自分の設備は自分で守る!自主保全とは?現場の設備を維持する活動

自主保全とは?自分の設備は自分で守る!現場の設備を維持する活動

自主保全とは?自分の設備は自分で守る!現場の設備を維持する活動

自分で使う設備は、普段から自分で調節していますか?大手企業になると、専門の保全員が存在し、作業員と保全員で分かれていることも珍しくはありません。それぞれが自分の仕事に専念でき、仕事をやりやすくしてくれます。

ですが、作業員と保全員で分かれていると、何かトラブルが生じても、すぐに対応ができません。保全員を待つ間は手持ち無沙汰となり、生産性を低下させる原因となります。

生産性を低下させないためには、トラブルが生じた際、作業員が自ら解決する必要があります。そのためにも、自主保全を普段から行い、設備について理解する必要があるでしょう。

自主保全とはどのような活動のことを指すのか。自主保全の流れとなる7ステップや、自主保全をより効果的にする、3種の神器について紹介します。

自主保全とは?

自主保全とは?

自主保全とは、作業者(オペレーター)が操作だけではなく、設備の状態や安全性などの予防措置を実施する活動の事です。

「生産におけるトラブルやロスをゼロにし、企業体質の改善を実現」する、TPM活動の基本的な一部でもあります。

今まで、操作と安全保全は、それぞれ別の人が担当するのが一般的でした。「私つくる人、あなた直す人」といったように、同じ設備を担当していても、それぞれ考えや役割が違っていたのです。

ですが、それだと細かい意思疎通ができません。いくら安全保全担当の人が操作担当の人に状況を説明しても、認識の違いから無茶をしてしまいます。その結果、いくら安全対策を講じても、トラブルや故障は改善されませんでした。

そこで、作業者が設備保全も担当する、自主保全の考えが取り入れられます。自主保全では、作業者が設備保全も担当するため、以前のような意思疎通による違いが生じません。設備の仕組みや危険性を理解していることから、安全かつ正しく扱うことができるのです。

もちろん、作業者が安全保全も行うのは簡単ではありません。自主保全士という認定制度・資格も存在するほどで、自主保全は一種の技能ともいえるでしょう。

それでも、設備を安全に使うためには必要な考えであり、多くの作業者に自主保全が求められています。

自主保全の目的と特徴

自主保全が目指す目的とはどのようなことなのか。特徴と合わせて紹介します。

自主保全の目的

自主保全の目的は、生産におけるトラブルを無くすことです。設備にトラブルが生じると、トラブルを解決するため、設備を停止しなければなりません。当然、その間は生産することはできず、大きな生産ロスが発生してしまいます。

設備の調子が悪いとチョコ停止も増え稼働が不安定になるほか、不良品も発生しやすいです。生産性を高めるためには、正しく使い、設備のパフォーマンスを最大限活かす必要があります。

また、安全面についても忘れてはいけません。トラブルによるリスクが多いと、作業員のモチベーションを削いでしまいます。トラブルが多いことでストレスも溜まり、精神的にも疲れてしまうでしょう。

設備のトラブルを防ぐことは、生産性の低下や生産におけるリスクを軽減することにつながります。作業者をスキルアップし、生産性と安全性を両立させることが、自主保全の目的といえます。

自主保全の特徴

自主保全の特徴は、自主的に行動し守ることにあります。上司や保全課にいわれてルールを守るのではなく、自分で決めてルールを守ります。

「自主保全とは」でも触れたように、作業者と保全担当では、設備に対する考えは異なります。いわれたことを守るだけでは「なぜ必要なのか」が分からず、守らない可能性もでてくるでしょう。

ですが、自分でルールを決めて実行すれば、ルールの必要性も理解できます。リスクがあることは理解していますので、わざわざリスクを犯して作業することは少ないです。

また、ルールの仕組みが分かっていますので、状況に合わせて柔軟に対処できます。結果として、状況に合わせた適切な行動を取ることができ、安全に生産性を高められるでしょう。

自主保全の7ステップ

自主保全は、主に7つのステップに沿って活動が進められます。ステップを飛ばすことなく、順番に進めてください。

ステップ 内容 活動内容
第1ステップ 初期清掃 設備調整と不具合の確認
第2ステップ 発生源・困難箇所対策 不具合の解決策を立案
第3ステップ 自主保全仮基準の作成 解決案の現場投入とそれに伴う改良
第4ステップ 総点検 設備点検と問題の確認
第5ステップ 自主点検 問題を踏まえ点検項目の改良
第6ステップ 標準化 改良した点検項目の現場投入
第7ステップ 自主管理の徹底 点検の維持と状況に合わせた点検項目の改良

自主保全の活動の3つの段階

自主保全のステップは、7ステップであると共に、3つの段階に分けて考えられます。各ステップの目的をハッキリするためにも、基本構成となる3つの段階についても知っておきましょう。

