製造業が注目したいITトレンド~メタバース(Metaverse)~

メタバースとは?製造業も注目したいデジタル社会を支える仮想世界

製造業が注目したいITトレンド~メタバース(Metaverse)~

「メタバース」について聞いたことがありますか?SFに登場する代名詞の一つであり、仮想世界といった意味があります。現実世界とは別の電子世界があるのは、とても夢がある話といえるでしょう。

そんなメタバースですが、近年では現実の出来事として、耳にするようにもなりました。それに伴い、様々な業種や企業から注目もされつつあります。

なぜメタバースが注目されるのか。その理由や製造業への活用方法などを紹介します。

メタバースとは?

メタバースとは、インターネット上に構成された、仮想空間を示す言葉です。「メタ(meta):超越」と「ユニバース(universe):世界」を合わせた造語であり、「現実世界を超越した世界」といった意味になります。

元々は、SF小説で使われた台詞ですが、IT技術がフィクションに追いついたことで、実際に使われるようになりました。そして、映画「マトリックス」「アバター」「サマーウォーズ」を始めとした様々な作品の題材にもなったことで、メタバースの認識は広まっていきます。

また、自身のアバターを使うことで、メタバース内を自由に移動もできます。コンテンツを用意すれば、仮想世界でゲームやイベントを楽しんだり、金融取引によって経済を回すことも可能です。

現実世界と同じように仮想空間で生活ができることから、「もう一つの世界」として世界中が注目しています。

広義でのメタバース

仮想世界を作る技術は、他にもいろいろあります。どの技術も現実世界と仮想世界の境目をなくす技術であり、それらは広義のメタバースとも呼ばれているのです。

広義のメタバースには何が含まれるのか。確認をしてみましょう。

  • デジタルツイン
  • VR(Virtual Reality):仮想現実
  • AR(Augmented Reality):拡張現実
  • MR(Mixed Reality):複合現実

デジタルツイン

デジタルツインとは、現実世界の様子を仮想世界に再現する技術のことです。特に再現度の高いデジタルツインは「ミラーワールド」とも呼ばれ、現実世界では難しいシミュレーションを実施する場所として活用されます。

また、シミュレーションはデジタル世界で行われますので、実際にモノを作る必要はありません。シミュレーションの結果が失敗しても、値を変えてすぐに再シミュレーションが可能であり、デジタルツインには、資材と時間のコスト節約効果も期待されているのです。

メタバースとの違いは、現実との再現度の違いにあります。デジタルツインは現実世界を再現する技術なのに対して、メタバースは現実を再現する必要はありません。世界観はもちろん、アバター自身も自由に変えられます。

デジタルツインもメタバースと同じように仮想世界を作る技術であり、広義の意味でのメタバースといえるでしょう。

VR(Virtual Reality):仮想現実

VRとは、専用のデバイス(VRゴーグル)を通じて、現実世界を仮想世界に置き換える技術のことです。デバイスを装着すると、見える世界全てが仮想世界へと変化します。顔を動かせば視線も移動するため、まるで現実世界のような不思議な体験をすることができるのです。

ゲームとの相性が特に良く、一時期はスマートフォンを使用したVRアプリも人気となりました。近年では、ゲームへの活用はもちろん、スポーツ観戦や手術の練習などにも活用され、メタバースと合わせて注目されています。

メタバースとの違いは、手段か対象かの違いです。VRは仮想世界を体験する手段なのに対して、メタバースは仮想世界そのものを指します。簡単にまとめると、「VRを使ってメタバースを体験する」といった感じです。

VRを使うことで、より臨場感のあるメタバースを体験できますが、メタバースの利用にVRが必ず必要なわけではありません。混在して使われることも多いですが、VRはあくまでも手段の一つであることを知っておきましょう。

AR(Augmented Reality):拡張現実

ARとは、現実世界に仮想世界の情報を付加する技術のことです。専用のデバイス(スマートフォンなど)を通じて現実世界を映すことで、付加されたデジタルコンテンツを見ることができます。

ARも、VR同様にゲームとの相性が良い技術です。近年、社会現象にもなった「ポケモンGo」にも使われた技術であり、現実世界を舞台にデジタルコンテンツが楽しめます。

また、商品紹介やイベントの告知など、マーケティング戦略にも活用可能です。再生するデバイスが必要なものの、より多くのコンテンツを組み込めることから、様々な分野で活用が期待されています。

メタバースとは大きく異なりますが、ARも仮想世界に関係する技術です。そのため、ARも広義のメタバースとして扱われています。

MR(Mixed Reality):複合現実

MRとは、現実世界と仮想世界を融合して表示する技術のことです。VRとARを合わせたような技術であり、現実世界の出来事をセンサーが認識し、仮想世界にデータを反映することで、仮想世界を操作することができます。

