2015年の国連サミットにおいて、新しくSDGsが採択されました。世界の問題を解決するための取り組みであり、現在の問題解決はもちろん、将来への禍根を残さないためにも、取り組みが必要とされます。
SDGsを成功させるためには、国や地域だけではなく、個人や企業の努力も必要です。今後の社会を変えていくためにも、SDGsについて知っておく必要があります。
SDGsとはどのような取り組みなのか。必要とされる意味や、主な取り組みなどについて紹介します。
SDGsとは?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、持続可能な開発目標を意味する言葉です。17のゴール(最終的な目標)を達成するために169のターゲット(具体的な手段)から成り立っています。
2015年の国連サミットで採択された目標であり、「「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標」として決定されました。
元々、SDGsの前身には「MDGs(Millennium Development Goals)」があり、MDGsの考えを引き継ぐ形の目標となります。
MDGsの時点では、8のゴールを目指す21のターゲットを発展途上国の目標として挙げられていましたが、近年では世界的な問題は途上国だけの問題ではないという考えから、すべての国の目標として変更されています。
さらに、それに伴いゴールやターゲットの数も増加しています。近年は環境やエネルギー問題なども増えてきており、2000年代と同じ考えでは「より良い世界」は実現できません。
今なお貧困や飢餓などはなくならず、MDGsは決して達成されたとはいえない状態です。次回の国連サミットまでに実現できるよう、全世界が169のターゲットに取り組んでいます。
持続可能な開発目標の概要
SDGsの最終的な目標は、世界のあらゆる問題をなくすことです。貧困、差別、格差、環境問題など、世界には様々な問題が溢れており、それらが残ったままではより良い社会の実現はできません。より良い社会を実現するためにも、それらの問題を解決していく必要があります。
また、目標の達成は持続可能であることも必要です。一時的に目標を達成しても、すぐに元の状態に戻ってしまっては意味がないからです。SDGsの最終目標はより良い社会の実現であり、社会や世界の改革が求められます。
そして、それら目標(ターゲット)を達成するためには、すべての国と地域で行う必要があります。世界の問題は世界各国で問題とされており、MDGsの時のように、特定の国や地域だけが取り組んでも、根本的な問題解決にはなりません。
世界共通の開発目標を達成するためにも、国や地域の取り組み、ひいては個人や企業による意識改革が必要とされているのです。
SDGsの17のゴールと169のターゲット
SDGsにおける17のゴールとは、どのような内容を指すのか。それぞれ確認をしてみましょう。
目標1【貧困】
1つ目の目標は、「あらゆる場所・あらゆる形態での貧困を終わらせる」ことです。収入を増やすことで貧困とされるラインを引き上げ、今より裕福な暮らしになるよう目指します。
また、貧困となる原因は経済だけではありません。気候変動による被害も挙げられます。環境や災害による貧困をなくすためにも、様々な支援と開発を目指す必要があります。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 1.1:1日1.25ドル未満で生活する人をゼロにする
- 1.2:貧困に悩むすべての人を今より半減する
- 1.3:貧困層・脆弱層に対して、十分な社会的な保護を実施する
- 1.4:すべての人が、財産や金融など経済的資源について平等に得られるようにする
- 1.5:自然災害の被害による社会的な打撃を軽減する
- 1.a:開発途上国に対して、予測できる様々なサポートを導入する
- 1.b:貧困を撲滅するための、投資や政策的枠組みを構築する
目標2【飢餓】
2つ目の目標は、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことです。空腹によって人々が苦しむことがないよう、安全な食事が十分に配られるよう目指します。
また、配給が一時的では意味がありません。持続可能な開発目標にするためにも、農業の発展・促進も必要です。生産量が増えれば配給も十分にされ、飢餓に苦しむ人を減らすことができるのです。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 2.1:すべての人が、毎日安全な食べ物を十分に食べられるようにする
- 2.2:子供・妊婦・高齢者などに対する、栄養不足問題を解決する
- 2.3:小規模食料生産者の所得を増やす
- 2.4:生産性を向上させ、自然災害が生じても持続可能となる食糧生産システムを構築する
- 2.5:遺伝子組み替えによって得た利益を、公正かつ平等に配分する
