ダイナミック・ケイパビリティとは?VUCA時代を生き残るために必要な3つの能力

ダイナミック・ケイパビリティとは?VUCA時代を生き残るために必要な3つの能力

ダイナミック・ケイパビリティとは?VUCA時代を生き残るために必要な3つの能力

近年話題となっているダイナミック・ケイパビリティ。企業の変革に必要とされる3つの能力を指し、様々な企業や業界で注目を集めています。

環境保全や移民対策など。近年における世情の変化は目まぐるしいです。特に新型コロナウイルスによって世情は大きく変化したといえるでしょう。

倒産した企業も少なからず存在し、先行きが不安な企業も少なくはありません。企業や工場を守るためには、変化に対応する能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が必要です。

ダイナミック・ケイパビリティとはどのような能力なのか。構成する3つの能力についてや、必要とされる理由などを紹介します。

ダイナミック・ケイパビリティとは?

ダイナミック・ケイパビリティとは?

ダイナミック・ケイパビリティとは、環境や状況の変化に対して、企業自らが適応し変革する能力のことです。経営戦略論が基となっており、企業の停滞を良しとせず、今後も運営・成長させるためには、時代に合わせた取り組みが求められています。

近年は、デジタル社会への取り組みが盛んであり、昔ながらの企業運営では難しくなってきています。AIやloTなどのデジタル技術を活用し工場の自動化を目指すスマートファクトリー、デジタル技術を生活の一部として取り入れあらゆる生活を豊かにするDX(デジタルトランスフォーメーション)など、日本はもちろん、世界各国で様々な取り組みがされています。

人の手を必要としない作業用ロボットや、人の代わりに24時間監視し続ける管理システムも導入されており、社会に合わせ、企業も変化・成長する必要があるでしょう。

ダイナミック・ケイパビリティを構成する3つの能力

ダイナミック・ケイパビリティは、主に3つの要素から成り立ちます。ダイナミック・ケイパビリティを活かすためにも、各要素について知っておきましょう。

感知(Sensing)

感知は、物事を感じ取る能力です。変化に対して敏感に察知し、情報収集を行います。感知能力がなければ、社会が変化しても気が付くことはできません。結果として、変革に乗り遅れ、ライバル企業の後手に回ってしまうでしょう。

近年はインターネットが普及しており、世情を簡単に集められます。テレビや家庭用インターネットはもちろん、loTなどのインターネットを活用したシステムを利用することでも情報収集は可能です。

他にも、サミットへの参加や海外研修などグローバルな活動も、最先端の情報や技術を学べます。

補足(Seizing)

捕捉は、機会を見極め再構成できる能力です。感知した内容から判断し、必要なタイミングで、既存の資産・知識・技術などを再構成します。

再編成できる技量はもちろんですが、「いつ」行うかの見極めも必要です。近年はデジタル技術の導入が推奨されていますが、導入にはコストと知識が必要であり、考えなしに導入すると、扱いきれずに企業の首を絞めてしまいます。

導入が必要な場合でも、資産と知識ある人材を用意するなど、充分な下準備が必要となります。

また、再構築が難しい場合は、システムに頼るのも1つの手です。近年は再構築をサポートする、生産管理システムなどが存在します。もちろん、従来通り会議によって決める方法でも問題はありません。

変容(Transforming)

変容は、変革を持続的に保つための能力です。今後は変革した内容を基に生産や運営を行うため、組織全体を刷新し変容させる必要があります。

そのためにも、研修や講習会といった従業員への教育が必要です。他にも、マニュアルや回覧板を作成するといった方法でもいいでしょう。

ただ、管理がしっかりしていないと、末端組織まで情報伝達されない場合があります。学習が不十分だと、事故やトラブルになる可能性が高まります。問題が生じないよう、放送・連絡・相談を厳密に行い、従業員同士の相違をなくすようにしてください。

VUCA時代とは?

VUCAとは?

VUCAとは、「変動性(Volatility)」「不確実性(Uncertainty)」「複雑性(Complexity)」「曖昧性(Ambiguity)」の4要素からなる、未来予測が難しい状態を示す言葉です。

元々、VUCAはアメリカで使用されていた軍事用語です。ロシアとの冷戦が終結し、今までとは違った不透明な戦略へと変わることを示す意味で使用されていました。その後、劇的に変化し先が見えない世界情勢に対する言葉として、使われるようになります。

変動性は、技術や価値観などが変化していく様子を指します。近年は新しい技術が数多く発表され、短期間で市場は急激に変化し続けます。先を読むことが難しくなり、リスクによる不安がはかり知れません。

不確実性は、自然環境・国家・制度など、確実だったものが不確実になる様子を指します。今まで「絶対」だったものが、近年では崩れてきます。環境破壊・医療崩壊・年金制度の破綻などの問題が生じており、土台が崩れることで、将来の予測が難しくなっています。

複雑性は、条件や状況によって結果が変化する様子を指します。日本で上手くいった植物の育成も、海外では上手くいかないことはよくあります。同じように日本のビジネスが海外で通じない場合も多く、市場への参入や投資の判断が難しい状態です。グローバル化したことで様々な可能性が生じるようになり、ビジネスが複雑化しています。

曖昧性は、前例がないことを指します。変動性・不確実性・複雑性が組み合わさることで、今までにはない因果関係が生じます。前例がないことから今までの方法では通用せず、未知なる挑戦となることを示すのです。