「現実世界と仮想世界を重ねる」部分はARと似ていますが、MRは現実世界の情報を仮想空間で再現し、その仮想空間にデジタルコンテンツを付加して表示する部分が異なります。

そのため、MRはAR(とVR)の発展型とも言われ、より滑らかにデジタルコンテンツを活用可能です。

デジタル情報に直接触って操作できる技術は、特に製造・建築・医療の分野で期待されている技術といえるでしょう。

メタバースが注目されている理由

メタバースが注目されている理由としては、より高度なコミュニケーションツールとして活用できるからです。アバター同士とはいえ、直接会って話すことができるため、従来のコミュニケーションツールよりも距離が近く、現実世界のように接することができます。

また、メタバースは新しい市場として注目もされています。ゲームを始め、近年はデジタルコンテンツが増えてきており、そのコンテンツをメタバース内で再現できるからです。音楽イベントやスポーツなどもデジタルコンテンツ化することで、非日常な経験を、身近で体験しやすくなります。

他にも、単純にIT技術が進化したことも挙げられます。従来のVRは表現度や解像度が低く、お世辞にも自然な仮想世界とは言えませんでした。VRゴーグル自体も大きくて重く、実用性は低かったです。

ですが、VR技術が進化したことで、仮想世界の表現も自然なものとなってきました。VRゴーグルも少しずつ小型化し、VRを使ったコンテンツも増えてきています。

デジタル社会に近づく近年。メタバースを始めとしたIT技術の将来性が期待されており、注目する企業も増えているわけです。

製造業における活用例

メタバースを製造業に活用するとどのようなメリットがあるのか。活用例をいくつか紹介します。

  • 製品のプロモーション
  • チーム作業の効率化
  • デジタルツインの活用

製品のプロモーション

一つ目は、製品のプロモーションについての活用例です。メタバース上で商品の説明をライブ配信することで、誰でも簡単に見ることができます

現実世界では難しい派手な表現や演出もメタバース上でなら可能であり、より臨場感溢れる、高い宣伝効果が期待できるでしょう。

また、仮想世界なら製品の質量を無視できます。車や製造機器、建築なら住宅の展示などを、スペースを気にせず自由に展示可能です。

他にも、顧客が展示会場などに直接足を運ぶ必要がなくなり、それによって顧客の増加が見込めるなど、メタバースを会場に選ぶことで、企業と顧客の両方にメリットがあります

チーム作業の効率化

二つ目は、チーム作業のコミュニケーションツールとしての活用例です。チャットや電話で連絡を取り合うよりも、より対面的な感覚で連携を取ることができます。

作業内容を指示する際も、完成品を表示させながら説明可能です。機械の卯木来や商品の流れも表示して説明すれば、より分かりやすく伝達ミスをなくせます

また、作業チームとの連携だけではなく、他拠点のスタッフや顧客との連携もスムーズにします。海外など、相手が遠方にいる場合は気軽に確認するのも難しいですが、メタバース内では、現実の距離は関係ありません。リアルタイムに現在の状況を投影し、急な仕様変更にもすぐ対応できるでしょう。

デジタルツインの活用

三つ目は、デジタルツインを使用した活用例です。デジタルツインを用いてシミュレーションすることで、トラブルを減らすことができます

特に、製造業ではデジタルツインの有用性は大きいです。ライン作業をシミュレーションすることで、問題点や改善点が見えてきます。製造におけるリスクの排除や作業工程の改善につながり、生産性や品質を高められるでしょう。

他にも、デジタルツイン内でトライ&エラーを行えますので、実際に作って試す手間が省けます。改良のたびに製造する手間や費用は必要ありません。

デジタルツイン、強いてはメタバースを導入することで、格段に作業効率の改善につながるのです。

まとめ:製造業だけでなく、今後のデジタル社会を支える注目度の高い技術

以前は、空想の産物だったメタバースですが、IT技術が進んだ近年では身近なものになりつつあります。デジタルツインやVRなど、広義の意味でメタバースといえる技術も多く存在し、すでに活用する企業や業種も少なくはありません

新しいコミュニケーションツールや新規デジタル市場の開拓なども期待されており、今後のデジタル社会を支える、重要な技術といえるでしょう。

良いか悪いかはまだ分かりませんが、メタバースの発展により「現実世界と仮想世界の立場が逆転する」とも言われています。今後どのように変化していくのか、業種に関係なく、注目したいところです。

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