- 2.a:開発途上国の農業生産能力向上のために、必要となる投資を行う
- 2.b:農作物に対する輸出制限などを廃止し、歪みのない公平な貿易をする
- 2.c:食料品の急激な価格変化を防ぐため、備蓄などの措置を講じる
目標3【保健】
3つ目の目標は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」ことです。老若男女すべての人の健康と福祉を守り、充実した生活が送れるよう目指します。
また、より良い生活を送るためには、健康維持だけではなく死亡因子の抑制も必要です。交通事故、感染症、環境汚染による被害、出産時の事故などにも対処し、安全な生活が送れるよう対策を取ります。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 3.1:妊産婦の死亡率を、出生10万人当たり70人未満に削減する
- 3.2:新生児や5歳未満の死亡率を減らす
- 3.3:感染症の根絶や対策を行う
- 3.4:感染症以外での死亡率を、現在の3分の1に減少させる
- 3.5:薬物やアルコールの過剰摂取による被害を減らす
- 3.6:交通事故による死者数を半減させる
- 3.7:すべての人が、国や地域が提供する保健サービスを利用できるようにする
- 3.8:すべての人が、適切な治療やリハビリを受けられるようにする
- 3.9:環境汚染による死亡や疾病被害を大幅に減少させる
- 3.a:たばこの規制を適宜強化する
- 3.b:開発途上国に対して、必要なワクチン開発と支援を行う
- 3.c:開発途上国の保健財政、及び保健人材を充実させる
- 3.d:すべての国で、危険因子の早期発見と、対策をとるための能力を強化する
目標4【教育】
4つ目の目標は、「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」ことです。すべての子供が平等に教育が受けられるよう、学ぶための環境を整えます。
知識は、より良い生活をするために必要不可欠な要素です。知識がないと判断することができず、より良い未来を選択することができません。環境汚染やジェンダー問題などに理解を示すためにも、教育は必要といえます。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 4.1:すべての子供が、無償で中等教育以上の勉強ができるようにする
- 4.2:すべての未就学児が、入学前教育を受けられるようにする
- 4.3:すべての人が、手ごろに高等および大学での勉強ができるようにする
- 4.4:起業や独立に必要な、技術的・職業的スキルを若者に教える
- 4.5:すべての人が、平等に教育や職業訓練できる環境を整える
- 4.6:すべての人が、読み書きや基本的な計算ができるようにする
- 4.7:SDGsについて理解し、取り組みに必要な知識と技術を習得させる
- 4.a:すべての人に対して、安全で効果的な学習環境を提供する
- 4.b:開発途上国への、奨学金件数を大幅に増やす
- 4.c:開発途上国の教員数を増やす
目標5【ジェンダー】
5つ目の目標は、「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う」ことです。男女平等な社会を目指すため、女性の地位や能力の向上を目指します。
また、近年はLGBTQを宣言する人も増えてきています。女性に対してだけではなく、それら性的少数者の意見にも、耳を傾ける必要もでてくるでしょう。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 5.1:あらゆる場所・形における、女性差別を撤廃する
- 5.2:女性に対する、あらゆる性暴力を排除する
- 5.3:早期結婚を始めとした、女性に対するあらゆる有害な慣行を撤廃する
- 5.4:介護や家事の担当を見直し、家族や社会全体でサポートできるようにする
- 5.5:政治や経済など、あらゆる意思決定において、女性が参加できるようにする
- 5.6:自由に性を選べ、権利を利用できる
- 5.a:女性にも、経済的権利を平等に与える
- 5.b:情報技術(ICT)を始めとした技術を活用し、女性の能力向上を目指す
- 5.c:ジェンダー平等に向けた政策を、導入・強化する
目標6【水・衛生】
6つ目の目標は、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」ことです。すべての人が、安心して安全な水が飲めるよう、インフラ環境を整えます。
また、水質を維持するため、衛生施設はもちろん山地や森林などの、環境に対する配慮も必要もあります。飲み水の確保は、生きる上で必要不可欠な要素です。飢餓への対策と合わせ、優先すべき取り組みといえるでしょう。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 6.1:すべての人が、安全な水を安くいつでも飲めるようにする