第1段階:劣化を防ぐ活動

第1段階は、設備の劣化を防ぐための活動です。7つのステップにおいて、第1〜第3ステップまでの範囲が含まれます。

内容としては、設備を万全な状態へと保つため、補充や点検などを行います。設備に問題が生じたままでは、満足に使うことはできません。燃料や素材の補充はもちろん、設備の寿命を縮める汚れや、故障の原因となる不具合を綺麗に改善します。

設備保全の基本となる「清掃」「給油」「増締め」を実行し、自主保全のベースとするのです。

第2段階:劣化を測る活動

第2段階は、設備の劣化を測るための活動です。7つのステップにおいて、第4〜第5ステップまでの範囲が含まれます。

内容としては、設備の劣化がどのように生じるのかを確認し、日常点検に活かせるよう、設備への理解を深めます。第1段階は劣化を防ぐための対策でしたが、それだけでは、既存のトラブルにしか対応ができません。新しいトラブルには後手となり、対応が遅れてしまうでしょう。

そのためにも、新しい問題を予測し、事前に対処する必要があります。理屈に裏付けし、自ら考え行動するなど、柔軟な対応が求められます。

第3段階:標準化と自主管理の活動

第3段階は、標準化と自主管理をするための活動です。7つのステップにおいて、第6〜第7ステップまでの範囲が含まれます。

内容としては、第1段階と第2段階の総まとめです。今までの活動から設備についての理解を深め、自ら考えて自主保全に励めるようにします。

自主保全は、一度したらそれで終わりではありません。環境が変われば、環境に合わせた自主保全が必要となります。

たとえ設備や環境が丸ごと変わったとしても、変わらず自主保全が続けられるよう、自ら考え判断できる力を身に着けてください。

自主保全の3種の神器

自主保全は、自分1人で終わらせるのではなく、チームや企業全体で共有することも大切です。自主保全が共有されることで、企業全体のレベルアップにつながります。

さらに、他の人の意見も取り込むことで、より設備への理解が深まり、新しい考えが浮かんでくるでしょう。

そのためにも、自主保全を伝える環境や方法が必要となります。

活動がひと目でわかる「活動板」

活動板とは、自主保全の内容を見える化するためのツールです。大まかに説明すると掲示板のことであり、活動内容や進捗状況を表示することで、他の人も活動内容が分かるようにします。

大切なことは、「新鮮な内容である」ことと「内容が分かりやすい」ことです。活動内容は常に更新されるべきであり、報告内容も常に新しくする必要があります。新しい情報を常に仕入れできるようにするためにも、作業場や入口の近くなど、分かりやすい場所に設置する必要があるでしょう。

また、内容が分かりにくいと頭に入ってきません。読むのも大変だと、読まずにスルーされてしまいます。いくら重要なことを記していても、それでは自主保全に活かすことはできません。

画像やグラフなどを用いて見やすくするのはもちろん、「活動内容」「結果」「反省点」「改善案」といったように段階的に見出しを分けるなど、一目で内容を理解できるような活動版が求められます。

何をすべきか明確にする「ミーティング」

チームで情報を共有するためにも、ミーティングが必要です。それぞれが別々の自主保全をしていると、保全活動が異なってしまいます。活動内容の差からトラブルが生じる場合もあるため、チーム全体で共通認識を持つ必要があります。

また、ミーティングは反省や勉強をする場でもあります。自分にはない新しいことも学べ、より設備に対する理解が深まるのです。

他にも、ミーティングにはチームワークを深める目的もあります。互いに意見し話し合うことで、チームとしての雰囲気が良くなります。コミュニケーションも円滑となることで、細かいことも指摘し合えるでしょう。

長いミーティングを月1回行うよりも、短いミーティングを月4回する方が、情報の更新がしやすくコミュニケーションも多く取れます。

ただ、ミーティングへの無理強いはNGです。強制参加はチームワークを乱す原因となります。事前に知らせを出し、都合が付く人だけ参加するよう促しましょう。そして、参加できない人は、後で内容を伝えるようにしてください。

短い時間で自分たちで教え合う「ワンポイントレッスン」

ワンポイントレッスンとは、短時間でテーマを解説する教育方法のことです。内容を1シートにまとめ、5分程度で内容を説明します。自分たちで考えテーマをまとめるためには、設備に対する理解が必要です。自分で勉強するのはもちろん、人に説明することで、より設備に対する理解を深められます。

また、短時間の説明にすることで、内容も理解しやすいです。一度に複数説明されても、覚えるのが大変になるだけです。1つずつ覚え理解していくことで、内容が身に付きやすくなります。

