不良率低減!解決策をご紹介

製造業における不良率を下げる方法とは?不良品が発生する6つの原因とその対策を解説

不良率低減!解決策をご紹介

「現状より不良率を下げる」ことは、製造業の皆様にとって共通の課題ですが、不良率が思うように下がらず困っている方も多いのではないでしょうか? この記事では、不良発生の原因と不良率を下げる方法について紹介します。

不良発生の原因『5M+1E』とは?

不良発生の原因5M+1Eとは?

不良率を下げるには、まず不良が発生する要因を調査し、実態を把握する必要があります。

不良が発生する要因として、「5M + 1E」という用語があります。5M + 1Eとは、不良要因のカテゴリをまとめた品質管理における用語です。5M + 1Eは

  • Man : 人
  • Machine : 機械・設備
  • Method : 方法
  • Material : 原料と材料
  • Measurement : 測定・検査
  • Environment : 環境

の頭文字からとった言葉です。不良が発生した多くの要因は、5M + 1Eのいずれかに分類分けできます。他にも品質管理には「4M」「5M」「6M」などの要素があります。

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製造業の品質管理を支える要素「4M」「5M+1E」「6M」とは?

不良の発生原因で最も多いヒューマンエラー

不良の発生原因はいくつか考えられますが、中でも最も多い発生原因と言われるのが「ヒューマンエラー」です。ヒューマンエラーは字のごとく「人(Man)」に分類される原因となります。

「Man」のカテゴリでも大きく分類分けされるのが「ポカミス」です。 ポカミスとは、作業者の見落としや不注意、誤解などによって思いがけないミスを犯してしまうことです。

ポカミスの場合は、さらに深堀りして「不注意が原因だったのか?」「誤解が原因だったのか?」について調査すると詳細が明確になります。

深堀りすることでManの要素だけではなく、機械や設備不良のMachine、整理整頓されていない環境のEnvironmentなど、他の要素に原因や関連性があることも見えてくる可能性もあります。

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不良率を下げるには?

「不良率を0%にする」というのはなかなかに難しく、現実的ではない場合が多いです。それでも「今よりも良くする」ということを考えれば、不良率を下げていくことは重要になります。

では、不良率を下げるためにはどのように考えれば良いのか、不良率を下げるために必要な手順について紹介します。

「5M + 1E」のそれぞれの視点で問題を洗い出し

まず不良が発生している原因を調査します。 その際に前述した「5M + 1E」の視点で調査すると、原因が明確になりやすいためオススメです。

  • Man : 人
  • Machine : 機械・設備
  • Method : 方法
  • Material : 原料と材料
  • Measurement : 測定・検査
  • Environment : 環境

例えば、ある一つの工程において不良率が多く発生していたとして、「Man(人)」の観点で見たときにどのような問題が発生しているか、「Machine(機械・設備)」に問題はないかといった具合にそれぞれの視点での問題を洗い出してみます。

「不良率を下げる方法を探す」という課題を立てた場合、どのように探すのか、何から手を付けたら良いのか分からずに迷ってしまうことが多いと思います。

そこで「“作業員(人)ができる” 不良率を下げる方法を探す」といった具合に少し条件を絞って対応してみると問題の洗い出しが比較的容易になってくるでしょう。

洗い出した不良発生の問題の原因調査・掘り下げ

「5M+1E」の観点で問題を洗い出せたら、次はその問題の原因を調査していきましょう。「調査」といっても「問題を起こした犯人捜し」ではなく、「その問題がなぜ発生してしまったのか」を掘り下げて究明していくことを意識して進める必要があります。

例えば問題として挙がってきた内容が「機械Aを通す製造ラインでの不良数が多い」という内容だった場合は、「機械A」に問題がありそうだと分かります。これをさらに「機械Aの “何が”/“どの部分が” 不良の発生に繋がっているのか?」という観点で掘り下げてみます。

  • 「機械Aの “何が”/“どの部分が” 不良の発生に繋がっているのか?」を掘り下げ
    • 「機械Aの操作手順が人によって違う」
    • 「機械Aが故障していて所定の動作をしていない」
    • etc.