- 6.2:すべての人が平等にトイレを使用できるようにし、野外排泄をなくす
- 6.3:水質汚染となることを減らし、再利用可能な安全な水質へと改善する
- 6.4:水の利用を見直し、水不足に悩む人の数を減らす
- 6.5:国境で線引きをせず、すべての水資源管理を協力して行う
- 6.6:森林や沼地など、水に関係する生態系を守る
- 6.a:開発途上国に対して、水と衛生分野で支援を行う
- 6.b:水や衛生に関する地域コミュニティを促進させる
目標7【エネルギー】
7つ目の目標は、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことです。電気やガスといった生活に必要なエネルギーを、誰もが気軽に使えるようインフラ環境を整えます。
近年は、化石燃料の枯渇が心配されており、新しいエネルギーの開発が注目されています。環境保全の面から考えても、クリーンで持続可能なエネルギーの開発は必須といえるでしょう。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 7.1:ガスや電気などを、安価で使用できるようにする
- 7.2:世界全体で、再生可能エネルギーの割合を増やす
- 7.3:世界全体で、エネルギー効率を見直す
- 7.a:国同士が協力し、クリーンなエネルギー開発を研究・投資する
- 7.b:開発途上国に対して、持続的なエネルギー供給ができるようにする
目標8【経済成長と雇用】
8つ目の目標は、「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」ことです。すべての人が、望んだ働き方ができるような社会作りを目指します。
安定した労働は、人に安心と生きがいを与えてくれます。経済も発展することで、より生活が豊かに変わっていくでしょう。
また、強制労働や人身売買も終わらせることで、子供たちの未来も守ります。日本では馴染みがないかもしれませんが、取り組みが望まれる国も少なくはありません。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 8.1:各国の状況に合わせ、経済成長率を向上・持続させる
- 8.2:技術向上によって、経済生産性を向上させる
- 8.3:雇用創出・起業などを促すため、企業設立や成長をサポートする政策を整える
- 8.4:消費と生産の効率を見直し、経済成長による自然環境の悪化を防ぐ
- 8.5:すべての人に、働きがいのある仕事と、労働に対する平等な対価を支払う
- 8.6:勉強や仕事をしていない若者の数を減らす
- 8.7:強制労働・人身売買・児童労働を撲滅する
- 8.8:移住者に対して、安全安心な労働環境を提供する
- 8.9:観光業界を促進させ、持続的な雇用創出や文化振興がされる政策を整える
- 8.10:すべての人が、銀行や金融サービスを利用できるようにする
- 8.a:開発途上国に対して、貿易のための援助を行う
- 8.b:世界規模で、若者が働くための雇用・環境を整える
目標9【インフラ、産業化、イノベーション】
9つ目の目標は、「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことです。金融や技術などのインフラを整えることで、安定して産業が発展するのをサポートします。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 9.1:すべての人が公平に利用できる、持続可能なインフラを整える
- 9.2:包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、GDPを増加させる
- 9.3:小規模な企業でも、気軽に金融サービスや市場利用・参加ができるようにする
- 9.4:環境に配慮した技術で、インフラや産業の改善を行う
- 9.5:研究開発従事者数を大幅に増加させ、すべての国の技術向上を目指す
- 9.a:開発途上国への、金融・技術提供を行い、インフラ開発を促進させる
- 9.b:産業の多様化や新しい価値を生み出すため、開発途上国への技術支援を行う
- 9.c:開発途上国でも、安価でインターネットを利用できるようにする
目標10【不平等】
10つ目の目標は、「国内及び各国家間の不平等を是正する」ことです。年齢、性別、障害などの違いを問わず、すべての人が同じ権利を持てるような社会を目指します。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 10.1:所得が低い人を、国内平均所得まで引き上げ持続させる
- 10.2:年齢、障害、人種などを問わずすべての人々が、社会的に平等な状態にする
- 10.3:差別的な法律や政策を廃止し、機会や成果における不平等をなくす
- 10.4:税制、賃金、社会保障政策などの政策を導入し、平等の範囲を広くする
- 10.5:世界金融市場と金融機関に対する規制を改善し強化する
