが、どのようにして回答を行なうのか。ChatGPTの仕組みや特徴について確認してみましょう。
ChatGPTの仕組み
ChatGPTは、Web上にあるテキストデータを参考に、質問に対する答えを生成することで回答をしています。大まかに説明すると「質問内容をインターネットで調べ、答えを文章化することで回答する」といった仕組みになります。
そのため、「人間のように自然な回答」を可能としますが、厳密には「人間のように考えて回答をしている」わけではありません。悪い言い方をすると、答えを丸写ししているともいえるでしょう。
ですが、ChatGPTは対話に特化したGPT(AI)であり、ただ丸写しするだけではありません。調べた内容を学習した対話パターンに基づいて編集し、あたかも人と対話しているかのように回答します。
また、検索パターンも学習するため、いつまでも回答が同じではありません。情報が新しく更新されるのはもちろん、普段の検索内容から、必要な情報を合わせて検索したりもします。
ChatGPTはただの検索プログラムなわけではなく、質問内容を理解し、利用者に合わせて成長するAIチャットでもあるわけです。
ChatGPTの特徴
ChatGPTにおける最大の特徴は、対話型にAIを特化させ、人と同じように自然な対話ができることです。パラメータ的には元々のモデルであるGPTと同じですが、入力された文章を理解することで、自然な対話形式へと変換し出力します。
また、ChatGPTは以前入力された対話や文脈も記憶しており、内容を考慮することで新しい回答も生成可能です。質問の回答に対して「他には」といった質問方法も可能であり、人と会話するような、連続した対話が可能となります。
他にも、対話形式に文章化するだけではなく、必要なら箇条書きやカッコ書きによる協調も可能です。対話形式だけではなく、文章として分かりやすく出力することも、ChatGPTの特徴です。
ただ答えを検索して提示するのではなく、答えを対話形式に編集できることが、ChatGPTの特徴であり、強みともいえるでしょう。
ChatGPTができること
ChatGPTを活用することで、以下の事ができるようになります。
- 自然な言語による対話
- 情報の検索とナレッジの提供
- 業務のサポート
- クリエイティブな応答
自然な言語による対話
一つ目は、ChatGPTを活用したAIとの対話です。人間同士の日常会話のように、AIとも日常会話ができます。
主な活用例としては、悩みの相談です。人には相談できないような悩みも、AI相手なら気軽に相談できます。もちろん、必ず正解を教えてくれるわけではありませんが、悩みを解決する切っ掛けとなります。
他にも、勉強や恋愛の相談をしたり、大喜利や例え話を聞くことも可能です。なんでしたら、特に意味もなく雑談するのも良いでしょう。もちろん仕事での活用も可能です。
今までのAIでは真似できないような自由な受け答えを、ChatGPTなら可能にしユーザーを楽しませてくれます。
情報の検索とナレッジの提供
二つ目は、ChatGPTを活用した情報収集です。ChatGPTに質問することで、インターネット上から必要な情報を集めてもらいます。
検索サイトを利用したことがある人なら分かると思いますが、検索をすれば、すぐに必要な情報が見つかるとは限りません。ヒットするサイトは数多く、各サイトを閲覧し情報を探すだけでも手間と時間がかかります。
ですが、ChatGPTを活用すれば各サイトを一つずつ見ていく必要はありません。ChatGPTが代わりに各サイトを閲覧し、まとめた結果だけを出力してくれます。
「将来的には検索サイトの代わりとなる」とも噂されており、将来性が期待されているのです。
ただし、インターネット上での情報を参照するため、情報が怪しい場合もあります。膨大な情報を参照するため信憑性は高いですが、最終的には人が判断するようにしてください。
また、検索した情報はまとめられているため、他の人にナレッジの提供(知識の提供)もしやすいです。情報共有がスムーズに行なわれることで、業務や勉強の効率が向上するでしょう。
業務のサポート
