製造業の在庫管理の2つの特徴と実施する上での3つのポイント

製造業の在庫管理の2つの特徴と実施する上での3つのポイント

製造業の在庫管理の2つの特徴と実施する上での3つのポイント

製造業は、他の業種よりも多くの在庫を扱います。商品となる完成品はもちろん、生産に必要な原料や、組み立てに必要な仕掛品など、どれも製造業になくてはならない物です。

ですが、数が多いからこそ、在庫管理をしっかりと実施することはとても重要です。管理がずさんだと正確な個数や状態がわからず、生産や企業の運営に問題が生じるでしょう。

製造業における在庫管理では、どのようなことが問題となるのか。管理を実施するうえで必要になることや、IT技術による在庫管理について紹介します。

製造業における在庫管理とは

在庫管理とは、企業・団体が保有する資源や商品を管理することです。それぞれの数はいくつなのか、使用期限や管理に問題がないかなどをまとめ、誰が見ても分かりやすく管理します。

製造業における在庫管理では、主に「原材料(素材)」「仕掛品(次工程に渡す部品)」「完成品」の3項目を管理します。

製造業では、各工程ごとに必要とする在庫は異なります。一覧としてまとめるのはもちろん、各工程で必要とする物が分かるようにまとめることも、在庫管理では大切です。

製造業における在庫管理の重要性

製造業において在庫管理は、製品を作るためにとても重要な要素です。商品を作るためには在庫が必要であり、いくら作業機械や人材が暇をしていても、在庫が無ければどうしようもないでしょう。

商品を効率よく作り続けるためにも、原材料や仕掛品の状況は、常に把握する必要があります。

また、商品を販売や納品するためにも、完成品の把握も必要です。数が足りなければ納品ができませんし、在庫を把握していないことから、折角の販売するチャンスを逃してしまうかもしれません。

逆に、作り過ぎは管理場所の圧迫や消費期限の心配もあるため、在庫管理をして数量を調節する必要があります。

現場と営業。どちらにとっても、在庫管理は必要不可欠な要素です。

製造業の在庫管理の2つの特徴

製造業では、在庫管理を2つの要素に分けて考えます。それぞれどのような要素なのか特徴を確認してみましょう。

  • 生産形態:組立・加工製造/プロセス製造
  • 在庫の種類:部品・原材料/仕掛品/完成品

生産形態:組立・加工製造とプロセス製造

1つ目は、生産形態です。製造には、主に組立・加工製造プロセス製造の2種類があり、それぞれに適した管理方法が望まれます。

加工製造とは、部品を組み合わせて作る生産方法のことです。機械や車などがこの生産形態に分類されます。

一方プロセス製造は、原料を固めて作る生産方法のことです。ゴムやガラス、鉄製品などがこの生産形態に分類されます。

大まかにまとめると、固体から生産するのが加工製造であり、流体から生産するのがプロセス製造と言えるでしょう。

物体と液体では、管理方法や単位なども変わってきます。自社の製品はどちらに分類されるのか、しっかり理解しておきましょう。

在庫の種類:部品・原材料/仕掛品/完成品

2つ目は、在庫の種類です。製造業における在庫管理でも触れましたが、使い道に合わせて、原材料仕掛品完成品に分けて考えます。

作業工程や部署が変われば、必要とする在庫も変わります。在庫として分類する際は、種類を意識して分類すると、生産の流れが分かりやすいです。

製造業の在庫管理における課題

効率よく生産するためにも、在庫管理に関する課題を紹介します。在庫管理はなぜ必要といえるのでしょうか?

原材料の欠品による作業の遅延

効率よく生産をするためには、原材料が必要不可欠です。在庫管理の重要性の項目でも触れましたが、素材や仕掛品が足りないと、作業ができなくなり製造が止まってしまいます。

商品を作るのはもちろん、「作業をしない」というムダを発生させないためにも、在庫の把握は一つの課題といえるでしょう。

過剰在庫によってコストがかさむ

在庫が少ないと問題になりますが、逆に多すぎても問題になります。過剰在庫になることで保管場所を圧迫し、管理コストがかさむからです。

さらに、在庫が多いことで全体の把握も難しくなります。正確な個数が分からないことから、原材料をムダに注文し過ぎることもありえます。

他にも、商品を保管する棚が崩れたり、移動がしにくいことから作業効率が下がったりなど、様々なリスクやトラブルも生じるでしょう。

「多ければ多いほど良好」といったわけではなく、少なすぎず多すぎない、バランスのとれた在庫管理が望まれます。

長期在庫品の品質低下・劣化

在庫を管理する際には、消費期限にも注意が必要です。製造には食品製造も含まれ、長期保存すると商品がダメになります。そうでなくても、ゴムや木材など、湿気や埃、気温によって劣化が進む物もあり、管理状態によって品質は劣化していきます。

ですが、管理状態がずさんだと、いつ製造したかも分かりにくいです。知らずに劣化した商品を消費者に提供する可能性もあり、企業の信用問題に発展します。

企業の信用を守るためにも品質管理は製造業の課題であり、解決するためには在庫管理がとても重要です。

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在庫管理表と実在庫の数が合わない

製造業において、在庫管理表と実在庫の数が合わないことも、課題として挙げられます。実数が合わないということは、いつの間にか損をしているということです。「いつ」「どのような形で」「いくら」損をしているのかも分からず、知らない間に赤字となっている場合もあります。

