紙マニュアルの脱却!製造業の現場に活用できる動画マニュアルのメリット

紙マニュアルの脱却!製造業の現場に活用できる動画マニュアルのメリット

紙マニュアルの脱却!製造業の現場に活用できる動画マニュアルのメリット

仕事をするうえで必須となる作業マニュアル。ほとんどの企業で用意され、利用したことのある人も多いことでしょう。

そんな作業マニュアルですが、近年では紙にまとめたマニュアルではなく、動画で撮影したマニュアルが増えてきています。増加傾向にある理由はひとえに「分かりやすい」からであり、今後はさらに動画マニュアルが増えていくと考えられます。

動画マニュアルが増えつつある理由とはなんなのか。紙のマニュアルが抱える問題点と、動画マニュアルにした場合のメリットについて紹介します。

製造業におけるマニュアルの重要性

そもそも、なぜマニュアルが必要なのでしょうか。マニュアルの重要性について、改めて確認してみましょう。

品質を一定に維持できる

マニュアルが必要とされる理由は、品質を維持できるからです。マニュアルによって作業工程が統一されることで、誰でも同じ製品を作れるようになります。

当然ですが、技術者によって製造技術は異なります。修練した年月はもちろん、得意不得意も異なるため、同じ製品でも同じように作るのは難しいです。

そして、製造技術が異なることで品質にも影響し、同じ製品でも品質にばらつきが出てしまいます。品質にばらつきがあるようでは、安定して使うのは難しいといえるでしょう。

ですが、マニュアルによって作業手順を統一化すれば、同じ製品を同じように作れます。結果として技術力に差がなくなり、品質も安定するわけです。

ベテラン技術者の技術をマニュアル化すれば、入社したばかりの新人でも、ベテラン技術者と同等の技術を身に着けられます。分かりやすいマニュアルがあれば、誰でもすぐに即戦力になれるでしょう。

業務の効率化を実現できる

マニュアルの活用により、業務の効率化も目指せます。マニュアルの手順に沿って作業をこなすことで、余計な作業を減らせるからです。

作業効率が向上すれば作業者の負担も軽減され、より労働環境が良くなることで離職者も減らせるでしょう。

また、新人教育の手間も削減されます。必要な事はマニュアルに記載されているため、指導員が付きっきりで指導する必要がありません。細かい部分だけ補足することで、必要な内容を教えられます。

そして、教育担当者は時間が空くことで本来の作業に集中でき、結果を出せるようになるのです。

ノウハウなどの情報を共有できる

マニュアルの作成は、情報の共有にも役立ちます。必要な情報をまとめて記載することで、情報を共通認識にできるのです。

例えば、作業手順に変更が生じたとしましょう。重要なことのため作業員全体へ知らせる必要がありますが、1人ずつ連絡をするのは時間の無駄です。

ですが、マニュアルに記載して変更したことを伝えれば、作業員は自主的に確認し、情報の共有ができます。全員が同じマニュアルを確認することで、変更点を同じように知ることができるわけです。

他にも、作業の中で気が付いたことなど、個人のノウハウをまとめることで、より効率と安全性を増した作業ができるようになります。

作業のコツや注意点など作業員ごとに知っていることが異なると、知識と技術力に差が生じ作業が円滑に進みません。作業効率を良くするためにも、マニュアルによる情報共有が必要です。

紙のマニュアルによる問題

近年はマニュアルの動画化が浸透していますが、紙のマニュアルだからこそのメリットもあります。

「端末が不要」「どこでも読める」「複数のページを参照しやすい」など、アナログならではの手軽さが特徴です。年配者を中心に電子機器の扱いを苦手とする人も多く、紙のマニュアルが必ずしもダメなわけではありません。

ですが、同時に紙のマニュアルだからこそのデメリットもあります。動画マニュアルが選ばれているのも、そのようなデメリットが問題となっているからです。

紙のマニュアルにはどのような問題点があるのか。動画マニュアルが選ばれる理由を知るためにも、問題点について理解しておきましょう。

情報の検索が困難

一つ目の問題点は、情報の検索が困難なことです。紙のマニュアルだと、必要な項目を探すのにとても苦労します。既に電子データでの検索に慣れていればいるほど、検索の困難性をより強く感じることでしょう。

仮に100ページのマニュアルがあったとしましょう。その中から、項目一つを探すのはとても骨が折れます。探すだけで時間がかかり、作業時間を大幅に損ないます。

もちろん、目次を参照すればある程度は解消されますが、それでも手間がかかるのには変わりありません。パソコンによって電子化されたマニュアルなら一瞬で検索できることを考えると、大きな違いといえるでしょう。

