生産管理システムは、生産管理業務を分かりやすく効率的にするシステムです。業務内容を見える化することで、瞬時に、在庫や工程などを把握することができます。
ですが、実際に導入しようとしても、コストの問題があります。外部に発注すると導入に数百万円~数千万円は必要と言われ、導入を諦めた企業もあるのではないでしょうか?
そんな生産管理システムですが、実は自作することもできます。自作すれば、導入に費用を払う必要はありません。とはいえ、プログラミングで自作するのは難しい印象があって選択肢から除外している。
では、生産管理システムを自作するにはどうすれば良いのか?自作するメリット、デメリットと合わせて紹介します。
生産管理システムは自作できるの?
結論から言えば、生産管理システムを自作することは可能です。現在世の中に存在している生産システムはすべて、別の誰かが作成した物であり、自作できないことはありません。
ただし、自作するためには仕組みを理解する必要があります。自作するためのアプリやソフトはもちろん、生産管理システムには何が必要かを知らないと、システムを自作するのは難しいです。
生産管理システムに必要とされる主な機能は7つほどあります。もちろん、使い方によっては他の機能も必要となりますが、最低限の機能として、それぞれ覚えておきましょう。
主な機能 | 機能の概要 |
---|---|
生産計画 | 過去の売り上げデータから生産計画を策定 |
販売管理 | 売上情報や販売先情報などの管理 |
購買管理 | 購入品や購入先などの管理 |
工程管理 | 作業工程に遅れが無いかなどを管理 |
在庫管理 | 納期や製造年月日などの在庫情報の管理 |
原価管理 | 原価計算や商品コストなどの管理 |
品質管理 | 製品の品質が基準に達しているかの管理 |
生産管理システムを自作する方法3選
必要とする機能が分かったら、次は作成方法の紹介です。生産管理システムは何で作れば良いのでしょうか?
- エクセルを活用する
- アクセスを活用する
- プログラミングで開発する
エクセルを活用する
一つ目の方法は、エクセル(Excel)を使った作成方法です。表計算ソフトとして有名なエクセルですが、機能や関数を使うことで、データをまとめることができます。
例えば、SUM関数を使った購入金額の計算です。SUM関数とは、指定したマスの数字を足し算する関数であり、購入金額を表に入力するだけで自動的に計算されます。販売管理や購買管理だけではなく、より細かく設定すれば原価管理にも活用可能です。
ガントチャートによる納期の視覚化、ピボットテーブルによる売り上げ分析、VBA処理による作業の自動化なども可能であり、様々な用途で使用できます。
また、エクセルは誰もが知っているソフトであり、分かりやすいのもメリットです。難しい教育は必要なく、すぐに使い方が理解することも可能です。自作する際はVBAやマクロについて勉強する必要がありますが、それでも、ソフトの使い方自体は分かるため、そんなに苦戦はしないでしょう。
他にも、ワードやパワーポイントを始めとした様々なツールと連携が可能。自作するために新しく導入する必要がないなどコストパフォーマンスにも優れ、試しに自作するのにも向いています。
アクセスで構築する
二つ目の方法は、アクセス(Access)を使う方法です。アクセスとは、エクセルと同じマイクロソフト社が開発したデータベース管理ソフトウェアであり、エクセルとは違い、始めから管理を目的としています。
基本となる管理フォーマットがすでに用意されていますので、エクセルのように、一から構築する必要はありません。社員情報をテーブルでまとめたり、販売管理と在庫管理を紐づけしたりなど、エクセルよりも簡単に構築可能です。
また、VBSを使用することで、独自のカスタマイズも可能です。VBAの知識は必要になりますが、より使いやすく、分かりやすい生産管理システムが構築できるでしょう。
他にも、エクセル同様に他のツールと互換性が高い。利用料が安いなどのメリットもあり、迷ったら、アクセスで構築するのがおすすめです。
プログラミングで開発する
三つ目の方法は、プログラミングによって、一から構築する方法です。エクセルやアクセスもプログラミングで構築されたソフトであり、同じように自作することができます。
一から内容を構築するため、どんなシステムでも構築可能です。購買管理に連動して在庫管理に加算されるシステムや、生産計画から工程管理を自動調整するシステム、さらには、すべての管理状態が連動するシステムなど、エクセルやアクセスにできないことでも、自由に構築できるでしょう。
一から構築するため、プログラミングの知識は欠かせません。一朝一夕でできるものではなく、十分な勉強が必要です。最近では「ノーコード」と呼ばれるプログラミング言語を使わないアプリ開発ツールなどが出てきているため、生産管理システムの機能や仕組みさえ理解できていれば、自作することも可能といえるでしょう。
ただ、構築には時間もかかります。内容や規模にもよりますが、数か月から半年かかる場合も珍しくはないでしょう。
プログラミングでの構築は自由度がとても高いですが、初心者が手を出すにはハードルが高く、あまりおすすめはできません。どうしても自作してみたいという場合には、「ノーコード」の開発ツールを使って試してみることをお勧めします。
中小製造業が生産管理システムを自作するメリット
生産管理システムは、専門の企業に発注することも可能です。よく分からないまま自作するよりも、専門の企業に発注する方が、面倒も少なく楽ができるでしょう。
ではなぜ、わざわざ自作する必要があるのでしょうか?中小企業の観点からみるメリットを3つほど紹介します。
- 導入のコストを抑えられる
- 思い通り自由にカスタマイズできる
