2Sで製造現場の効率化を図ろう!カイゼン活動に繋がる「整理整頓」

2Sで製造現場の効率化を図ろう!カイゼン活動に繋がる「整理整頓」

2Sで製造現場の効率化を図ろう!カイゼン活動に繋がる「整理整頓」

2S活動という言葉を聞いたことがありますか?近年、製造業で題材とされる言葉の一つであり、製造環境を変える、とても重要な活動といえます。

製造環境をより良くするためには、チームはもちろん、個人による努力も必要です。そのためにも、2Sについて知っておく必要があります。

2S活動とはどのような活動を指すのか。主な目的や活動内容について紹介します。

2Sとは?

2Sとは?

2Sとは、整理整頓を合わせた活動の事です。それぞれ「Seiri(整理)」「Seiton(整頓)」の頭文字を取って造語としています。

整理整頓は、誰もが小学生の時にならった事だと思います。身の周りを綺麗にすることで、見た目だけではなく行動もしやすくなるでしょう。そして、それは仕事でも同じであり、整理整頓をすることで、仕事の効率などが良くなるわけです。

ですが、実際の現場では、整理整頓ができていない人はたくさんいます。中には、整理整頓の必要性が分からない人もおり、「整理整頓をして」とだけ伝えても、上手くいかないのが現実です。

整理整頓を実施してもらうためには、言葉だけでは足りません。従業員の自主性を促すためにも、2S活動が必要となります。

2Sの意味と目的

なぜ、製造現場では2Sが重要視されるのか、その理由を説明します。

2Sの意味:製造現場の整理整頓

「2Sとは?」でも説明したように、2Sとは整理整頓のことです。製造現場の整理整頓をすることで、作業がしやすい環境を整えます。

整理整頓が必要なのは、製造現場でも変わりません。散らかった製造現場では、満足に仕事ができず作業に支障をきたします。

小学生で習うことを改めて活動としている理由は、それだけ整理整頓が大切だからです。より良い製造環境にするためにも、整理整頓の意味を、今一度見直す必要があります。

2Sの目的:ムダを無くし、効率化

2Sの目的は、ムダを無くし業務を効率化させることです。整理整頓によって作業環境が整うことにより、ムダの無いスムーズな作業を可能にします。ムダが無くなれば作業効率も良くなり、生産性を向上させる結果にもなるでしょう。

また、整理整頓はリスク管理にも関係します。部品や道具が整頓されていれば、物に衝突したり転落してくる心配がありません。労災を防ぐことで、作業がしやすい現場を作ります。

他にも、見た目が綺麗になることで従業員のモチベーションを上げたり、ムダな作業を減らせることで従業員の負担を削減したりなど、企業と従業員のどちらにとってもメリットがあります。

2Sにおける2つの要素

現場において整理整頓は、どのような事をしているのでしょうか?

整理(Seiri)

整理とは、「いらない物を捨てる」ことです。死蔵在庫や不良品在庫、解決済みの書類や使わない道具などを、まとめて処分します。

死蔵在庫や使わない道具などは、置いておけばいつかは使うかもしれません。お金を出して購入したのですから、そのまま処分するのはもったいないです。

ですが、残しておいても保管スペースを圧迫するだけです。作業の邪魔になるだけではなく、他に必要な物が置けなくなります。管理をするのもコストがかかり、基本的にはデメリットしか生み出さないでしょう。

もったいないとは思いますが、使わない物・いらない物なら処分した方がメリットになります。

ただ、何でもかんでも捨てればいいわけではありません。製造記録や修繕記録などは、数年後に突然必要となる場合も多いです。一見すると不要な物でも、チームや上司と話し合って処分を決める必要があります。

そして、必要な物は分かりやすくまとめ、作業の邪魔にならないよう保管することが大切です。

整頓(Seiton)

整頓とは、「整った状態にする」ことです。散らかった物を元の状態に戻し、作業がしやすい環境に整えます。

また、ただ片付けるだけではなく、使いやすい状態にすることも整頓の一部です。普段使いする物を手に取りやすい場所へと整頓することで、作業効率が向上されます。作業工程や作業動線を考えたうえで作業することも、整頓では大切です。

他に、設備保全も整頓の一部といえるでしょう。メンテナンスをすることで、設備が整った状態にします。

作業がしにくい環境・状態は、真の「整った状態」とはいえません。道具の配置から環境の整備も含め、整った状態に保つことが、製造現場では重要となります。

2Sに類似する活動

2S活動以外にも、類似する活動として5S活動と3S活動が存在します。それぞれの活動内容についても、合わせて覚えておきましょう。

5S活動

5Sとは、「整理」「整頓」の他に「清掃(Seisou)」「清潔(seiketu)」「躾(Situke)」を加えた活動のことです。それぞれ以下の意味があります。

  • 清掃:汚れを取り除き、作業環境を綺麗にする
  • 清潔:整理・整頓・清掃の状態を保つようにする
  • 躾:5S活動を教育し、常習化する

清掃が必要な理由は、整理整頓だけでは、真に作業環境が改善されないからです。整理整頓だけでは、水たまり、油汚れ、埃、小さなゴミといった汚れは、残ったままとなります。

