製造業の「3K労働」とは?時代とともに注目される「6K」や「新3K」についても解説

製造業の「3K労働」とは?時代とともに注目される「6K」や「新3K」についても解説

製造業の「3K労働」とは?時代とともに注目される「6K」や「新3K」についても解説

避けるべき職場の基準として知られる3K労働。「きつい・汚い・危険」を指す言葉であり、就職する際に参考にした人も多いかと思います。3Kなほど必要とされる仕事なのはわかっていますが、可能なら選びたくないのが一般的です。

製造業も3K労働の一つとして見られることがあり、そうしたイメージが応募をためらう要因の一つになり得るでしょう。

そんな3K労働ですが、近年では新しい要素が追加され6K労働として注目をされています。

さらに、別の要素で構成された新3Kも登場しており、昔と今とでは職場選びに変化が生じています。

人手不足を解消するためには、働きたいと思わせる環境作りが大切です。そのためにも、3Kだけではなく、6Kや新3Kについても知っておく必要があるでしょう。

6Kや新3Kにはどのような要素が含まれているのか?製造業が3Kといわれる背景や3K改善への取り組みなど、製造業の3Kについて紹介します。

製造業の「3K」とは

3Kとは、何を指す言葉なのか。知っている人も、改めて確認をしてみてください。

3Kとは「きつい・汚い・危険」を指す言葉

3Kとは、「きつい・汚い・危険」を指す言葉です。それぞれの頭文字を合わせて、3Kと呼ばれています。

現在では忌避される企業や職業の判断基準として使われており、3Kのイメージは、採用面で不利に働く要因の一つになり得ます。

いわゆるブルーカラーと呼ばれる職業に当てはまることが多く、製造業も工程や職種によっては3Kと言われることがあります。

製造業で3Kと言われる主な理由

製造業が3Kと結び付けて語られる背景には、工程や職種によって肉体的負担や危険性が高い作業が残ることが挙げられます。製造といえばラインによる自動生産をイメージしがちですが、工程や職種によっては、人の手で行う作業も少なくありません。重量物の運搬や同じ姿勢で作業するのは、肉体と精神の両方がきつい仕事といえます。

また、工場といえば廃棄物のイメージも強いです。工場の種類や工程によって状況は異なりますが、端材・包装材などの廃棄物が出たり、油・粉じんなどの汚れが発生したりする場合があります。こうした環境では、日常的な清掃や整理整頓が欠かせません。

ほかにも、生産には危険も伴います。生産には作業機器や機械を扱う工程も多く、機械による「はさまれ・巻き込まれ」などの労働災害が課題となっています。たとえば厚生労働省の公表では、令和5年に製造業で機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数は4,908人とされています。

安全対策や自動化・デジタル技術の導入で改善が進む現場もある一方、労働災害は依然として発生しています。厚生労働省の公表でも、休業4日以上の死傷者数は増加傾向にあり、3Kに関わる課題は完全には解消していないのが実情です。

参考サイト
厚生労働省:「令和5年の労働災害発生状況を公表」/参照日:2026年03月10日参照

製造業が3Kと見られてきた背景

なぜ製造業が3Kと呼ばれるようになったのでしょうか?その理由についても確認してみましょう。

日本の高度成長期に広まった労働イメージ

製造業が3Kと結び付けて語られる背景の一つとして、高度経済成長期(概ね1950年代半ば〜1970年代初頭)に形成された工場労働のイメージが挙げられることがあります。

この時期は生産拡大が強く求められ、現場では長時間稼働や安全面の課題が生じやすかったとされます。こうした印象が後年まで残り、製造現場に対する見方に影響している可能性があります。

また、当時の急速な工業化は、環境面でも大きな課題を生みました。水質汚濁などの公害が社会問題化し、法整備や規制強化が進められていきます。

現在では安全対策や設備改善などにより、働き方や職場環境は見直されてきています。一方で、外部から現場の変化が見えにくい場合、過去に形成されたイメージが更新されにくく、「製造業は3K」といった印象が残ることもあります。

人手不足や採用難につながる問題

3Kのイメージが強いことは、採用面で不利に働く要因の一つになり得ます。きつさ・汚れ・危険といった印象から、応募をためらう人が増えることがあります。

特に、近年はIT系など多様な職種が選択肢になっており、身体的負担が少なく、清潔で安全な職場を志向する人もいます。

中にはやりがいや興味を求めて応募する人もいますが、製造業界の規模に対してほんの一部でしかありません。

3Kのイメージがあると、企業が改善策を講じても、その内容が十分に伝わるまで応募につながりにくい場合があります。

若い人の応募が伸びにくい要因として、3Kのイメージが挙げられることもあります。

「3K」から「6K」へと言われることもある

近年では、3Kに新しく3つの要素を加え、6Kと呼ばれることもあります。

新しく付け足された要素についても確認しておきましょう。

6Kとは?3Kとの違い

6Kとは、「きつい・汚い・危険」とされる「3K」に、さらに複数の要素が加わるとして語られる俗称で、業界や文脈によって追加される内容は一定ではありません。たとえば「厳しい」「暗い」「苦しい」などが挙げられる場合もあれば、「帰れない・厳しい・給料が安い」といった要素を追加する例もあります。