作業効率が悪いのはもちろん、作業者の負担が大きいことが、紙のマニュアルのデメリットといえます。

印刷のコストが発生する

二つ目の問題点は、作成にコストがかかることです。紙に印刷する必要があることから、マニュアルの作成には印紙やインク代がかかります。

もちろん、数ページ程度なら微々たるものですが、数百ページもあるようなら事情は変わってきます。作業員全員分のマニュアルを作成するなら、なおさら費用がかかるでしょう。

さらに、マニュアルを更新するたびに作成のコストが発生します。紙のマニュアルであれば、更新の都度最新版を印刷しておく必要が出てきます。また、処分するためのコストもかかり、予想外の出費となり得ます。

他にも、管理費用も紙のマニュアルには発生します。少しでも、企業コストを抑えることを考えるのなら、紙のマニュアルの電子化は推進するべきでしょう。

内容の更新が容易ではない

三つ目の問題点は、内容の更新が面倒なことです。上述の通り、マニュアルを更新する場合には、一から印刷し直さなければなりません。

もちろん、ちょっとした修正ならメモ書きしたり、付箋を貼ったりと手作業で書き直す方法もありますが、修正するたびにマニュアルが見づらくなります。もし、作業員全員に渡している場合は、それぞれに配布している資料にも修正することになるため、全体告知なども必要になるでしょう。

また、更新に伴い再印刷のコストもかかります。再印刷を防ぐためにも、ミスが無いよう、徹底した見直しが必要です。

生産性の向上や効率化が求められる昨今においては、より良い方法に改善するためにPDCAサイクルを回して改善を図ることも重要です。それにはマニュアルの更新も必要となってきます。

紙の消費が環境保全に影響

四つ目の問題点は、紙の消費による環境問題です。印刷物が増えることで、環境資源を消費します。

近年は、温暖化を防ぐための対策として、世界各国で環境保全が推奨されています。ビニール袋の有料化も環境保全の一環であり、環境保全に取り組む企業は珍しくはありません。また、SDGsの中でもゴール13「気候変動に具体的な対策を」やゴール15「陸の豊かさを守ろう」など環境保全の対策を目標としているものもあります。

紙のマニュアルは環境資源を消費します。内容を更新のたびに印刷すれば、それだけ、環境資源の消費も多くなるでしょう。

環境保全を意識するなら、紙の消費がない、電子マニュアルや動画マニュアルの方が適しています。

管理・保管のために場所を取る

五つ目の問題点は、保管スペースを確保するためです。紙のマニュアルを保管するためには、物理的なスペースを有します。

また、管理の手間もあります。汚れないよう注意し、汚れて読めなくなったら新しいマニュアルを用意しなければなりません。作業環境によっては、汚れないようクリアファイルで保管する必要もあるでしょう。

もちろん、一冊や二冊程度なら問題にはなりませんが、複数あれば、それだけ場所を取り管理も面倒になります。

規模が小さい企業ほどマニュアルを置くスペースが無く、管理が難しいといえるでしょう。

動画マニュアルのメリット

動画マニュアルとは、作業内容を映像化したマニュアルのことです。作業工程を映像化することで、作業の流れを見て覚えることができます。

では、動画マニュアルにすることでどのようなメリットがあるのか。確認してみましょう。

撮影だけで簡単に作れる

一つ目のメリットは、簡単にマニュアルが作れることです。作業する様子を撮影するだけで、動画マニュアルが作れます。

もちろん、実際に作る場合は、カメラアングルなども気にしなければなりません。注釈やテロップなども必要になるでしょう。しっかり作成する場合には、ある程度の動画作成技術が求められます。

とはいえ、最低限の体裁を整えるだけなら、作業の様子を映像化するだけでも問題ありません。詳しい内容は、指導員が口頭で補足すれば良いだけです。

基本的には撮影するだけですので、取り直しも簡単にできます。手が込んだ内容にしなければ、マニュアルの更新も簡単に行えるでしょう。

紙では伝わらない「動き」が伝えられる

二つ目のメリットは、内容を「動き」で伝えられることです。作業の流れを見て覚えることができるため、複雑な内容も、理解がしやすくなります。

もちろん、紙で伝えることもできなくはありませんが、複雑になればなるほど説明は難しいです。理解度も人それぞれ異なるため、自分は理解できても他人は理解できないことはよくあります。

