RFIDを導入することで得られるメリットと5つの魅力

RFIDを導入することで得られるメリットと5つの魅力

近年、導入が進むRFIDシステム。昔は製造や物流の現場での活用が主流でしたが、最近では、医療や介護といった、ほかの業種でも見かける機会が増えてきました。

離れた位置からでも読み取れるのはとても便利であり、バーコードによる読み込みから、RFIDによる読み込みに変える企業も少なくありません。

ほかにも、RFIDにはさまざまなメリットがあり、導入することで業務の助けとなります。

RFIDを導入することでどのように変わるのか。導入によるメリットや魅力について紹介します。

RFIDとは

RFIDとは?

RFID(Radio Frequency Identification)とは、非接触型の自動認識技術のことです。専用のRFIDタグとRFIDリーダーがセットになっており、タグから発信される電磁誘導や電波をリーダーが読み込むことで登録されたデータを認識します。

身近な例としては、交通系ICカードが挙げられます。リーダー(改札)にICタグ(カード)をかざすことで情報を読み取り、改札を通れるようになるわけです。

ほかにも、ETCカードやセルフレジなどにも活用されるなど、製造業や物流業以外でも、さまざまな業界や場所での活用が増えつつあります。

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RFID導入の主なメリット

RFIDを導入することで、以下のようなメリットがあります。

業務効率が上がる

一つ目のメリットは、業務効率が上がることです。電波で情報を読み取るため、離れた位置からでも、まとめて情報の読み取りができます。

従来の方式だと、バーコードで一つひとつ読み取る必要がありました。読み取るためにはリーダーを近づける必要もあるなど、時間と手間がかかってしまいます。

ですが、RFIDならバーコードのように一つひとつ読み取る必要がありません。ある程度の広さなら、部屋の入り口からすべてピッキングすることも可能です。

さらに、ICタグをリーダーに近づける必要もないため、素通りさせながらの検査もできます。製品にタグを付けてゲートに通すだけで、簡単に読み取りができるでしょう。

ほかにも、段ボールに入った製品を段ボールを開けずに検品ができるなど、電波を使って読み取ることで、業務効率が大幅に向上します。

労働環境が改善できる

二つ目の魅力は、労働環境が改善されることです。まとめてデータを読み取れるため、バーコードのように一つひとつ読み取る手間がありません。コンベアに流して自動で読み取ることも可能であり、人手が不要になります。

また、安全面も向上します。離れた場所からでも読み取れるため、高所に上る必要がありません。重い物を下ろす必要もないため、作業員の転落や重量物の崩落といったリスクを防ぐことができるのです。

ほかにも、道具や書類をデータ管理することで必要なモノを探す手間が省けるなど、管理状態もわかりやすくなります。

労働環境が改善されれば作業もしやすくなり、結果として業務効率の向上にもつながるでしょう。

RFIDがもたらす具体的なメリット

RFIDを導入することで、どのように変わるのか。より具体的なメリットを紹介します。

入出庫や在庫管理作業の短時間・少人数化

RFIDを導入することで、在庫管理作業が大幅に短縮されます。従来のように一つひとつ段ボールを開けてピッキングしていく必要がなく、段ボールに入ったまま一度にピッキングが可能です。

また、それに伴い人手も不要となります。一人ですべてのピッキングを行うことも可能となり、空いた人材は別の作業に回せるでしょう。

さらに、コンベアに乗せてリーダー搭載のゲートに通せば、完全自動化も可能です。

RFIDの導入によって、入出庫や在庫管理作業における時間短縮と、人員の削減が実現できます。

誤配送防止と業務効率向上

RFIDを導入することで、誤配送を防止できます。RFIDをかざすだけでピッキングができるため、ヒューマンエラーによるピッキングミスを減らせるのです。

誤配送を防止することで、ムダな配送コストを削減するだけではなく、企業としての信用も保つことができます。

ヒューマンエラーが減れば修正やトラッキングするための手間も減らせ、結果的に業務効率も向上するでしょう。

資産管理・安全対策によるセキュリティ強化

RFIDを導入することで、資産管理がしやすくなります。各工程ごとにRFIDで読み取ることでトレーサビリティされた状態となり、それによって製品や道具の行方を追えるようになるのです。

また、フォークリフトの動線にRFIDを設置すれば、フォークリフトの動きを把握することも可能です。今どこで動いているかがわかるため、出会い頭の衝突事故防止対策にもなります。

ほかにも、会社の入口に設置すれば社員カード(ICカード)を持つ者のみが通れるようになるなど、モノの動きを把握したり出入りを制限したりなど、物理的な管理がしやすくなるでしょう。

コスト削減と情報管理の迅速化

RFIDを導入することで、コストを削減できます。少人数化による人件費削減や誤配送防止によるムダな配送コストの削減など、長期で利用するほどその影響は大きくなるでしょう。

また、リアルタイムによる管理も可能です。各工程ごとに読み取ることで製品の流れがわかり、それに伴い工程が見える化します。

工程が見える化すれば、社員全員が流れを把握できるだけではなく、滞留状況なども見えてきます。不要な部分を改善することで作業も効率化され、その結果、さらなる人件費の節約や電気代の節約にもなってくるでしょう。