残業や会社の付き合いが多いことで帰れない、企業の規則や上司の指導が厳しい、労働内容に対して給料が安く昇給も見込めないことが、近年の労働者の間で問題視されています。

6Kが生まれた理由

6Kが生まれた理由としては、近年の働き方に関係しています。近年は仕事よりも自分の生活を重視する人が増えており、会社に縛られない働き方を求める人が多いです。好きな時間を過ごせないことから、帰れないことは大きなマイナス要素となっています。

また、厳しすぎる職場環境や指導体制も、以前ほど受け入れられにくくなっています。近年はハラスメントに対する意識も高まっており、一方的で厳しい指導は若い人を中心に敬遠されやすいという見方があります。

さらに、近年は物価高も問題視されており、若いうちから収入を重視する人も増えています。生活費が必要なのはもちろん、貯金や余暇に使うお金も求められることから、給料の良さも就職先を判断する基準の一つとなっています。

以前の3Kは主に身体的な負担に関わる要素でしたが、6Kで追加された3要素は、身体的な負担というよりも、働き方や待遇面で敬遠されやすい要素だといえるでしょう。この3要素はホワイトカラーと呼ばれる職種にも当てはまることから、時代に合わせて内容が拡張されたと考えられます。

製造業のイメージを変える「新3K」

近年では、「きつい・汚い・危険」に変わる言葉として、「新3K」も登場しています。

旧3Kとの違いについて確認をしてみましょう。

新3Kとは?製造業にも参考になる『新3K』の考え方

新3Kとは「給与・休暇・希望」を指す言葉です。新3Kは国土交通省が建設業の魅力向上策として示した考え方で、製造業でも参考になる概念として紹介されることがあります。ここでいう『休暇』には、休みを取りやすい制度設計や、完全週休二日制への対応なども含まれます。

参考サイト
国土交通省:新3Kを実現するための直轄工事における取組/参照日:2026年03月10日参照

建設業界は、昔から3Kの現場として広く認知されてきました。きつく危険なのはもちろん、汗や汚れが目立っていたからです。3Kの現場であることから求人をしても人が集まらず、人材不足に悩まされています。

そんな現状を変えるため、国土交通省からイメージ戦略が打ち出されます。昔は作業者に負担を強いる作業が多かったですが、現在はデジタル技術の導入によってだいぶ緩和されてきました。作業時間も短縮されたことで、完全週休二日制にも対応できるようになっています。

また、デジタル技術の発展は建設業業界の希望にもなります。今はまだ実用的ではありませんが、3Dプリンタを活用した建築は、業界の将来性を感じさせてくれるでしょう。

3Kのイメージが変われば、興味を持って応募してくれるようになります。若い人が建設業界に入ってくることで、建設業界が活気づくことが願われています。

製造業も同様に3Kのイメージを持たれる業種の一つと言われますが、建設業界の新3Kにならった考え方で、人材不足問題の解消の一助にできるかもしれません。

新3Kが提唱される背景

新3Kが提唱される背景には、新しいイメージを植え付けることで、若い人の求人を増やす狙いがあります。旧3Kのままでは応募が期待できないため、マイナスイメージを払拭させる新たなイメージが必要とされます。

もちろん、イメージ戦略だけでは意味がありません。求人数を増やすためには、中身が伴った取り組みも必要です。給与面では手取りの改善を図る、休暇に対しては残業を減らして完全週休二日制を採用する、希望に対しては「ICT施工(ICT=情報通信技術)」を普及させることで仕事に未来を感じさせるなど、それぞれに合った取り組みを行なっていきます。

今はまだ旧3Kのイメージが強いですが、新3Kの取り組みを続けていけば次第に3Kのイメージは変わっていきます。働きやすい業界であることが知れ渡れば、若い人からの応募も増えていくでしょう。

また、新3Kに合わせた取り組みを行なっていけば、職場環境も良くなっていきます。働きやすい環境になることで、離職率も低下するのです。

3Kのままでは、業界の将来性は暗いままです。3Kであることを諦めず、より良く改善していくことが、3K業界で必要となります。

製造業で進む3K改善の取り組み

3Kのイメージを変えるためには、まず実行することが大切です。表面だけを偽っても、3Kのイメージは払拭されません。

3Kを改善する取り組みについても紹介します。

自動化・ロボット導入による危険作業の削減

自動化やロボットの導入により、危険工程をロボットに置き換えることで、人の危険曝露を減らし、安全性向上につながります。一方で、保守や復旧など人が関与する場面もあるため、安全対策を講じたうえで運用する必要があります。

また、作業を自動化すれば、労働負荷も減らせます。長時間のライン作業は肉体と精神が疲れますが、自動化すれば単純なライン作業から解放されます。

3Kにおける「きつい」と「危険」を軽減するための方法として、自動化やロボットの導入はとても効果的です。

たとえば、重量物の運搬では搬送用ロボットやアシストスーツ、昇降装置を導入することで、作業者が無理な姿勢で荷物を持ち上げる場面を減らせます。プレス機や切断機のように事故リスクが高い工程では、材料の投入や取り出しを自動化することで、人が危険箇所に直接触れる機会を減らすことも可能です。こうした取り組みは、労災リスクの低減だけでなく、作業者の疲労軽減や作業品質の安定にもつながります。

