進捗管理とは?効率よく進捗管理を行なうためのITツールとは?

進捗管理とは?効率良く進捗管理を行なうためのITツールとは?

進捗管理とは?効率よく進捗管理を行なうためのITツールとは?

「進捗管理」という作業を聞いた事はありますか?その名の通り、進捗を管理する作業のことであり、プロジェクト全体を把握するために必要となります。

近年は、顧客ニーズの変化によって生産形態が変化しつつあります。一人で複数の業務を担当できることが望まれ、昔のように一人1業務の生産形態は望まれていません。そして、複数の業務を管理するためにも、進捗管理が必要になってきます。

進捗管理では、どのようなことを行なうのか。必要な理由や効率的に行なうための方法などを紹介します。

進捗管理とは?

進捗管理とは?

進捗管理とは、作業のずれを確認する管理のことです。予定されたスケジュールに現在の進捗を照らし合わせ、作業の抜けや遅れなどを比較します。

また、ただ比較して終わるだけではなく、修正も進捗管理に含まれます。作業が遅れている場合は「なぜ遅れているのか」を分析し、必要となる対策を実施することで、作業のずれを修正するのです。

製造業に限らず、作業をする際はスケジュールを組むのが一般的です。スケジュールは作業進行の目安であり、作業を無事に終わらせるためには、スケジュールに沿って作業をする必要があります。

ですが、必ずしもスケジュール通りになるとは限りません。製造業なら、機械トラブルによってラインは停止しますし、注文書の変更によって作り直す場合もあります。その結果、スケジュールと現在の進捗との間に差異が生じてしまうでしょう。

現在の進捗に遅れが生じると、納品の遅れなどの問題が生じます。そのような問題を防ぐためにも、進捗管理が必要とされています。

進捗管理が必要な理由

スケジュール通り進まなくても、作業ができていれば問題ないように思えます。

ではなぜ、進捗管理が必要になるのでしょうか?

業務の漏れを防ぐため

一つ目の理由は、業務の漏れを防ぐためです。管理が不十分なことで必要な業務を見逃し、そのまま作業が進行するのを防ぐために必要となります。

一般的に、スケジュールは一本の流れとして作らず、複数のタスク(業務)に分けて計画されます。そして、各タスクに優先順位を付け、その順番に沿って作業を進めるのです。

ですが、タスクの数が多いと、順番を決めても見逃す場合があります。優先順位を間違えたり、作業の進行を忘れたりなどの可能性も生じるでしょう。

タスクに優先順位をつけるのは、効率よく作業を進めるためです。タスクの見逃しや間違いがあると、次のタスクに支障が出てしまいます。場合によっては前のタスクが終わっていないことで作業を中断する必要があり、大幅な作業の遅れとなるのです。

一つの漏れから業務全体を停止させないためにも、業務の進捗を把握しておく必要があります。

納期の遅延を防ぐため

二つ目の理由は、納期の遅れを防ぐためです。進捗管理ができていないことで作業の遅れに気がつかず、結果として納期が遅れてしまいます。

納期の遅れは、顧客との信頼関係に影響します。信用のない企業とは取引ができず、今後の取引がなくなってしまうでしょう。顧客を失うことから収入がなくなり、会社が倒産してしまうかもしれません。

そのような事態を防ぐためにも、こまめに進捗を把握し、作業の遅れを把握する必要があるのです。

また、納期が遅れないよう急いで作業すると、今度は細かなチェックが行き届かず、不良品の発生を許してしまいます。たとえ納期に間に合っても、不良品ばかりでは信用はがた落ちです。

業務は、遅すぎても早すぎても良い結果にはなりません。最適な速度で作業を進めるためにも、進捗管理は必要となります。

プロジェクト全体を把握しやすくするため

三つ目の理由は、プロジェクト全体の状況を把握しやすくするためです。「漏れ」でも触れたように、スケジュールは複数のタスクに分けてまとめられています。より分かりやすくするためには細分化も必要であり、プロジェクトが大きければ大きいほど、タスクの数も多くなるでしょう。