そうすると「機械Aの操作手順が人によって違う」「機械Aが故障していて所定の動作をしていない」など、より細かい直接的な原因の究明に繋げることができます。

また、不良数や不良率が見たい観点で測れていない場合は、不良数を記録できるようにすることも重要です。どの工程で不良が発生しているか明確にし、不良発生のポイントが明確にしていくことで、より具体化することも可能になります。

不良率が高くなっている箇所を積極的に下げることで全体の不良率が低下する可能性は大きいと分析することが可能です。

システムを導入している場合、システムに登録された不良数や不良率で判断することも可能になるので有効活用することをおすすめします。

「5M + 1E」の視点で状況を明確化

問題が把握出来たら、その原因に関する現在の状況を明確にしていきます。現状が把握できていないと、目標としている不良率に下げるためにどれだけのパワーがかかるのか分からなかったり、優先順位付けを困難にしてしまいます。

この状況の明確化においても「5M+1E」の視点でそれぞれに見ていくと、同じく「5M+1E」の視点で洗い出した問題に対して紐づけて対応がしやすくなります。

状況を明確にする方法としては、例えばMachine(機械・設備)に原因がある場合には、清掃や整備の頻度・方法について調査したり、Method(方法)に原因がある場合は、マニュアルと実際の作業に乖離が生まれていないか調査します。

対策を検討し、共有する

状況を明確にすることで、適切かつ有効な対策を検討することが可能です。 注意点として、対策を検討した後、全社員に継続的な共有が必要です。共有してすぐは意識して取り組むことが可能ですが、慣れてくると意識が薄れてしまいます。そのため、継続したフォローが必要になります。 5M + 1Eに対する対策例を紹介します。

  • Man → 各作業者の技術レベルに合った能力向上のための教育実施
  • Machine → 定期的なメンテナンス実施、メンテナンス実施方法や頻度の見直し
  • Method → マニュアル内容の見直し、マニュアル通りの手順で作業しているか確認
  • Material → 自社内・外の導入元に品質に関するヒアリングと改善要求
  • Measurement → 検査方法・基準の見直し、測定方法の教育を徹底
  • Environment → 温度や湿度など作業現場環境の見直し、現場の整理整頓の状態を確認

不良率の目安とは?

不良率を下げる方法が分かったとしても、どれぐらいまでに不良率を抑えるのが良いのか分からないということもあるかもしれません。

では、不良率の目安はどのぐらいに設定したら良いのでしょうか?

「不良率0%を目指す」より現実的な数値目標

不良率0%は実現できないと言われます。しかし、気持ちとして、また目指すべき目標としては常に0%の不良率を目指すことが大切です。

ただし、実現が不可能なことをやろうとすると、逆に緊張しすぎて気疲れしてしまったり、かえって不良を出すことになりかねません。

なので、目指すべき目標としても「不良率0%を目指す」とするよりは、現実的な数値目標を設定する方が、「不良を出してはいけない」というよりも「ある程度の不良は許容する」とした方が、変に気負う必要がなくなると思います。

標準偏差を基に決める(3シグマ、6シグマ)

品質管理においてよく言われるのが、「3シグマ」や「6シグマ」といったものです。シグマ(σ)とは標準偏差のことで、ばらつきの大きさを数値化したものです。では、「3シグマ」や「6シグマ」とはどういうものなのかを簡単にいうと、3シグマは1000個の製品を製造した内、不良製品が3つ未満で発生する割合の範囲です。“3”シグマだから“3”つというわけではなく、99.7%(3/1000)という割合になります。6シグマはさらに小さい確率で、100万個の内に3個という割合(99.9997%)のことになります。

σ(シグマ)割合
±σ68.3%120個の内40個程度の不良品が発生する割合
±2σ95.4%500個の内23個の不良品が発生する割合
±3σ99.7%1000個の内3個の不良品が発生する割合
±6σ99.9997%100万個の内3個の不良品が発生する割合

6シグマになると「ppm(parts per million)」、つまり100万分の1の単位で管理するPPM管理と呼ばれる管理活動を実施する場合もあります。

まとめ:不良が発生する原因を明確にすることで解決につながる

今回の記事では、不良が発生する原因と不良率を下げる方法について紹介しました。

不良を発生する要因である5M + 1Eのどの要素に原因があるか明確にすることで、不良率を下げる有効な方法について検討することが出来ます。不良率を下げる方法を検討する際に参考にしていただければ幸いです。

何も考えずに不良率をただ下げるというのではなく、どのくらいまで下げるのかという目標値の目安を設定しておくと、より良い形で解決策を講じることができるでしょう。

また、「下げないといけない」というよりも「ある程度の不良を許容する」という目標設定をする方が現場の気の持ちようも変わってくるため、数値目標や意識づけなども重要といえます。

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