- 10.6:地球規模の会談する場において、開発途上国の参加や発言力を高める
- 10.7:管理と秩序のとれた、安全で規則的かつ責任のある移民政策を行う
- 10.a:開発途上国に対しては、特別な待遇を保障する
- 10.b:開発途上国など、今後の成長が期待できる国に対して、資金支援を行う
- 10.c:移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げる
目標11【持続可能な都市】
11つ目の目標は、「包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」ことです。交通機関や公共設備などを改善し、生活がしやすい都市開発を行います。
また、ただ都市化することを目指すだけではなく、自然遺産や廃棄物の処理など、環境に配慮した取り組みも実施します。心身のどちらにとっても、「住みたくなる街」にすることが大切です。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 11.1:すべての人が安全な住居を確保し、スラム街を改善する
- 11.2:子供や高齢者などに配慮した、安全かつ安価な公共交通期間を提供する
- 11.3:すべての人が利用可能な、計画的な都市開発を進める
- 11.4:文化遺産・自然遺産の保護・保全に努める
- 11.5:水害被害を削減し、経済損失を減らす対策を実施する
- 11.6:都市がもたらす環境汚染を減らす
- 11.7:すべての人が安全に利用できる、緑地や公共スペースを提供する
- 11.a:地方の開発計画を強化し、都市部とのつながりを支援する
- 11.b:あらゆる災害レベルにおける、リスク管理・策定・実施を行う
- 11.c:開発途上国に対して、地元の資材を用いた建設支援を行う
目標12【持続可能な消費と生産】
12つ目の目標は、「持続可能な消費生産形態を確保する」ことです。必要な量を作り必要な量だけを使うことで、資源やエネルギーのムダを減らす取り組みをします。
ムダを減らせば廃棄も減らせ、環境保全につながります。フードロスを減らすことで飢餓や貧困の解決につながるなど、他のゴールにも関係してくる取り組みです。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 12.1:SDGsに対する10年計画を、先進国主導の下、すべての国が対策を講じる
- 12.2:天然資源の効率的な利用管理ができるようにする
- 12.3:世界全体のフードロスを減らす
- 12.4:廃棄方法を見直し、環境や人体に悪影響の出ない方法を実施する
- 12.5:廃棄物の削減・リサイクルによって、廃棄物の発生を大幅に減少させる
- 12.6:大企業は、SDGsに関する取り組みを、持続的に導入・発信する
- 12.7:国内の政策に従って、国自らが公共調達を慣行する
- 12.8:すべての人が、SDGsに対する意識と知識を持てるようにする
- 12.a:開発途上国に対し、持続可能な消費・生産をするための技術支援を行う
- 12.b:観光業界に良い影響をもたらす手法を開発・導入する
- 12.c:ムダな消費を減らし、天然資源に対する非効率的な補助金を合理化する
目標13【気候変動】
13つ目の目標は、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことです。自然災害や異常気候などの自然に対する脅威に対して、対応できるような仕組みや対策に取り組みます。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 13.1:すべての国において、自然災害に対する強靱性と適応力を高める
- 13.2:気候変動対策を、国の政策や戦略に盛り込む
- 13.3:気候変動に対する知識や適応力を、教育や啓発によって伝授する
- 13.a:速やかな資金調達を行い、気候変動から開発途上国を保護する「緑の気候基金」を本格始動させる
- 13.b:すべての人を対象とした、気候変動関連の対策メカニズムを推進する
目標14【海洋資源】
14つ目の目標は、「持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ことです。海洋汚染を予防するのはもちろん、小島嶼開発途上国や後発開発途上国などの、水産資源・技術に頼る国の経済的発展を促します。
島国である日本にとって、海洋資源はとても重要です。日本の未来を守るためにも、意識して取り組む必要があります。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 14.1:あらゆる種類の海洋汚染を防止する
- 14.2:海洋保全による、生態系回復のための取り組みを行う
- 14.3:科学技術などを駆使して、海洋酸性化を防止する
- 14.4:水産資源を守るため、漁獲量を制限する
- 14.5:沿岸域の保全を行う
