業種や立場によって多様化する9つのQCD派生フレームワーク

業種や立場によって多様化する9つのQCDの派生フレームワーク

業種や立場によって多様化する9つのQCDの派生フレームワーク

「QCD」という言葉を聞いたことはありますか?顧客の要望に応えるための要素であり、強いては、企業の利益向上と成長に必要な要素ともいえます。

近年、デジタル社会に向け、多くの企業が新しい設備や仕組みを取り入れています。QCDに基づいた取り組みをする企業も少なくはありません。今後、デジタル社会へ向けた改修を行うためにも、QCDについて知っておく必要があるでしょう。

QCDとはどのような考えなのか。多様化したQCDの意味についても紹介します。

QCDとは?

QCDとは?

QCDとは、「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」からなる3要素を合わせた言葉です。

それぞれが、企業の信用や利益に関係する要素であり、企業の運営において最も大切な要素として考えられています。

各要素がなぜ企業にとって必要になるのか、それぞれの意味について考えてみましょう。

Quality(品質)

品質は、顧客満足度に影響します。誰だって、低品質の製品を欲しいとは思いません。顧客は一定の基準を満たした品質の製品を欲し、それに対して企業は、高品質な製品を提供する必要があります。

もし、低品質な製品しか作れないようだと、顧客は企業に見切りを付けます。一度落ちた信用は回復させるのが難しく、今後も仕事が無いことで企業が低迷してしまうでしょう。

長期的な企業の運営を目指すためにも、継続して依頼される、製品への信用が必要となります。

Cost(コスト)

コストは、企業の利益に影響します。利益とは収入から生産コストを引いた金額であり、コストが少ないほど、企業の利益になります。より利益を上げ企業を成長させるために、コスト削減はとても重要です。

ただ、コスト削減が必ずしも正しいわけではありません。コスト削減した結果、品質や安全性が損なわれては問題となります。逆にコストを上げても、品質や安全性が向上すれば顧客満足度は高くなるでしょう。

コストはただ削減すれば良いのではなく、どのように使うかが重要になってきます。

Delivery(納期)

納期も、顧客満足度に影響します。納期が守れないのは契約を守れないのと同じであり、信用問題になります。製品がないことで後の作業にも迷惑がかかり、顧客に多大な迷惑を与えてしまうでしょう。

また、発送の時間についても企業の責任です。発送すれば「後の責任は輸送企業」ではありません。発送の期間も含めて生産を進める必要があります。

たとえ高品質な製品を完成させても、必要な時に必要な場所になければ意味がありません。納期に間に合うような、生産形態が望まれます。

QCDの重要性

QEDの要素は、すべて企業の運営に必要な要素です。信用が無ければ仕事が貰えませんし、コストが高ければ企業の利益になりません。そのような状態が長く続けば経営が成り立たず、最終的には資産がなくなり倒産してしまうでしょう。

QCDの関係は、相互干渉し合います。品質を優先すればコストと納期がかかり、コストを優先すれば低品質になります。納期を優先した場合も低品質となるため、どれかだけを意識すれば良いという分けではありません。

多少品質を落としたとしても、コストと納期でメリットが出るようなバランスが、QCDでは求められます。

もちろん、QCDすべてが高水準なのが一番良いです。バランスを取りつつも、それぞれの評価を上げていくことが、企業にとっての課題となります。

ただ、状況に合わせて優先順位を変更することも大切です。「とにかく安くしてほしい」場合はコストを優先的に、「翌日までに必要」なら急ぎで製造するなど、顧客の注文に合わせた柔軟な対応が必要となります。

中でも、品質の優先度は高いです。どのような内容であっても、使える品質が求められるからです。これからも製品を購入してもらうためには、「この企業の製品なら」と思わせる品質が求められます。

また、次点としては納品の優先度も高めです。品質同様に信用に関係する要素になります。

そして最後がコストに関してです。コストが高く利益にならなくても、信用され取引が継続されれば、今後も利益が得られます。目先の利益に捕らわれず、長期的な利益を考えましょう。

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生産プロセスにおいて重要な3要素「QCD」とは?

多様化するQCDの種類

QCDはどれも企業にとって重要なことです。長期経営を目指すなら、最も意識すべき3要素といえるでしょう。

ですが、実際の経営では、QCDだけを意識していても経営は成り立ちません。安全性や従業員の待遇など、様々な要素を気にかける必要があります。

そのことから、近年では基本となるQCDの他に、必要な要素を足した新しいQCDが提唱されています。

QCDS

QCDSとは、QCDに「Safety:安全性」を加えた考えです。従業員の安全を守るのは企業の義務であり、顧客に対してだけではなく、従業員に対しても気にかける必要があります。

危険や負担が多い仕事場では、従業員は安心して働けません。従業員からの評価が下がり、離職者も増えてしまうでしょう。

企業において「人は宝」です。製造業に限ったことではありませんが、特に技術が必要な製造業にとっては意味が大きいといえます。

企業の「宝」を守るためにも、安全を意識した取り組みが必要です。

他にも、Sを「Service:サービス」として考える場合もあります。アフターケアや割引など、製品以外からのアプローチによっても顧客満足度は向上し、顧客から信頼されます。

「Safety」と「Service」。それぞれ考えと取り組みは異なりますが、どちらも企業にとっては重要な要素です。

QCDSE

QCDSEとは、QCDSに「Environment:環境」も加えた考えです。安全対策を実施するためには、危険のない環境を整えることも大切になります。

安全対策の方法として、「5S活動」というものがあります。「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」からなる考えであり、まとめると「作業場を綺麗に保ち、維持することで作業をしやすい環境を作る」といった内容です。整理・整頓・清掃を意識すれば、転倒や衝突による事故を防げるでしょう。