現場の汚れは、リスク管理に関係します。床が濡れていれば転倒のリスクがありますし、破材に気がつかず手を怪我するかもしれません。他にも、油汚れによって数値を見誤ったり、埃によって機械が故障したりもするでしょう。

怪我の手当や機械の修理などが増えることで、結果として作業効率の低下にもつながります。

また、清掃は品質管理に大きく影響します。商品に汚れや破材が入ると、それだけで不良品確定です。機械が不調になることでも不良品は排出しやすくなり、企業の信用を守るためにも、清掃を欠かすことはできません。

もちろん、活動は続ける(清潔)ことに意味があります。一度しただけで終わりでは意味がありません。

そして、清潔を続けるためにも、従業員全員が整理・整頓・清掃について理解し、自主的に取り組むよう教育(躾)する必要があります。

5Sとは整理・整頓・清掃を恒常的に続けるための活動であり、作業効率・安全性・品質を守るためにも、必要不可欠な内容です。

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3S活動

3Sとは、「整理」「整頓」「清掃」を含む活動の事です。5Sから、「清潔」「躾」を外しています。

「清潔」と「躾」が外されている理由は、5Sの中でも他に依存する要素だからです。清掃の内容は「整理・整頓・清掃を保つこと」、躾の内容は「清潔を教育すること」であり、それぞれ別の要素を補足する形で存在します。

そのことから、5Sの中でも特に重要なのは「整理」「整頓」「清掃」の3つとし、最低限実施すべき要素として、3Sにまとめているわけです。

とはいえ、業務に取り入れることを考えれば、「清潔」と「躾」も必要な要素です。そのため、5Sを実現するための前段階として、主に3Sが実施されます。

そして、3Sを実施する前段階として、2Sが存在するわけです。

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整理整頓を成功させるポイント

いざ整理整頓を始めようにも、「どのようにすればいいのか」で悩む人も多いと思います。よく分からないまま始めても、上手く整理整頓ができず時間だけがかかってしまうでしょう。

効率よく整理整頓するためには、どのようなことをすればいいのか。成功するためのポイントを紹介します。

いらないものを捨て、いるものの置き場所を決める

一つ目のポイントは、整理整頓の順番を理解することです。整理・整頓はそれぞれ別のものとして考えるのではなく、流れで考える必要があります。

例えば、先に整頓から始めるとしましょう。その場合、全ての物を対象として整頓する必要があります。ですが、中には不要な物も存在し、後で整理をする際に捨てることとなります。

このように、順番を間違えると作業の二度手間となります。整理によって空きスペースも生じ、再び整頓する必要もあるのです。

ムダな作業を減らすためにも、まずはいらない物から処分をし、残った物の置き場所を決めると効率的に活動ができます。

また、活動を始める際に、ある程度物の配置(整頓先)を決めておくことも大切です。計画ができていれば、活動がスムーズに進められます。

自宅での整理整頓とは異なり、企業での整理整頓は時間も意識する必要があるでしょう。効率的に活動を進めるためにも、整理と整頓について理解をしておいてください。

工場内のエリアを絞って徐々に広げていく

二つ目のポイントは、作業範囲を絞ることです。活動する際は、いきなり全エリアを対象とするのではなく、いくつかのエリアに分け、順に行っていくことが大切です。

もちろん、最終的には工場全体を行いますが、始めからでは「どこから手を付ければ良いのか」が分からず、逆に作業効率を下げてしまいます。活動範囲が広いことで従業員の負担となり、活動のモチベーションを下げる結果にもなるでしょう。

整理整頓だけが、仕事のすべてではありません。本来の業務もこなすためにも、エリアで分け、コツコツ作業を進める必要があります。

そして、活動が終了したら次のエリアに取り掛かり、最終的には工場全体を整理整頓してください。

いつでも・すぐに・誰でも使えるを意識する

三つ目のポイントは、使用を意識した整理整頓をすることです。誰もが使いやすく、過不足ない状態にすることが、活動の最終目標といえます。

「整頓(Seiton)」の項目でも触れたように、整頓で大切なことは「使いやすいよう整える」ことです。いくら見た目が綺麗でも、使いにくい整頓では実用性がありません。

見た目ももちろん重要ではありますが、それ以上に、使いやすい配置を重視してください。

また、他の人との兼ね合いも大切です。自分が使いやすいからといって、他の人も使いやすいとは限りません。身長や体格などによって、それぞれ使いやすさは異なります。

複数人が使う道具や設備の場合は、一人だけで整頓をせず、話し合って整頓をしてください。

まとめ:2Sができたら次は3S・5S

2S活動とは、作業がしやすいよう整理整頓をすることです。物が多くて散らかっていると、作業がしにくく作業効率を落としてしまいます。さらに、怪我や故障のリスクを高めてしまうため、仕事においても整理整頓をすることは、とても大切です。

整理整頓のポイントは、「誰もが使いやすい状態に整える」ことです。自分一人だけで取り組むのではなく、チームや企業全体で取り組むようにしてください。

また、2S活動ができたら、次は3S活動です。新しく清掃も加えて、品質管理にも努めます。

そして、3S活動もできたら5S活動を実施し、整理・整頓・清掃を、企業全体で常習化していきましょう。

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