他にも、短時間で説明できるため、仕事の時間を取られません。朝礼時や終了時など、ちょっとした時間に勉強会が行えるでしょう。

内容は特に決まりはありませんが、短時間で理解できるような形式が求められます。記事版同様に、画像やグラフを入れたり、見出しに分けて要点をまとめてください。

設備の改善を考える

自主保全による設備の改善は、どのように行えばいいのでしょうか?考える方法についていくつか紹介します。

第一歩として清掃点検

改善を始めるためには、まず清掃点検から行うと良いです。日常的に清掃を心がけることで、普段の様子とは異なる点に気が付きます。

もちろん、ただの点検でも問題はありませんが、直接手を加える方が、違いは分かりやすいです。

自主保全の7ステップでも、清掃から始めます。気持ちよく作業するためにも、まずは清掃から始めてください。

改善はECRSの法則で考える

改善点を探す際は、ECRSの法則で考えると良いです。ECRSとは「排除(Eliminate)」「結合と分離(Combine)」「入替えと代替(Rearrange)」「簡素化(Simplify)」からなる改善方法のことであり、4項目を意識して考えることで、より効率的に改善案を見つけるられます。

排除とは、ムダな部分を取り除くことです。整理整頓などを行い、不要なモノや工程を取り除きます。スッキリさせることにより、全体を把握しやすくなるほか、作業もやりやすくなります。

結合と分離とは、似た内容を結合したり、逆に複雑な内容は分離して考えることです。清掃と検査を同時に行うといったように、まとめてすることで時間の節約にもなります。

入替えと代替とは、別の方法に置き換えることです。手間がかかるモノを簡単なモノに変え、作業や整備の手間を改善します。壊れやすいパーツを丈夫な素材のパーツへと変更したり、設備を取り換え式にすることで、メンテナンスに必要な時間を最小限に済ませられます。

簡素化は、内容をシンプルにすることです。複雑で分かりにくいのは、作業のミスを誘発させます。操作も増えることで、設備が故障しやすくなるでしょう。一目で状況が分かり、故障しにくくするためにも、よりシンプルな設備が望ましいです。

ECRSの効果は、特に1番目である排除が大きいです。E・C・R・Sの順に、設備や作業工程を照らし合わせて考えてみてください。

関連記事

製造現場で必要なことは、より「作業効率」や「生産性」を向上させることです。作業時間を短くすれば生産性が上がり、企業の利益につながります。 他にも、コスト削減や人材の削減、ミスの削減なども重要な要素であり、それらの問題は、製造業[…]

ECRSとは?業務改善の近道となる4原則と実践例

全員参加でロスをゼロにするTPM活動

最後は、TPM活動を実施することです。あらゆる生産のムダをゼロにする活動であり、自主保全もTPM活動の一部となります。

TPM活動には他にも、設備ごとにロスを調査し把握する「個別改善」や、設備の故障を避け長持ちさせる「計画保全」など、自主保全も合わせて計8本の柱によって支えられています。

それぞれ内容は異なるものの、「設備を改善し、生産によるロスを無くすことで生産率を向上させる」目的は変わりありません。

TPM活動によって設備を改善し、生産ロスを無くしましょう。

TPMの8本柱

  • 個別改善:それぞれの設備を個別に改善し、個々のロスを減らす活動
  • 自主保全:作業員が設備について理解し、作業のムダを改善する活動
  • 計画保全:故障や劣化を防ぐためのスケジュール管理をする活動
  • 初期管理:今後発生する可能性のある問題を予測し、事前に対処する活動
  • 品質保全:設備不調による不良品ロスを防ぐ活動
  • 教育訓練:TPMを実施するための知識や技術を教育・学習する活動
  • 管理間接部門活動:整理・整頓・清掃を徹底し、作業効率の向上やロスの削減を目指す活動
  • 安全・環境管理:作業員の安全や環境問題への対策を配慮した活動

まとめ:自分の設備は自分で守る!

自主保全とは、設備を理解し、保全活動に努める活動のことです。作業者が設備に精通することにより、メンテナンスができるようになります。

また、仕組みも理解することで、状況に合わせて改良もできます。使用する設備をより良くすることで、作業効率を改善し生産性を向上させられるでしょう。

そのためにも、7つのステップを踏まえ、設備を理解する必要があります。自分一人では限界もありますので、3種の神器によって情報共有をすることも大切です。

作業設備は、道具であると共に自分の手足でもあります。手足の使い方がわからないと、人は作業をすることはできません。設備を「道具」として使い潰すのではなく、「手足」として理解し、使いこなせるよう自主保全に励んでください。

「多品種少量生産時代の生産管理システム・失敗しない3つのヒント」をプレゼント

「多品種少量生産時代の生産管理システム・失敗しない3つのヒント」を無料プレゼント

多品種少量生産、試作、特注、一品物など種類が増えるほど管理が煩雑になり、生産管理システムを導入する会社が増えています。「システムが現場に合っておらず、ほとんど使われていない」そんな失敗を未然に防ぐポイントがわかります。