また、Sを「Service:サービス」として考える場合もあり、「環境」の要素を加えた「QCDSE」においても大切です。いくらサービスを良くしても、企業や工場内が汚いと、顧客に良い印象を与えません。

5Sを意識するのはもちろん、観葉植物を置いて明るく見せる、アクセスしやすい場所に事務所を構える、バリアフリーにするなど、顧客のことを考えた環境づくりも必要です。

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製造業における5Sとは?活動の目的と製造業における効果

QCDSM

QCDSMとは、QCDSに「Morale:士気」も加えた考えです。士気とは従業員のモチベーションの事であり、モチベーションを高めることで仕事に対する意欲がわきます。意欲は従業員の能率につながり、生産性を向上させるでしょう。

また、士気はSに対しても関係します。Sが「Safety:安全性」を意味する場合は安全対策への意識改革、「Service:サービス」の場合は顧客への接し方に対しての努力が期待されるわけです。

より良い企業や職場環境にするためには、従業員の意欲を高める必要があります。

QCDRS

QCDRSとは、QCDに「Risk:リスク」と「Sales:セールス」を加えた考えです。問題が生じた際の対策(リスク)と、製品の売り方(セールス)も、QCDRSでは重視しています。

トラブルが生じると、QCDすべてに影響がでます。機械トラブルによる不良品の排出や、納期に間に合わないなどの問題が生じるため、生産におけるトラブルは防がなければなりません。ですが、いくら気を付けていても絶対は難しく、少なからずトラブルが生じてしまうでしょう。

不測のトラブルを言い訳にしないためにも、万が一の可能性を考え、事前に対策を取る必要があります。

また、リスクは「Sales:セールス」にも関係します。製品を売り込む際には、アフターケアの考えも重要だからです。トラブルに対するアフターサービスもしっかりしていれば、顧客としても安心して企業の製品を利用できます。

QCDE

QCDEは、QCDに「Encironment:環境」を加えた考えです。近年、社会全体で環境保全が重要視されており、環境保全を意識した取り組みが求められています。

特に製造業は環境を汚染しやすい業種です。近年はかなり改善されましたが、昔は工場の煙や産業廃棄物など、環境破壊の筆頭ともいえたでしょう。

近年においてかなり改善されたとはいえ、それでもCO2の排出などの問題が残っています。

地球の未来を守るためにも、生産における環境保全はもちろん、環境保全を意識した製品を作ることも必要になってきます。

QCDF

QCDFとは、QCDに「Flexibility:柔軟性」を加えた考えです。顧客からの注文に対して柔軟に対応することも、企業側には求められます。

カタログや設計図にない内容であっても、誠実に対応できれば顧客からは感謝されます。感謝されることで評判も広がり、知名度や仕事量も増えていくでしょう。

ただ、あまりにも難しい場合は、断ることも必要です。無茶な内容だと履行することは難しくなり納期に間に合いません。低品質やコストの増加などにもつながり、QCDに悪影響を与えます。

また、従業員への負担も大きく、安全性や士気にも影響します。ハイリスクな注文にしないためにも、製造部門と営業部門は、しっかりした連携を取ることが大切です。

QCDDM

QCDDMとは、QCDに「Development:開発」と「Management:経営」を加えた考えです。開発は製品やサービスの評価を、経営は企業の仕組みや従業員について評価します。

商品の供給者(サプライヤー)を決める際の重要な要素であり、安全性や環境、士気やセールスなどを総合的に評価するといえるでしょう。

製造職というよりも、どちらかといえば経営者や発注担当など、サプライヤーと交渉する部門に必要な考えです。

PQCDS

PQCDSとは、QCDに「Products:品種」と「Safty:安全性」を加えた考えです。QCDを優先するのも大切ですが、まずは顧客が何を欲しているかを知る必要があります。たとえ高品質・低コストな製品を作ったとしても、顧客が望むものでないと意味がありません。そのため、QCDよりも先にPを付け、品種を最重要とします。

顧客の望む品物(多品種)を、良い品質(高品質)で、安く(低コスト・市場価格)、速く(短納期)、かつ安全(安全第一)に提供・サービスする」ことが、多品種少量生産を目指す近年において必要な考え方といえるでしょう。

また、Pを「Productivity:生産性」として考える場合もあります。生産性とは生産数を上げることであり、多品種少量生産とは異なりますが、生産性も重要な要素です。

PQCDSME

PQCDSMEとは、PQCDSに「Morale:士気」と「Environment:環境」を加えた考えです。PQCDSMEによる顧客へのサービスだけではなく、従業員や工場に対しても目を向けます。

他QCDの種類を合わせた考えであり、「最も望まれる企業・工場の形」といえます。要素が多いことで達成が難しくなりますが、より良い企業も目指すためにも、努力していきたいQCDです。

ちなみに、Mを「Motivation:動機づけ」として考える場合もあります。目標を持つことで働きがいや結束を保つといった意味になりますが、内容としては士気とあまり変わりません。

まとめ:業種や立場によって多様化するQCD

QCDは、企業や工場をより成長させるために必要な要素です。利益を上げるためには「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の3点を意識して取り組むことで、効果を発揮します。

新しく設備や仕組みを取り入れる際は、QCDを基準にして考えてみると良いでしょう。

また、QCDには派生した様々な種類があります。「Safety:安全性」や「Environment:環境」など、QCD以外にも重要な要素は多いです。

紹介したQCDの種類以外にも、企業によっては重要な要素があるかもしれません。「自社にとっては何が重要なのか」をしっかり考え、自社に合わせたQCDを意識するようにしてください。

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