三つ目は、ChatGPTの業務利用です。ナレッジの提供のように、普段の業務内でChatGPTを活用します。
例えば、寸法の計算をするとしましょう。本来なら、計算機片手に自分で計算しないといけませんが、ChatGPTに相談すれば、AIが計算しすぐに答えを教えてくれます。
他にも、スケジュールの管理、お問い合わせの対応、市場調査、求人票の作成、広告や張り紙の作成なども、ChatGPTによって可能となります。
もちろん、最終的には人による確認が必要ですが、それでも、自分で作成する手間が大きく省け、業務の時間短縮につながるでしょう。
将来的には、多くのデスクワークが、ChatGPTに置き換わる可能性もあります。
クリエイティブな応答
四つ目は、ChatGPTによる創作活動です。テーマを入力して、物語の構成などを作成してもらいます。小説そのものを作成してもらうことも可能であり、今まで、能力不足で諦めていた人も、気軽に創作の場に参入できるようになりました。
また、プログラミングやHTMLなどの言語入力も可能であり、アプリやホームページの作成の敷居が低くなります。
もちろん、すべての作業をChatGPT任せにはできませんが、業務のサポートと同様に創作をサポートすることで、作業の短縮とできることの可能性が広がるでしょう。
業務に転用すると、テレアポや営業でのトークスクリプトの作成などを依頼することも可能です。
製造業がChatGPTを使うメリット
製造業がChatGPTを活用することで、以下のようなメリットがあります。
- 作業の効率化
- 膨大なデータから情報収集
- 相談相手として利用可能
作業の効率化
一つ目は、作業が効率化されることです。「業務のサポート」でも触れたように、業務内容をChatGPTが対応することで、時間の短縮による効率化を目指せます。
一見すると製造業にはオフィスワークは少ないように思えますが、製造記録の入力やスケジュール管理など、細かい部分で行なう事は多いです。
他にも、マニュアルの作成や人員の配置決めなどもあり、すべて自分だけで作業をすると時間がかかり、他の業務に手が回せません。
ですが、ChatGPTを活用すれば作成のサポートができます。短時間で作業が終了することで別の業務にも取り掛かれ、作業の効率化となるわけです。
時間に余裕を持って作業をすることで品質管理にもなり、品質の安定化につながります。
膨大なデータから情報収集
二つ目は、情報収集が素早くできることです。「情報の検索とナレッジの提供」でも触れたように、ChatGPTによってスムーズな情報検索を実行します。
近年は、ニーズの多様化によって、顧客ニーズに合わせた商品の生産が求められています。ですが、多様化していることで移り変わりも激しく、調査が遅いと流行に乗り遅れてしまうでしょう。
そのような事態を防ぐためにも、ChatGPTはもちろん、AIやloTなどによる情報取集は必要とされています。
また、デジタル化への移行は世界中で行なわれており、各国で様々な技術や発想が生み出されています。海外の新技術をいち早く知ることにも、ChatGPTはとても有効です。
相談相手として利用可能
三つ目は、経営方針などを相談できることです。「自然な言語による対話」でも触れたように、ChatGPTに相談して業務を決められます。
複数のプランから方針を決定する際も、過去やネットワーク情報から参考にして、最も有用性のある選択を提示してくれます。それによって、失敗がしにくくリスクを減らした選択ができるわけです。
他にも、機械や人材の配置相談、タスクやスケジュールを決める相談、部品の切り方や組み立て方の相談なども、ChatGPTに相談できます。
将来的にはカウンセリングの代わりとして、ChatGPTが使われるかもしれません。
製造業におけるChatGPTの活用方法
実際に、製造の現場でChatGPTはどのように活用されるのか。活用例を考えてみましょう。
- マニュアル作成
- プログラミング支援
- 社内ヘルプデスク
- 製品開発
- 生産管理
マニュアル作成