ですが、タスクが多くなると全体の把握が難しくなります。見逃しから漏れが生じたり、遅れに気がつかず対応が遅れてしまうかもしれません。

問題の発見は、時間が経てば経つほど発見が難しく深刻になりがちです。被害を拡大させないためには、早期に発見できることが重要になってきます。

問題を早期に発見できれば、機械を止めずに対処できます。結果として納期の遅れを防ぐこととなり、企業の信用を守ることにつながるのです。

進捗管理を適切に行なうコツ

進捗管理を適切に行なうためには。以下のポイントを意識してみてください。

業務を細分化する

一つ目のコツは、業務を細分化することです。各業務に分けて記載することで、記載されていない業務の見逃しを防ぐことができます。

例えば、「部品A」を作るとします。その場合は「部品Aの作成」とはせず、「原材料の準備」「部品加工」「検査」といったように、分けて記載します。「部品Aの作成」だけだと、「検査」をしていなくても気が付くことはできません。その結果、不良品を作ってしまい、後の工程に支障をきたしてしまいます。

ですが、分けて記載されていれば、「検査」をしていないことに気が付きます。その結果、不良品の排出を防ぎ、品質の安定化が図れるでしょう。

また、細分化すれば、優先順位も決めやすく、指示も出しやすくなります。複数人で作業する場合は担当者も分かりやすく、後に問題が生じても原因究明がしやすくなるのです。

もちろん、細分化すれば、それだけ数が多く見逃しやすくもなります。記載された業務の見逃しを防ぐためにも、進捗管理は必要です。

業務遂行の責任者を決めておく

二つ目のコツは、統括する責任者を決めておくことです。つまりは、進捗管理を行なう担当者のことであり、業務全体を把握する人物が必要となります。

責任者が不在だと、全体の把握ができず、業務の遅れに対する調整ができません。作業員同士が勝手に調整してしまうと、今度は別の部分で問題が生じてしまいます。そのような事態を防ぐためにも、統括する人物が必要なのです。

責任者は、基本的にプロジェクトリーダーが行なう事が多いですが、リーダーが忙しい場合は別の人が行なう場合もあります。ただ、調整や統括するのは難しく、誰でも良いわけではありません。

責任者に選ばれる人は、実績や能力があるのはもちろん、作業員たちから信頼されていることも条件として挙げられます。

フレームワークを利用して可視化する

三つ目のコツは、フレームワークによって業務の流れを可視化することです。フレームワークとは「枠組み・骨組み」のことを意味し、定型化した表や図に業務内容をまとめることで、全体の流れを把握しやすくします。

業務の流れを説明する際、言葉や文だけで説明するより、グラフや表で説明する方が何倍も伝わりやすいです。業務の見逃しや認識違いを防ぐためにも、「分かりやすさ」はとても重要といえます。

また、可視化されることで、作業員同士で情報共有がしやすくなります。指示を出さずとも率先して動いたり、責任者が見逃した内容に気がついたりなど、業務がより効率化され、作業効率が向上するでしょう。

定期的に進捗を報告する

四つ目のコツは、報告は定期的に行なうことです。トラブルに対して迅速な対応をするためにも、こまめに進捗を報告する必要があります。

トラブルは、時間が経てば経つほど深刻化します。「後で報告すればいいや」と放置してしまうと、被害が拡大してしまうわけです。

発覚した時点で対処すれば数時間の停止で済んだトラブルも、放置したことで様々なすり合わせと修正が必要となります。結果として、数時間どころか数日間の停止となり、プロジェクト全体が遅れてしまうでしょう。

