製造業におけるIoTの想定される課題と導入に必要な4つのステップ

製造業におけるIoTの想定される課題と導入に必要な4つのステップ

製造業におけるIoTの想定される課題と導入に必要な4つのステップ

近年、製造業ではloT化が浸透しつつあります。導入によって作業効率が改善されることから、多くの企業が注目し、導入を検討しているのです。

ですが、導入には落とし穴があり、導入による問題点も存在します。知らずに導入すると、企業の不利益となる場合もあるため、導入には注意が必要です。

loTの導入にはどのような問題点が存在するのか。導入で想定される課題や導入に必要な要素などを紹介します。

IoTとは?

loTとは、「Internet of Things」の略称であり、「モノ同士をインターネットでつなげ、活用する」技術のことです。「モノのインターネット」とも言われています。

loTが登場するまでは、同じネットワーク同士でつながった機械同士でしかデータのやり取りができませんでしたが、インターネットにつなげることで、より広い範囲で接続できるようになりました。

それにより、センサーやスイッチといった外部端末とも接続可能となり、リアルタイムによるデータ収集のほか、遠隔操作による外部端末の操作もできるようになります。

製造業は将来的に生産の自動化やAIの自律化が検討されており、それを実現させる足がかりとして、loTは注目をされているのです。

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製造業のIoT導入で想定される問題

loTは、将来的に必要とされるIT技術です。国や社会が推奨するだけではなく、作業効率の向上やコスト削減、リスク管理などの効果も期待できることから、多くの企業がloTの導入を検討しています。

ですが、その一方で、導入には問題点も存在します。導入を検討する際は、問題点を理解し、問題解決の対策が必要です。

コストの問題

loTの導入には、コストが掛かります。システムの導入はもちろん、センサーなどの設備の導入や、導入するための工事なども必要となり、最終的なコストが数千万円になる場合も少なくはありません。

いくら業務内容が改善されるとはいえ、数千万円の出費は決して即答できる金額ではありません。そのことから、資産に余裕のない企業は、導入に対して二の足を踏ませています。

導入を検討する際は、導入資金を用意するのはもちろん、「導入によって、導入以上の利益が本当に得られるのか」を、しっかり見極め判断する必要があるでしょう。

IoTに精通した人員不足の問題

loTを導入する際は、同時に、loTに精通する人材を用意する必要があります。理解している人がいないと、操作はもちろん、トラブルが生じた際に対処することができません。

精通するためには従業員の学習を必要としますが、そのためには、膨大な時間とコストがかかります。さらに、学習に専念させると今度は人材不足となって生産に影響がでるなど、人材を育成するにしても簡単にはいきません。

また、だからといって精通した新人を雇用しようにも、製造業全体が人手不足なため、すぐに雇用するのも難しいです。方法の一つとして、アウトソーシングの導入も検討できますが、その場合でもコストはかかります。

無計画に導入しても、満足に活用できないだけではなく、さらなるコストとして負担となります。導入を検討する際は、人材の育成や新人の雇用などについても、考える必要があるでしょう。

現場の負担が増えてしまう問題

loTの導入は、逆に現場を混乱させる原因にもなり得ます。今までの作業から一転して新しくなるため、loTに適した作業の流れを、新しく覚える必要があるからです。

さらに、学習のために作業時間を割くことで生産性も低下します。他にも、現場が混乱することで作業をミスし、リスクも向上する結果となるでしょう。

考えなしの導入は現場を混乱させるだけであり、いたずらに従業員の負担とリスクを上げるだけの結果となります。

導入する際は、「本当に作業が効率化されるのか」をシミュレーションするほか、マニュアルの作成や、馴染みやすいよう段階的にloT化するなど、環境を整えることも重要です。

データを活用しきれない問題

loTを導入しても、活用しきれなければ意味がありません。様々なデータを収集しても、それが「どのように活用できるか」が分からないと、ただデータを収集しただけで、宝の持ち腐れとなってしまいます。

loTを活かすためにも、活用するためのノウハウを学ぶ必要があります。そして、そのためにはIoTに精通した人員の育成が必要であり、学ぶための環境を整える必要があります