そのような不明な流れを作らないためにも、在庫管理表と実在庫の数合わせはとても重要です。

製造業の在庫管理を実施する上での3つのポイント

在庫管理する際、特に注意すべきポイントを3つほど紹介します。

  • 適正在庫数を見極める
  • 在庫の動きを見える化する
  • 在庫に応じて情報も最新化する

適正在庫数を見極める

1つ目のポイントは、適切な在庫数を見極めることです。課題でも挙げたように、在庫が多すぎても少なすぎても問題があります。

損失やムダを発生させないためにも、在庫数を意識し、適正在庫数を守ることが大切です。

過去の製品出荷数や商品回転率、各工程のリードタイムなどを参考にして、欠品にならない最小限の在庫数を、適正在庫数として設定しましょう。

在庫の動きを見える化する

2つ目のポイントは、在庫数を視認することです。在庫数を表やグラフなどで見やすく管理することで、在庫の状態が、誰でも一目で把握できます。

どの製品」が「どの程度」あるのかも把握でき、欠品や作り過ぎの防止になります。足りない商品や部品を集中的に生産するといった、状況に合わせた効率的な生産も可能になるでしょう。

また、数値変動の様子から、需要のある商品を割り出し、マーケティングに生かすことも可能です。

他にも、生産状況に合わせて仕事を受注するなど、他部門とも連携をしやすいメリットもあります。

在庫管理を上手に活用するためには、管理表の見える化はもちろん、他部門とのデータ共有も重要になってきます。

在庫に応じて情報も最新化する

3つ目のポイントは、情報は常に最新とすることです。在庫は常に変動しており、それに合わせて情報も更新する必要があります。

もし、情報の更新が遅いと、他部門との連携も上手くできません。「在庫は十分にあるため受注したけど、別の場所に納品していたため実数値は少なかった」では問題があります。他にも、原材料が管理表よりも少なく製造がストップしてしまうなど、様々な問題が生じるでしょう。

管理表を常に最新化するためには、AIやloTの導入が望まれます。ネットワークで各端末をつなげることで、リアルタイムに情報の更新が可能です。自動で数値も変更してくれるため、入力のし忘れなどの人的ミスも防げます。

在庫数が多ければ多いほど人力での管理は不可能となり、IT技術による管理が必要不可欠です。

在庫管理の課題をIT化で解決する方法

在庫管理をするならIT技術は欠かせません。では、どのようなIT技術を活用すれば良いのでしょうか?

エクセルで管理する

最も手軽な方法は、エクセルを活用することです。近年ではどのパソコンにもエクセルは標準搭載されており、使ったことのある人も多いと思います。普段使いなれていることから新しく学習する必要がなく、低コストで在庫管理が行えます。

また、マクロや関数を組むことで、在庫管理の自動化も可能です。一つずつ手入力する必要がなくなり、作業効率も向上するでしょう。

エクセルで在庫管理をする企業は多く、書籍や個人サイト、動画サイトなどで、作り方も調べられます。

在庫管理システムを利用する

エクセルでも在庫管理はできますが、データ量が多くなると動作が遅くなるデメリットもあります。複数人による管理が難しく、別部署同士の連携が取りにくいなどの問題もあり、企業の規模が大きいとエクセルでは満足に在庫管理ができません。

エクセルの代わりにアクセスを使って在庫管理システムを作成する方法もあります。同じマイクロソフト社から販売されたデータベース管理システムであり、エクセルよりも簡単に管理操作が可能です。

エクセルとは違い標準搭載ではないため新しく購入する必要はありますが、それでも月数千円程度で安く済ませられます。

アクセス以外にも、専用の在庫管理システムを導入するという方法もあります。市販の在庫管理システムでは、在庫の個数や消費期限、管理場所などを一括管理するシステムのことであり、エクセルによる管理よりも幅広い管理を可能とします(中身がアクセスで作成されていることもあります)。

また、AIやloTによる自動入力も可能です。入力による手間暇を省けるのはもちろん、誤入力による人的ミスも削減できるでしょう。

自社に合わせたオーダーメイドの注文も可能であり、より使いやすくなることで、在庫管理による不備を事前に防げます。

生産管理システムを利用する

生産管理システムでも在庫管理は可能です。生産管理システムとは、受注、生産、販売といった生産工程全体を管理するシステムのことであり、在庫管理システムと同様に在庫状況を管理できます。

また、生産管理システムなら、全体的なオペレーションも可能にします。各工程ごとの流れを見える化することで、作業のムダを改善し、生産性の向上につながるでしょう。

各部署とも連携しやすく、スムーズな情報共有も可能にします。

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まとめ:製造業において在庫管理は生産性・コストに直結

  • 生産形態は組立・加工製造とプロセス製造の2種類
  • 在庫の種類は「部品・原材料」「仕掛品」「完成品」に分けられる

製造業における在庫管理は、企業を運営するために欠かせない要素です。在庫が分からないと生産もままならず、場合によっては生産がストップしてしまいます。逆に、作りすぎも問題であり、製造によるコストが企業を圧迫してしまうでしょう。

製造業において在庫管理は、生産性やコストに直結すると言えます。より企業を発展させるためにも、IT技術を導入した正確な在庫管理が必要です。

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