そのような事態を防ぐためにも、報連相(ホウレンソウ)を意識した、定期的な報告が必要となります。

進捗管理ツールを使う

五つ目のコツは、管理ツールを使うことです。AIなどのデジタルツールを活用することで、より効率的に管理してくれます。

人は誰でも間違う事があり、それは経験のある責任者でも変わりません。進捗管理以外にもやることが多く、業務内容が多くなるほど間違いやすいです。

ですが、管理ツールを活用すれば、人的ミスを減らせます。進捗管理の作業時間も短くでき、その分他の仕事に集中できるようにもなるでしょう。

また、新しく業務が追加しても対応しやすいです。業務の修正は自力ですると時間と手間がかかりますが、管理ツールを使えば簡単ですぐに変更できます。

業務が少ない場合はなくても問題ありませんが、プロジェクトが大きくなるようなら、導入を検討することをおすすめします。

進捗管理を効率化するフレームワーク

進捗管理を可視化するフレームワークには、以下のような種類があります。

WBS(work breakdown structure)

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトの内容をタスクに分解して作成する方法です。別名「作業分解構成図」とも呼ばれます。

大まかな仕組みは、すべての業務をトップダウン形式で洗い出し、表などにまとめるだけです。本の見出し・中見出し・小見出しのように、業務内容を分けてまとめてください。

そして、業務はトップダウン形式でまとめられていますので、基本的には各項目を上から順に作業していく形となります。

また、各項目には、業務内容だけではなく、「担当者」「開始日」「期限」「進捗」などの項目も合わせて記載します。後で確認する際に必要となりますので、忘れずに記載しておいてください。

ガントチャート

ガントチャートは、各業務の開始日と終了日を、棒グラフで表す方法です。別名「スケジュール表」「工程表」などとも呼ばれています。

大まかな仕組みはWBSと同じで、すべての業務をトップダウン形式で洗い出し、表などにまとめるだけです。そして、横軸(縦軸)に日付を記載し、開始日から終了日までの日数を棒グラフで埋めることで、業務にかかった日数を可視化します。

グラフでまとめられているため、一目で進捗状況を把握できるのが、ガントチャートの特徴といえるでしょう。

また、WBSと一緒に活用することも可能です。WBSの脇にガントチャートを加えることで、両立させられます。ガントチャートを活用する際は、合わせてWBSも活用してください。

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カンバン方式

カンバン方式は、生産指示標(カンバン)を後(前)の工程に渡していく方法です。トヨタ自動車が考案したトヨタ生産システムの一つであり、生産指示標を部品とともに次の工程に渡すことで、工程間の流れを制御できます。

トヨタ自動車では、「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産する」ことを掲げており、カンバン方式によって必要な生産数を制御しています。作る個数などはすべて生産指示標に記載されているため、余分に作って余らせてしまう心配がありません。

また、後工程で使用した数を生産指示標に記載して送り返すことで、消費した数だけを生産指示できます。その結果、在庫は常に一定数となり、不良在庫の発生を防ぐことができるのです。

作業者としては送られてきた生産指示標に沿って作業すれば良いため、業務を見逃す心配がありません。

他にも、生産指示標が記録として残るため、製品の流れ(サプライチェーン)を追跡しやすくなります。製品管理はもちろん、問題が生じた際の原因究明もしやすくなることから、多くの企業でカンバン方式が取り入れられています。

PMBOK

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントに関する関係する方法を、ひとまとめにしたものです。「ピンボック」と呼ばれます。

スケジュール管理を行なう「スケジュールマネジメント」。コスト管理を行なう「コストマネジメント」。品質管理を行なう「品質マネジメント」などからなる10の知識エリアと、「立上り」「計画」「実行」などからなる5つのプロセスによって成り立ちます。

業務内容をそれぞれの項目に当てはめることで管理し、すべての項目を完了することで、プロジェクト全体が完遂することを意味します。

また、2021年に発表された最新版(第7版)では、10の知識エリアと5つのプロセス群は抹消され、新しく12の原則と8つのパフォーマンス・ドメインが定義されています。内容が変化した主な理由は、時代の移り変わりによって、生産体系や顧客ニーズが変化した事によるものです。10の知識エリアと5つのプロセス群(第6版)でも問題なく進捗会議が行えますが、時代に合わせるためにも知っておくといいかもしれません。