RFIDによって業務改善されるのはもちろん、それに伴い、コスト削減も期待できるわけです。

RFIDの5つの魅力

導入のメリットなどを紹介しましたが、効果や結果だけ聞いても、RFID自体の特徴はわかりにくいと思います。

そもそもの疑問として、RFIDは従来の認識技術とどのように違うのか。RFIDの魅力について改めて整理してみましょう。

複数のタグを一括で読み取れる

一つ目の魅力は、複数のタグを一度に読み取れることです。『RFID導入のメリット』などでも触れましたが、RFIDは電波でデータを読み取るため、範囲内にあるICタブを一括で読み取ることができます。

バーコードを始めとした従来の識別機は一度に一つのタグしか読み込めないのに対して、電波の範囲内にあれば複数のタグを一括で読み取れることが、RFIDの魅力といえます。

離れた場所や段ボールの外からでも読み取れる

二つ目の魅力は、離れた場所からでも読み取れることです。RFIDは電波でデータを読み取るため、電波が届く位置なら離れていても読み取ることができます。

また、電波を完全に遮らなければ、途中にモノがあっても大丈夫です。そのため、段ボールに入ったままや、直線状に重なった状態でも、問題なく読み取れます。

ただ、金属は電波を反射するため、金属製品に阻まれると読み取れません。金属製品にRFIDタグを取り付けた場合、金属に電波が反射して読み取れないこともあるため注意が必要です。

タグの表面が汚れていても読み取れる

三つ目の魅力は、タグの表面が汚れていても読み取れることです。読み取りは電波を介して行われますので、タグが汚れていても電波が届けば問題なく使用できます。

従来の認識技術は、表面の識別子を読み取るモノが一般的でした。そのため、バーコードやQRコードは、表面が汚れていたり指で隠したりしてしまうと読み取ることができません。

タグの表面を汚してしまっても問題ないのが、RFIDの魅力といえます。

リアルタイムのトラッキング

四つ目の魅力は、リアルタイムで情報管理ができることです。RFIDなら、バーコードのように一つひとつ読み取る必要がなく、流れ作業に合わせて読み取れます。読み取った情報は管理データとしてまとめられるため、トラブルが生じた際にすぐトラッキングがしやすいのです。

在庫状況やサプライチェーンが見える化されることで、業務の効率が向上します。

タグのデータを書き換えられる

五つ目の魅力は、データの書き換えもできることです。RFIDは、表面に記された識別子ではなくタブに封入されたICチップを読み取るため、内容データの書き換えができます。

もちろん、書き換えには書き換え専用のRFIDリーダライタなどが必要ではありますが、バーコードのように新しい識別子を作る必要がなく、デジタル操作によって簡単に修正ができるのです。

情報の更新や修正が簡単にできることが、RFIDの魅力といえます。

RFID導入のデメリット

導入によって便利になるRFIDですが、課題となるデメリットも存在します。導入に失敗しないためにも、デメリットについても知っておいてください。

導入コストが大きい

一つ目のデメリットは、導入コストがかかることです。RFIDで管理するためにはすべての製品にRFIDタグを付ける必要があり、管理する製品が多いほどコストがかかってしまいます。

また、RFIDを活用するためにはシステムの変更も必要です。リーダーとタグだけを用意しても、データ管理するための環境ができないと意味がありません。新しい管理システムを導入するのはもちろん、互換性によっては、従来のシステムすべてを変更する必要もあるでしょう。

とはいえ、昔と比べ技術は進歩しており、年々RFIDタグは安くなっています。昔はタグ1個1,000円はしていましたが、現在はタグ1個10円以下で購入可能です。

将来的にはもっと安くなると考えられており、導入のハードルは年々下がりつつあります。

通信環境に左右される

二つ目のデメリットは、環境によっては上手く使えない場合があることです。RFIDは電波を使用してデータ通信を行いますので、粉塵や雨など、電波を阻害する要素があると正しく読み取れません。

そのため、RFIDは野外での使用と相性が悪いです。室内でも、粉塵が舞うような場所や、電波を反射する金属が近くにある場所だと、使うのが難しいといえるでしょう。

RFIDを活用するためには、電波環境が整っていることが前提条件となります。

まとめ:RFIDは業務の効率を上げるための魅力がたくさん

RFIDを導入することで、業務の効率が大幅に向上します。導入方法によっては自動で読み取ることも可能であり、人材や人件費の節約にもなるでしょう。

また、社員の負担軽減と安全性向上効果も期待できます。社員のモチベーションを上げるためには、労働環境の改善はとても重要です。

ほかにも、トラッキングによる原因究明や作業改善、セキュリティ強化による安全性や気密性の向上など、ピッキング以外の使い方もできます。

導入コストの高さや通信環境による問題もありますが、研究が進むにつれ改善されつつあります。

製造業や物流業はもちろん、それ以外の業界の企業も、ぜひRFIDを導入して業務改善を行ってみてください。

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