- 14.6:開発途上国に対して、乱獲につなが補助金を禁止する
- 14.7:開発途上国の経済に便宜をはかり、水産資源の保全や管理を行う
- 14.a:海洋保全を行うため、知識や技術を世界的に共有する
- 14.b:小規模・零細漁業者に対して、市場へのアクセスを支援する
- 14.c:海洋法を守り、持続的に海洋利用できるようにする
目標15【陸上資源】
15つ目の目標は、「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ことです。森林を管理・増加することで砂漠化を防ぎ、自然環境を守る取り組みをします。
また、外来種の侵入を防止したり絶滅危惧種の保護をしたりなど、生態系を守る取り組みも実施し、次の世代に自然環境が残せるよう努めます。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 15.1:環境保全を行い、陸上生態系の保護・回復を行う
- 15.2:森林の減少や劣化を抑制し、持続的に森林資源を活用できるよう植林を増やす
- 15.3:砂漠化・劣化した土地の、土壌回復に取り組む
- 15.4:山岳地帯における、生態系の保全を行う
- 15.5:絶滅危惧種を守るため、自然生息域の改善や生態系の保護を行う
- 15.6:生物遺伝によって得られる利益を、公平に分配する
- 15.7:密猟を撲滅し、保護生物を守る
- 15.8:外来種の侵入を防ぐための、対策や駆除を行う
- 15.9:生態系や生物多様性の価値を、地方における開発戦略や会計に組み込む
- 15.a:生態系や生物多様性を保全するための、資金援助を行う
- 15.b:開発途上国の環境保全を行うため、資金援助と動機づけを行う
- 15.c:密猟を防ぐための取り組みに対して、世界的な支援を行う
目標16【平和】
16つ目の目標は、「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責 MDGs 任のある包摂的な制度を構築する」ことです。人の尊厳を守る取り組みをすることで、平和な世界にすることを目指します。
そのためにも、法の改正や不正の取り締まり、犯罪組織の根絶など、国家や世界レベルでの取り組みが必要です。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 16.1:すべての暴力と、暴力が原因の死亡することをなくす
- 16.2:子供に対する、虐待や搾取を撲滅する
- 16.3:すべての人が、平等に法律で守られるようにする
- 16.4:あらゆる犯罪組織を根絶させる
- 16.5:汚職や賄賂を大幅に減少させる
- 16.6:透明性の高い、信用ある公共機関にする
- 16.7:すべての意思決定を、話し合いで解決できるようにする
- 16.8:グローバル・ガバナンス機関(国連会議)に、開発途上国も参加できるようにする
- 16.9:すべての人に、法的な身分証明を与える
- 16.10:法律に従って、すべての人が、自由に情報に閲覧できるようにする
- 16.a:国際的な協力によって、開発途上国における暴力や犯罪を撲滅する
- 16.b:差別のない世界にするための、法規や政策を実施する
目標17【実施手段】
17つ目の目標は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」ことです。持続可能な目標を達成するため、世界規模で協力し合う必要があります。
ターゲットの内容は以下の通りです。
- 17.1:開発途上国に支援をして、国内資源・資産を増やす
- 17.2:先進国は、開発と条項に対してODA(政府開発援助)を行う
- 17.3:開発途上国への支援金を増やす
- 17.4:開発途上国が負債を返却できるよう支援する
- 17.5:開発途上国への投資枠を増やす
- 17.6:相互に合意して、技術促進メカニズムなどの知識共有を行う
- 17.7:相互に合意したうえで、環境に配慮した技術を、開発途上国に提供する
- 17.8:情報通信技術(ICT)を強化し、開発途上国の科学技術を向上させる
- 17.9:開発途上国に対して、SDGsに必要な支援を行う
- 17.10:世界貿易機関(WTO)のルールのもと、平等な貿易交渉を行う
- 17.11:開発途上国における輸出量を増やす
- 17.12:世界貿易機関(WTO)の範囲内で、開発途上国への貿易を優遇する
- 17.13:すべての国が協力し、マクロ経済の安定を目指す
- 17.14:SDGs実現のため、一貫性のある政策を行う
- 17.15:SDGsへの取り組みは、各国の政策を尊重する
- 17.16:すべての国が協力して、SDGs推進に必要なパートナーシップを強化する
- 17.17:様々なパートナーシップを強化するの中から、特に効果的なパートナーシップを推進する
- 17.18:開発途上国の情勢を、いつでも把握できるようにする