進捗管理に便利なITツール

進捗管理をするなら、ITツールの活用は欠かせません。人力でも可能ではありますが、管理には手間と時間がかかります。人的ミスの可能性もあり、より効率的に作業を進めるためには、ITツールの活用が必要になってきます。

タスク管理ツール

タスク管理ツールは、その名の通り、タスク管理をサポートするためのツールです。業務内容を各フレームワークでまとめ、分かりやすくしてくれます。

また、製品によっては、メンバー同士で連絡を取り合える機能や、納期が近くなると通知を行なう機能といった便利機能も搭載しています。さらに、スマートフォンやタブレットからも使用でき、いつでもどこでも確認が可能です。

情報を共有しやすくもなり、より効率的にタスク管理が行えるでしょう。

主なツールには、以下のような製品があります。

  • Trello
  • TeamHack
  • Lucidchart

プロジェクト管理ツール

プロジェクト管理ツールは、その名の通り、プロジェクト全体を管理しサポートするためのツールです。

基本的にはタスク管理ツールと同じ機能を有していますが、タスク管理ツールは個人のタスク管理に重点をおいているのに対して、プロジェクト管理ツールは全体の進捗管理や業務計画を管理することに重点をおいています。

大まかな解釈としては、各作業員がタスク管理ツールを活用し、業務遂行の責任者がプロジェクト管理ツールを活用して全体を管理するといった使い方になるでしょう。

主なツールには、以下のような製品があります。

  • Jira Software
  • ZAC
  • Time Krei

生産スケジューラ

生産スケジューラとは、生産スケジュールを計画するためのツールです。各リソースや生産量、期限などの情報を照らし合わせ、現在の状況から導き出せる最適な生産計画を立案します。

生産計画の組み立てに活用されるのはもちろん、生産計画の修正も生産スケジューラを活用すれば難しくはありません。業務の見逃しや遅れが生じた際にも活躍してくれるでしょう。

ちなみに、生産計画の組み立てなら生産管理システムでも可能です。ただ、生産スケジューラよりも、細かく計画することは難しいです。分・秒単位での生産計画などを計画する際は、生産スケジューラを活用するようにしてください。

主なツールには、以下のような製品があります。

  • FLEXSCHE
  • Asprova APS
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まとめ:進捗管理はプロジェクトを効率良く遂行するために欠かせない作業

進捗管理は、業務全体を把握するために必要な作業です。進捗管理をしていないと、業務の漏れや遅れに気がつかず、完遂が予定よりも遅れてしまいます。

完遂の遅れは納期の遅れにつながり、ひいては企業の信用の低下につながります。信用がない企業は取引されなくなり、最終的には企業倒産の危機に陥ってしまうでしょう、

そのような事態を防ぐためにも、納期を遅らせるわけにはいきません。タスク管理ツールや生産スケジューラなどを活用して、進捗管理を徹底することが大切です。

計画変更に強い中小製造業向け生産スケジューラ「Freely」

カイゼンナビを運営するNCK(株式会社日本コンピュータ開発)では、多品種少量生産を行なう中小製造業様向けに、クラウド型生産スケジューラ「Freely」を提供しています。

計画ボードと作業指示カードを通じて、いつでもどこでも作業計画及び最新の進捗を確認できます。作業指示カードは表示する項目やレイアウト、種類ごとの色分けを自由に設定できるほか、製造に必要な図面や作業手順を関連付けて登録することが可能です。カードはタッチ操作で簡単に配置、並べ替えできるため、スムーズな情報伝達や、計画変更が可能になります。また、CSVファイルの取込、CSVファイルへの出力や、表計算ソフトとの連携による予実管理も可能です。

パソコンに不慣れな方でも簡単に操作できるため、製造現場へのIT導入の推進も期待できます。