ですが、動画で見て学べば、説明に悩む必要はありません。説明が苦手な人も、少し補足をするだけで指導ができます。

学ぶ方としても流れが想像しやすく、紙で説明されるより何倍も、理解しやすいでしょう。

また、「見て覚える」ことは、技術継承問題にも役立ちます。複雑な技術も直感的に学べるからです。映像にすることで対面して教える必要がなくなるほか、映像データを送ることで、遠方の技術者にも技術継承ができるようになるでしょう。

動画マニュアルにすることで、内容を分かりやすくし、技術習得を早めることができます。

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教育内容を統一化しやすい

三つ目のメリットは、教育内容を統一化できることです。同じ教材を使うことで、教育の統一化を図れます。

「品質を一定に維持できる」でも触れたように、個人によって能力が異なります。それに伴いやり方や教え方も変わってくるのです。複数の指導者がいることで「あの先輩は大丈夫といったけど、別の先輩は間違っている」といった事態にもなり、新人は誰を信じれば良いのか分からなくなってしまうでしょう。

ですが、全員が同じ教材を使うことで、その齟齬がなくなります。それに伴い技術力も統一化され、作業効率の効率化にもつながるわけです。

もちろん、紙のマニュアルでも可能ですが、文章であることから解釈の違いが生まれます。正しく情報共有するためにも、動きが分かることが重要といえるでしょう。

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マニュアル作成コストを削減できる

四つ目のメリットは、コスト削減につながることです。印紙やインクを使わないことで、印刷によるコストを抑えられます。

また、動画マニュアルはデータ管理になりますので、保管にかかるコストも削減可能です。場合によっては、動画マニュアルを見せるだけで教育が終了でき、人件費や研修コストの節約にもなるでしょう。

ただ、動画の撮影には機材が必要です。動画の編集を外部に依頼した場合は、その分のコストも発生します。作成方法によっては紙のマニュアルより高くなりますので、よく見積もりをしたうえで、マニュアルの作成を検討してください。

何度でも情報を伝えられる

五つ目のメリットは、何度でも教材を使いまわせることです。データは半永久的に保存されますので、繰り返して使うことができます。

熟練工の作業の説明を1度動画に取っておけば、その場に居合わせなかった人やこれから入ってくる人たちにも1度のコストで何度でも伝えることも可能です。

重要な場面を繰り返し確認するなど、徹底した教育も可能です。特に重要な場面の時間をメモしておけば、すぐに確認がしやすくなるでしょう。

また、繰り返し使えることで環境にも優しいです。紙のマニュアルのように、新人が入社するごとに印刷する必要はありません。それに伴い、コストも削減できます。

他にも、紙のマニュアルのように、濡れたり汚れたりして品質が劣化する心配も、基本的にはありません。内容の更新によって変更はしますが、一度撮影したらそのまま使い続けられます。

まとめ:製造業の現場に動画マニュアルを活用してペーパーレス化

動画マニュアルのメリットは、「作業内容が分かりやすい」ことです。見て覚えることができるため、直感的に作業ができます。近年は、「識字率と読解率が低下している」ともいわれており、文章を読むのを苦手とする人が増えています。そのような人でも、動画マニュアルなら理解しやすく、正しく学べるでしょう。

他にも、「撮影が簡単」「コスト削減できる」「再利用可能」「管理が楽」「環境問題に沿える」といったメリットもあり、企業側としても、動画マニュアルのメリットは大きいです。

もちろん、紙のマニュアルならではのメリットもありますが、「情報を探しにくい」「コストがかかる」「作成が大変」などのデメリットがあり、使いづらい部分が目立ちます。

マニュアルは、作業を統一化させ品質を安定させるために必要不可欠なモノです。作業員へ正しく伝えるためにも、分かりやすいマニュアルの作成が望まれます。

新人教育をスムーズに進めるためにも、ぜひ動画マニュアルを活用してみてください。

生産管理システムFUSEの作業動画検索機能

生産管理システムFUSE(フューズ)の「作業動画検索」は、作業完了登録機能(現場のタブレット端末)で撮影した動画を顧客/工程と紐づけて自動で登録することができます。技術継承の一環として、作業の様子を残すために製品の写真や作業風景・動画などをデジカメで撮影してはいるけれど、仕分けるのが面倒で後回しになっていたり、後回しにしたことでどの作業と紐づくのか分からなくなってしまうということもありません。

動画や写真の閲覧には専用ソフトは不要で、パソコンやタブレット端末の標準ソフトを使って、FUSEの画面上からいつでも誰でも確認ができます。

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