IoT導入に必要な4つのステップ

loTの導入は、大きく4つのステップを必要とします。それぞれどのようなことをするのかを確認してみましょう。

データの収集

まず必要なことは、データ収集ができる環境を作ることです。情報をまとめるためには、情報を収集するデバイスが必要になります。

情報収集デバイスとなるカメラやセンサーを、必要とする場所に設置しましょう

データの蓄積

情報を収集したら、次はデータの蓄積です。集めた情報を保管・管理できないと、折角収集しても活かすことはできません。

専用のサーバーを用意するのも良いですが、IoTはインターネットに接続されたIT技術です。クラウド環境を活用することで、より膨大な情報を保管することができます。

また、クラウド環境ならスマートフォンやタブレットからも閲覧でき、各部署が自由に活用可能です。

リアルタイムな情報更新も可能となり、より精密な情報収集ができるでしょう。

ただ、インターネットにつなげる都合上、セキュリティ対策も必要となります。loT化と合わせて、準備をしてください。

データの可視化

蓄積したデータは、従業員も把握できるよう可視化します。loTは人間とのつながりも意味し、情報の見える化によって、状況や工程が把握できるようになるのです。

ただ、必要とするデータは、部署や目的によって異なります。製造部門では温度や湿度のデータを必要としても、搬送部門や事務部門では必要としないということです。

すべての情報を見える化しても、情報が膨大過ぎてうまく活用はできません。部門や目的に合わせて、必要なデータを選択することが大切といえます。

また、可視化に伴い、使いやすさや見やすさも意識しましょう。誤操作などの人的ミスが減り、現場の負担を減らすことにつながります。

データの活用

データを可視化したら、その内容を活用できるようにします。データを集めて見えるようにしただけでは、企業の利益にはなりません。「どのようにすれば効率化がされるのか」など問題点を見つけ、課題にできる環境を作る必要があります。

また、loTの活用方法は課題の発見だけではありません。他にも、危険な情報をいち早く察知することでリスク管理に、リアルタイムな世情から経営戦略の参考に、遠隔操作による労働環境の改善など、様々な活用例が挙げられます。

必要に合わせて活用できる環境を作ることで、初めてloTの導入に成功したといえるでしょう。

loTは、無計画に導入しても思ったような成果は期待できません。事前にシミュレーションや計画を練り、そのうえで導入を進めることが大切です。

製造業がIoT導入で実現できる4つのメリット

loTを導入することでどのようなメリットがあるのか。製造業におけるメリットを4つほど紹介します。

  • 生産工程の可視化
  • リスク対策の強化
  • 作業工程の最適化
  • 生産管理の自動化

製造現場のデータや生産工程の「見える化」

1つ目のメリットは、生産工程が可視化されることです。生産工程や向上の状況を一目で把握できるようになります。在庫状況やボトルネックとなる部分を把握することで、生産計画の立案や、生産性の向上につなげることができます。

また、可視化されるのは数値とデータだけではありません。作業者のコツや作業のノウハウ、異常音の種類など、表現しにくい内容や人によって感覚が変わる内容も、数値化し収集することが可能です。

物事を客観的に捉えることで、今まで気が付かなかった事実も見えるようになり、対策を組めるようになるでしょう。

センサーによるシステムの異常や故障の検知・防止

2つ目のメリットは、リスク対策が強化できることです。カメラやセンサーを設置しておけばリアルタイムに状況を把握でき、異常が生じても、すぐに検知・対応ができます。

また、人の目では分かりにくい変化もセンサーなら判別可能です。傾きセンサーや気圧センサーなどを設置することで、故障や事故を事前に防げるでしょう。

事前に予防ができれば、修理に時間を取られる必要はなく、生産できないムダを防げます。修理の手間やこまめに管理する手間も省けることで、現場の負担を軽減することにもつながるのです。

データを活用して作業や動線を最適化できる

3つ目のメリットは、作業工程を最適化できることです。収集したデータから全体の流れを把握し、ボトルネックとなる個所を改善することで、作業工程をよりスムーズにできます。

また、状況に合わせた配置の変更もできます。リアルタイムに情報が収集されますので、生産が遅い工程に合わせて増員をすれば、人員のムダがありません。

他にも、従業員にビーコンを持たせ記録すれば、作業の動線も確認することもできるでしょう。動線を確認し配置を変えることで、作業効率が向上するだけではなく、従業員の負担も軽減されるでしょう。

客観視することでデータを正確に把握しやすく、作業や動線を最適化することで、生産性の向上につながります。

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製品の生産管理が自動化できる

4つ目のメリットは、生産管理が自動化されることです。各情報がリアルタイムに集計されるため、従来のように、人がデータを集計し入力する必要がありません。自動的に収集し整理することで、その分の時間と労力を削減できます。

また、データの集計だけではなく、ロボットによる自動化も可能にします。集計したデータをAIが判断し作業することで、人材不足の解消にもなるでしょう。

他にも、24時間のリアルタイム監視・操作を可能にするなど、自動化によって、飛躍的に生産性を向上させることができます。

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まとめ:IoTは製造業に大きなメリットをもたらしてくれる

loTが導入されることで、作業現場が大きく改善されます。生産の見える化によってムダを改善し、機械による自動化と相まって、より生産性を高めてくれます。

他にも、リスク管理や従業員の負担の軽減、他部署と連携しやすくなるなどのメリットもあり、導入による影響は大きいといえます。

ただ、導入には問題となる課題も存在し、無計画な導入は、逆に自社の首を絞める結果になりかねません。コストの増加や従業員の負担が増し、逆に生産性を落とすことにもなるでしょう。

loTは将来的に必要となる技術ですが、今すぐ必要になるかは企業によって異なります。コストや必要性などを加味し、導入が利益となるよう検討してみてください。

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