- システム運用中の変更がいつでもできる
導入のコストを抑えられる
一つ目のメリットは、導入に必要なコストを抑えられるからです。外部に発注すると数百万円の開発費と導入費用がかかりますが、自作してしまえば必要ありません。
エクセルならほとんどのパソコンに初期インストールされていますし、アクセスやプログラミングソフトを新しく導入しても、数万円程度で準備できます。他に、開発のための人件費や学習費なども必要になりますが、自作するために必要な準備だけであれば、すべて合わせても数十万を超えることは滅多にないでしょう。
また、システムの不調や新しく機能を追加したい場合も、自社で対応可能です。外部に発注すれば保守・メンテナンスの費用が発生するためランニングコスト的にも優れており、導入に費用をかけにくい中小企業の場合は、自作するのがおすすめと言えます。
思い通り自由にカスタマイズできる
二つ目のメリットは、システムを自由にカスタマイズできることです。システムを一から自作することで、必要な機能を増やしたり、分かりやすいようデザインを変更したりなど、自分たちで使いやすいよう自由に構築ができます。
自社の特徴に合わせて細部を調整できますので、分かりやすく、馴染みやすいシステムを作りやすいといえます。
もちろん、外部に発注する場合も、カスタマイズの指示を出すことはできます。ですが、細かい指示は伝えにくく、思っていたデザインと異なる場合も珍しくはありません。
作り直しによって長引けば、それだけ負担となってしまいます。満足のいくシステムを作るなら、自作することをおすすめします。
システム運用中の変更がいつでもできる
三つ目のメリットは、システムの変更が自社でできることです。自作したシステムなら仕組みも分かりますので、必要に合わせて改良できます。
システムに問題が生じた際も自分たちで修理ができ、すぐに業務を再開できるでしょう。
新商品の開発や新事業の立ち上げにも対応しやすく、自作してシステムを理解している方が、将来的にプラスになりやすいです。
中小製造業が生産管理システムを自作するデメリット
自作すればコストと自由性に優れますが、残念なことにデメリットもあります。自作する際は、デメリットのことも考えて取り組むようにしてください。
- 開発自体が難しい
- メンテナンスの手間が発生する
- 属人化する可能性が高い
開発自体が難しい
一つ目のデメリットは、単純に自作するのが難しいことです。実際に始めてみればわかりますが、開発ソフトの使い方はもちろん、生産管理システムについても理解する必要があり、始めの一歩でつまずくことが多いと思います。
勉強するにしても独学では難しく、理解するまでに時間がかかります。場合によっては完成までに数年かかる可能性もあり、最終的には「発注しておけば良かった」と思うかもしれません。
もちろん、始めから理解のある新人・中途を採用する方法もありますが、人材が見つからなかったり、専門の社員を雇い入れるのが難しいということもあり得ます。
他にも、途中で挫折したり、完成しても実用レベルに達していないなどの問題もあり、軽い気持ちで自作を始めると竜頭蛇尾に終わってしますこともよくあります。
メンテナンスの手間が発生する
二つ目のデメリットは、定期的なメンテナンスが必要なことです。システムが不調の際の修理はもちろん、データが消えてしまったときのためのバックアップなども必要となります。
また、クラウドなどのネットワークサービスを利用するなら、セキュリティ対策も必要です。生産管理システムは自作して終わりではなく、使い続けることも考える必要があります。
一方で、汎用品のシステムなら運用後のサポートがつきます。定期メンテナンスやバックアップをしてくれるサービスも存在し、自分たちでする面倒がありません。
システム修理や管理に人を回すと、場合によっては全体的な生産性が低下する可能性もあります。人材不足の場合は、外部に任せてしまった方が、何かと都合が良いです。
属人化する可能性が高い
三つ目のデメリットは、システム管理が属人化することです。属人化とは、業務内容がその人しか分からなくなる状態のことであり、他の人が手を加えられない状態のことを指します。
属人化がされると、万が一システムが不調になっても、担当者しか修復することができません。もし、担当者が休暇申請をしていた場合は、その日は仕事ができなくなります。
さらに、担当者が退職してしまうと、誰も修理ができず、完全なブラックボックスと化します。修理できないことから、場合によっては一から作り直す必要もあるでしょう。
システムの属人化は、特に独学ですると生じやすいです。中小企業の場合は開発を一人で担当する場合が多く、マニュアルも作らないことが多いため、より属人化がしやすいと言えます。
勉強会を開催する、複数人で作業をするなど、属人化対策ができないようなら、外部に発注することをおすすめします。
まとめ:自作するかは慎重に決定しましょう
生産管理システムを自作すれば、導入コストを気にせずにシステムの導入ができるといえます。パソコンを使っていれば身近なエクセルでの構築も可能なため、実質「無料でできる」といっても過言ではありません。カスタマイズも自分たちで自由にできるため、外部に発注するよりも使いやすいシステムが用意できるでしょう。
ただ、構築は決して簡単ではありません。完成した後も、使い続けるにはメンテナンスが必要であったり、属人化してしまったがために不具合が起こった際に直せなくなってしまうリスクなどがあるため、外部に発注した方が良い部分もあります。
生産管理システムを自作する際は、メリット、デメリットをよく考えてから、自作するかどうかを決めてください。
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