デジタル技術によって第四次産業革命を目指す近年は、まさにVUCA時代といえます。今後どのように変化するか分からないため、ダイナミック・ケイパビリティによる対応が求められています。

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ダイナミック・ケイパビリティが企業に求められる理由

ダイナミック・ケイパビリティが求められる理由は、様々な世情によって先行きが読みにくいからです。

VUCA時代の説明でも触れましたが、近年は様々な問題によって、市場は大きく変化しています。中でも、2020年ごろから蔓延した、新型コロナウイルスの影響による影響が大きいです。輸出入の制限や外出自粛などによる問題によって、倒産してしまった企業も少なくはありません。

さらに、近年はデジタル社会へ向けた取り組みがされており、企業や工場のデジタル化が進んでいます。新しい技術が数多く発表され、導入する企業も多いです。

世界情勢と次世代へ向けた技術革命により、今までと同じような運営では、今後経営競争で生き残ることは難しいです。世情の変化に対応し新時代の技術を取り入れるためにも、変化に対して適応や変革できる、ダイナミック・ケイパビリティによる行動が必要になってきます。

ダイナミック・ケイパビリティを高めるには

ダイナミック・ケイパビリティを高めるには、デジタル技術の導入が必要不可欠です。近年はグローバル化の影響によって世界市場をターゲットにしており、世界での情報が必要とされます。

もちろん、国内情報も早いに越したことはありません。1日で情勢が変化する場合もあり、テレビや新聞だけでは後れを取ってしまいます。

世界の情報を素早く情報収集するためにも、loTを始めとしたインターネット技術が必要となるでしょう。

また、収集した情報を整理・分析するためのAIも必要です。リアルタイムで集める世界の情報は膨大で、人の手で管理するのは不可能といえます。そのため、仮想空間内で情報を整理・分析し現実世界にフィードバックする、サイバーフィジカルシステムなどのデジタル技術が必要になるのです。

他にも、収集した情報から今後の展開を予測することや、シミュレーションによる技術開発など、デジタル技術の導入によってできることが広がり、予期せぬ今後の展開にも、迅速な対応がとれるようになるでしょう。

製造業におけるダイナミック・ケイパビリティの重要性

ダイナミック・ケイパビリティは、製造業においても重要です。デジタル技術の変革は製造業が最も影響を受けやすく、世情によって大きく左右されます。

新型コロナウイルスによる輸出入制限の際も、半導体不足が話題となりました。それにより、海外工場をたたみ国内回帰した企業も少なくはありません。

2020年に経済産業省が発表した「2020年版ものづくり白書」において、「不確実性の高まる世界の現状と競争力強化」の見出しにて、ダイナミック・ケイパビリティ強化の重要性が説明されています。

大企業であっても、ダイナミック・ケイパビリティが低い企業は、ちょっとした業界の変化によって危機的状況に陥る可能性もあるのです。

安定した運営(オーディナリー・ケイパビリティ)ができることも重要ではありますが、同時に、今の時代に必要なダイナミック・ケイパビリティも高める必要があります。

また、時代や状況によって顧客のニーズも変化しています。新型コロナウイルスによってマスクが必要とされたように、情勢によって求めるモノは常に同じではありません。倒産した企業が多い一方で、マスク製造への参入によって利益を上げた企業も少なからず存在します。

世界情勢は、決して製造業と無関係ではありません。いち早く情報収集をして対応ができるようにするためにも、AIやloTなどのデジタル技術を導入した、DXの実現が望まれます。

参考サイト
経済産業省「2020年ものづくり白書」

守りのIT投資と攻めのIT投資

近年のIT投資には、「守り」と「攻め」といった言葉が使われます

守りのITとは、企業の仕組みを底上げし、企業の能力を高める投資です。コスト削減やシステムの更新など、従来のシステムは変更せず、そのままバージョンアップすることを目的とします。

一方で攻めのITとは、新しいことを取り入れる投資です。loT導入による市場の開拓やAI導入による工場の自動化など、新しい技術やビジネスモデルを導入することで、新しいスタイルの獲得や新規事業の開拓、さらには、それによって生じる収益や新規顧客の増加を目的とします。

VUCA時代に適応するためには、足元を固め、変革に対する取り組みが必要です。DX化を目指す際には、導入によってどのように変わるのかを明確にし、「守り」と「攻め」を意識したIT投資を行っていきましょう。

まとめ:VUCA時代を生き残るために必要な3つの能力

ダイナミック・ケイパビリティとは、企業存命に必要な変革力のことです。感知・捕捉・変容の3要素からなり、急激な世情の変化に対して適応することで、企業の危機を回避することができます。

新型コロナウイルスのような世界に急激な変化が生じても、いち早く情報を収集し対応できれば被害を最小限に抑えられます。さらには、その情報を基に経営戦略を組み替えることで、新しい市場の開発や利益の向上にもつながるでしょう。

ダイナミック・ケイパビリティを高めるためには、デジタル技術の導入による、DXの実現が効果的です。情報の収集、収集した情報の分析と解析、変革プランのフィードバックなど、より効率的に企業変革が行なえます。

戦争や第四次産業革命への推進など、今後も世情は変化し続け先が読めない状態が続きます。変化に適応するためにも、デジタル技術を導入しダイナミック・ケイパビリティを高めてみてください。

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