IoTやDXによる工場の改善

より効率化をはかるためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)を目指すことも大切です。それぞれの機械やロボットをIoT(Internet of Things:モノのインターネット)技術で連結し、AIで統制をすることで効率よく運用ができます。

それぞれのロボットをバラバラに扱っていては、干渉し合って事故の原因となってしまいます。干渉せずに綺麗な流れ作業とするためには、統率されたシステムが必要です。

ほかにも、人感センサーを用いて近くに人がいるときはロボットを動作させないようにしたり、デジタルピッキングシステム(DPS)を導入し、作業者が必要な部品を取り違えにくい環境を整えるなど、デジタル技術を用いた解決法はいろいろあります。

近年のデジタル化社会に伴い、工場のDXは国が推奨しています。生産性の向上や品質の改善などにもつながる要素ですので、少しずつでもデジタル化を目指してみてください。

具体的には、設備の稼働状況をリアルタイムで見える化し、停止時間や異常発生の傾向を把握できるようにする方法があります。また、紙の日報や点検表を電子化すれば、記入ミスや確認漏れを減らし、現場と管理部門の情報共有もスムーズになります。さらに、センサーを活用して温度・振動・電力使用量などを監視すれば、故障の予兆をつかみやすくなり、突発停止による負担や長時間残業の抑制にもつながるでしょう。

職場環境の改善

デジタル技術を導入するだけではなく、職場環境を改善することも大切です。いくら自動化やロボットの導入によって生産が楽になっても、それを扱う作業者への負担が大きいと3Kは改善されません。

  • 完全週休二日制の導入や残業の削減
  • 3S(整理・整頓・清掃)を習慣化させて清潔な状態を保つ

上記のように、職場環境も3Kをなくしたものに変えていく必要があるでしょう。

たとえば、夏場の暑さが厳しい工場では空調設備や送風機の増設、休憩所の整備、水分補給しやすい環境づくりが有効です。騒音が大きい現場では防音対策や保護具の見直しを進めることで、身体的な負担を軽減できます。さらに、シフトの見直しや残業時間の削減、有給休暇を取得しやすい運用を進めることで、「きつい」「帰れない」といった印象の改善にもつながります。

また、デジタル人材の育成も必要です。工場のDXに伴い今後はデジタル技術を主軸とした生産が行なわれていくと予想できますが、デジタル技術を扱える作業者が少ないと生産が成り立ちません。

扱える作業者が限られると業務が集中し、属人化のリスクも高まります。その結果、特定の作業者に負担が偏るおそれがあります。

誰もが同じように扱えるよう、研修や業務の標準化も進めてください。

加えて、教育体制を整えることも重要です。新しい設備やシステムを導入しても、一部の担当者しか扱えない状態では、かえって現場の負担が偏ってしまいます。操作手順の標準化やマニュアル整備、定期的な研修を行なうことで、誰でも一定水準で作業できる環境をつくれます。結果として属人化の防止につながり、働きやすさと生産性の両方を高めやすくなります。

3Kのイメージは変わりつつある

3Kといえばマイナスイメージが強い要素でしたが、近年の働き方改革によってイメージは変わりつつあります。デジタル技術の採用によって、きつい、汚い、危険な職場は減りつつあり、昔よりも3K現場を聞く機会は減ってきています。

また、新3Kの登場によって、プラスイメージを持つようにもなりました。給与が良い、休暇が取れる、希望が持てることは今の若い人たちにとって重要な要素であり、今後は新3Kを基準として就職先を決めていくのかもしれません。

払拭したイメージが再び悪くならないよう、それぞれの企業が3K対策を行ない、業界全体で働きやすい環境を作ることが大切といえます。

まとめ:製造業の3Kは課題である一方、改善も進んでいる

3Kは、昔から企業の課題として挙げられてきました。3Kであることは作業者への負担が大きく、労災の引き金となってきたからです。特に製造業は事故が起きやすい業界であり、3Kの改善は最優先課題ともいえるでしょう。

実際の改善では、自動化による危険作業の削減、IoTやDXによる業務の見える化、そして休暇制度や教育体制の見直しを組み合わせて進めることが重要です。単に設備を導入するだけではなく、作業者が安心して働ける環境まで含めて整備することで、3Kのイメージ改善はより現実的なものになります。

また、3Kは社員たちのモチベーションを低下させ、作業効率も減少させます。生産性を高める意味でも3Kの改善は必須といえます。

そんな3Kですが、一部の現場では改善が進んでいます。デジタル技術の導入や働き方改革関連法の施行により、労働負担の軽減や労働環境の見直しは進んでいますが、現場によっては依然として3Kの課題が残っています。

業界全体が変わっていく中、自社の仕事内容や職場環境を今一度見直し、改善を続けていくことが大切です。

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