- 17.19:GDP以外、進捗状況を測る仕組みを開発する
SDGsの重要性と意義
SDGsが必要とされる理由は、世界における危機感が高まっているからです。今まで、開発途上国の発展も含め、世界的な技術開発が推進されていました。近年の技術進歩は目覚ましく、世界がより便利になったといえるでしょう。
ですが、その一方で環境問題は増加しています。温暖化を始め、石油資源の枯渇や水質汚染など、昔と比較すると、その影響は決して少なくありません。
さらに、技術が発展しても、格差は広がる一方です。MDGsによる取り組みも決して成功したとはいえず、貧困や飢餓による問題は残ったままといえます。
他にも、ジェンダーや雇用についての問題も、近年における問題の一つといえるでしょう。
以上の問題は、決して時間の経過で解決する事柄ではありません。特に、資源や環境といった問題は、時間とともに深刻化していくと考えられます。
世界の問題を将来に残さないためにも、今から対策をしていく必要があるのです。
また、世界の問題をビジネスチャンスと考える人たちもいます。自然エネルギーの開発や荒廃した地でも育つ作物の開発といったように、SDGsに取り組むことで、新事業の拡大につながります。
世界の将来を守るのはもちろん、自社の利益向上を目指すためにも、多くの国や地域、企業がSDGsに注目しているのです。
SDGs達成への取り組み
SDGsを達成するためには、どのような取り組みが行われているのか。それぞれの取り組みについて確認してみましょう。
国際レベルでの取り組み
世界的な取り組みとして、ラグンセルス社のリサイクル活動が挙げられます。ラグンセルス社はスウェーデンを中心に活動する環境コンサルタント会社であり、本来なら埋め立ててしまう断熱材を、別の形にリサイクルすることで、埋め立て処理される量を減らす取り組みをしています。
スウェーデンは気候が厳しい国であり、断熱材は必需品といっても過言ではありません。当然、消費頻度も激しいことからゴミになる量も多く、環境を守るための対策は重要になってきます。
スウェーデンでは、SDGsへの取り組みが一つのブランドになると考えており、国はもちろん多くの企業が、SDGsに対して本気で取り組んでいるのです。
また、フィンランドでは首都ヘルシンキの観光情報ホームページ内に、サステイナビリティ(持続可能性)に焦点を当てたページが掲載されています。行政が率先して行動を示すことで、国民全員がSDGsについて意識するようになるだけではなく、観光客にもSDGsへの意識を呼びかけているのです。
他にも、デンマークにおいては育児や家事がしやすい環境を整えるなど、それぞれの国で違った取り組みが進められています。
国内レベルでの取り組み
国内の取り組みとしては、「ジャパンSDGsアワード」が挙げられます。2017年にSDGs推進本部によって創設された制度であり、日本の企業や団体がSDGs達成に貢献することで、その取り組みを表彰します。
これにより、SDGs達成が見える化され、誰からも功績が分かりやすくなりました。取り組みをしていることも大勢から認知されるようになり、ブランドイメージの向上にもなるでしょう。
さらに、目標も分かりやすくなることで、他の企業や団体もSDGs達成に取り組みやすくなります。方向性とゴールを示すことで、SDGs達成に向けた活動を促進させます。
他にも、「SDGs未来都市」が挙げられます。SDGs達成に向けた取り組みを行った都市がSDGs未来都市に認定され、その中でも特に先導的な取り組みをした都市は、「自治体SDGsモデル事業」として国からの資金支援が受けられるようになります。
どちらの政策も企業や団体の競争意欲を煽る仕組みであり、企業や団体が率先して、SDGs達成に取り組むよう促しているわけです。
個人レベルでの取り組み
個人の取り組みとしては、節水やゴミの分別などが挙げられます。ムダに資源を消費しないのはもちろん、ごみを分別しリサイクルすることで、環境汚染を減らすことができるでしょう。
他にも、家事を手伝うことでジェンダー対策、フードロスを減らすことによる持続可能な消費対策、フェアトレードを意識した取引を行うことによる経済成長の促進などが考えられます。
個人でできることはたかが知れていますが、すべての人が意識し取り組めば、その影響は大きいです。
「たかが個人の影響」とは思わず、できることから始めてみてください。
まとめ:より良い社会の実現を目指す持続可能な世界共通の目標
SDGsとは、より良い社会を目指すために、必要となる取り組みのことです。17のゴールを達成することで、「誰一人取り残さない持続可能でよりよい社会」が実現します。
ターゲットは169と数多いですが、内容の多くは、エコや平等に関する事ばかりです。リサイクルや節約、平等な社会を作るために必要な教育や保健などが、主なターゲットといえるでしょう。
普段の生活の中で、環境破壊や差別的な行いはしていますか?地球と社会の未来を守るためにも、普段の生活や事業を今一度見直し、SDGs達成を目指した取り組みを行うようにしてみてください。