一つ目の例は、マニュアルの作成です。必要なテーマと要素を入力することで、文章に直して提出します。
後は、グラフや写真などを貼り付け清書し直せばマニュアルの完成です。文章を考えたり入力したりするのが苦手な人も、ChatGPTを活用すれば問題ありません。
他にも、張り紙、電子メール、広報誌、ホームページなどの下書きをChatGPTに任せ、人の手で加工と清書をすることで、簡単に作成ができます。
プログラミング支援
二つ目の例は、プログラミング支援です。マニュアルの作成と同様に、「どのようにしたいか」を入力することで、必要なプログラミングコードを出力します。
もちろん、実際に必要な文字数は膨大で、到底ChatGPTだけで補えるわけではありません。新しいプログラムを作ろうとするなら、人の発想力も必要になってきます。
それでも、ある程度作成を頼れるのは、プログラマーにとって喜ばしいことです。入力するだけでも時間がかかりますので、代わりに入力して貰えれば、大幅な時間の短縮につながります。
また、全くプログラミングができない人の助けにもなるでしょう。ChatGPTを活用すれば、ちょっとしたシステムの変更に専門家を呼ぶ必要はありません。ChatGPTによって、手軽にシステムの変更ができます。
社内ヘルプデスク
三つ目の例は、社外ヘルプデスクへの利用です。社外ヘルプデスクとは、「従業員からの問い合わせに対する業務」の事であり、つまりは従業員向けのカスタマーサービスの事を指します。
業務で分からないことが生じても、ChatGPTに質問すればすぐに解決できます。その場で疑問を解決できるため、ヘルプ担当に質問する時間の節約になるでしょう。
ヘルプ担当側としても、単純な質問の多くはChatGPTが対応し、ヘルプ担当者の負担を減らすことができます。
もちろん、社外に対しても活用可能です。設計で不明な点があれば顧客につないで質問したり、逆に顧客からの連絡にChatGPTが対応したりも可能です。
専門的な内容や社内の独自ルールなどには対応できませんが、それでも、多くの場面で活用が期待できます。
製品開発
四つ目の例は、製品開発です。製品の設計や素材の選択など、製品開発のサポートとして活用します。
さらに「女性」「30代」「左利き」といったような条件を加えることで、よりターゲットを絞った製品開発も可能です。
「膨大なデータから情報収集」でも触れたように、売れる製品を作るためには、激動する顧客ニーズに応える必要があります。今後の企業発展を望むなら、ChatGPTやAIの導入は必要不可欠といえるでしょう。
生産管理
五つ目の例は、生産管理です。生産管理とは生産計画に基づいた内容を管理することであり、生産計画とは生産におけるすべての予定・計画の事を指します。
進捗状況の管理はもちろん、不良品率の管理や原因究明などのデータ分析にも活用できるため、人が管理する手間をChatGPTによって減らせます。
また、スケジュールの設定やタスク管理などの生産計画も可能です。時間の節約になるだけではなく、人では気が付かない改善点も見つけて挙げることもでき、業務改善に役立つでしょう。
他にも、在庫管理や調達・購買計画などにも活用の可能性があり、様々な業務をChatGPTによって効率化できます。
まとめ:今後進化するChatGPTは製造業でも可能性が期待されます
ChatGPTは、自然な対話で回答する対話型のAIチャットです。今までのように検索結果だけを出力するのではなく、対話パターンを基にすることで、スムーズなやりとりを可能にします。
ChatGPTの活用方法は、ただ相談や情報検索だけではありません。小説やマニュアルの作成などクリエイティブな作業もサポートします。製造業においても、マーケティングや品質管理に活用でき、様々な工程で助けとなるでしょう。
近年はデジタル化の影響によって、AIを導入する企業・工業も増えてきています。ChatGPTがどんどん進化していくことで、ロボットやRPAなどのデジタルレイバーの質をさらに向上させていくことも考えられます。
より業務の効率化を図るためにも、ChatGPTを始めとした、デジタル技術の導入を検討してみてください。