新QC7つ道具「系統図法」の解説と活用方法

新QC7つ道具「系統図法」の解説と活用方法

新QC7つ道具「系統図法」の解説と活用方法

手段を決める際、重要になるのはさまざまな意見を参考にすることです。意見が少ないと考えも偏ってしまい、その結果、手段も限られてしまいます。より適切な手段を模索するためには、話し合いによって考え方を広げることが大切です。

系統図法は、そんな手段を話し合う際におすすめされるフレームワークです。全体像を図にまとめることでわかりやすくし、チームで話し合いやすくしてくれます。

整理して物事を考えることで、より最適な手段を決められるでしょう。

系統図法とはどのようなフレームワークなのか。活用例や手順など、系統図法について解説します。

新QC7つ道具の一つ「系統図法」

系統図法とは、どのようなフレームワークなのか。活用例と合わせて確認してみてください。

系統図法とは?

系統図法とは?

系統図法とは、目的に対する手段を系統図でまとめるフレームワークです。二次手段・三次手段と系統図を広げていくことで、目標達成に必要となる手段を考察していきます。

目的に対しての手段は、系統図法を使わなくても簡単に考えつくと思います。「生産数を上げたい」といった目的に対して、「人数を増やして生産ラインを増やす」考えは、誰でもすぐに思いつくでしょう。

ですが、すぐに思いつくからこそ、ほかの手段を見逃してしまいます。生産数を上げたいならほかにも「生産手順を変える」「機械を導入する」「個人の技術を上げる」などもありますが、すぐに手段が発見されている状態で別の手段を考えるのは難しいです。

また、「人数を増やす」手段を思いついたら、今度は「どのように人数を増やすか」を考えなければなりません。さらに、人数を増やす手段を思いついたらそれを実行するための手段を考える必要もあり、次第に考えが混線してしまいます。

系統図法は、そのような手段に対する手段を、図でまとめわかりやすくしてくれます。さらに、図でまとめることで違った視点も持てるようになり、新しい考えも生まれてきます。

目的に対して手段を追及するためにも、系統図法の活用はとても大切です。

系統図法の製造業での活用例

製造業において、系統図法は今後の方針を検討する際に活用されます。「生産性を向上させるためには」「事故の件数を減らすには」といったように、課題に対して系統図法を使用し、系統図を広げていくことで、今後の施策を決めていきます。

ほかにも、図でまとめてわかりやすくすることから、チームで認識を共有する際にも活用できます。系統図法をもとに話し合うことで、全体像がわかりやすくなり、スムーズに話が進むでしょう。

テーマを問わずさまざまな改善案を検討する際に、系統図法は活用できます。

新QC7つ道具(N7)とは?

新QC7つ道具とは、言語データを図や表にまとめ、品質改善などの問題解決を目指す7つのフレームワークのことです。

従来のQC7つ道具とは異なり、新QC7つ道具では数値化が難しいデータも言語データとしてまとめることができます。そのことから、製造業以外の業界でも、問題解決の手段として新QC7つ道具が活用されています。

系統図法も新QC7つ道具の一つであり、系統図法によって今後の方針を決めることが可能です。

ほかにも6種類のフレームワークが存在し、目的に合わせて使い分けることで、わかりやすく効果的な対策を決めることができます。

系統図法以外の新QC7つ道具

新QC7つ道具には、系統図法以外にも以下のフレームワークがあります。

  • 連関図法:要因を矢印で結ぶことで関連性を明確にする手法
  • 親和図法:親和性のある言語データをまとめ、グループを作ることで問題解決を目指す手法
  • マトリックス図法:2つの要素を行と列でまとめ(表)、関連性を交点でまとめることで問題解決を目指す手法
  • アローダイヤグラム法:作成手順を矢印で結び、全体の流れを管理する手法
  • PDPC法:工程ごとの手順と解決案を図式化し、矢印で結ぶことで目標達成を目指す手法
  • マトリックスデータ解析法:2つの要素を縦軸と横軸でまとめ(グラフ)、交点に印を付けていくことで特徴を分析する手法

言語データを図にまとめる部分は同じですが、まとめ方や目的はそれぞれ違います。効果的な答えを見つけるためには、「何を調べたいか」を明確にし、目標に合ったフレームワークを選ぶことが大切です。

連関図法や親和図法との違い

連関図法や親和図法とは、主に求めたい内容が異なります。

連関図法を使用する主な目的は、要因同士の関連性を調べたいからです。それぞれの要因を矢印で結んでいくことで、全体像の把握や新しい関連性が見つかります。

また、親和図法を使用する主な目的は、課題を明確にしたいからです。似たような要因をグループでまとめることで関連する問題を見つけ出し、取り組むべき課題とします。

一方で、系統図法を使用する主な目的は、テーマに対して明確な対策を挙げたいからです。目的と手段の関係性を深堀していくことで、問題解決に対する有効的な手段が見つかります。

大まかに整理すると、全体像を把握し影響を与える要因を調べたい場合は連関図法を、要因はわかるけど何が問題となっているかを調べたい場合は親和図法を、問題がわかっておりその対策を考えたい場合は系統図法を使用する、といったように使い分けられます。

フレームワークが異なれば、求められる内容も異なります。適さないフレームワークを使用しても目的は達成できませんので、フレームワークを活用する際は「何を求めたいのか」を明確にしてください。

系統図法と相性の良いマトリックス図法

系統図法は、特に新QC7つ道具の一つであるマトリックス図法と相性がいいです。それぞれの長所を活かしやすく、組み合わせて問題解決を目指せます。

たとえば、マトリックス図法の横軸(行の項目)には系統図法で導き出した手段を当てはめ、縦軸(列の項目)にはコストや実施時間などを割り当てます。そして、それぞれの項目を点数で評価し、総合評価としてまとめます。

これにより、それぞれの手段に対する評価が数値化され、最も点数が良い手段が、最も費用対効果に優れた手段であることがわかります。

あとは評価点数の高い手段から実施していけばよく、必要な施策を立てやすくなるでしょう。

必ずしもセットで使う必要はありませんが、選ぶべき手段に迷ったら、マトリックス図法も活用してみてください。

系統図法の具体的な手順

系統図法の使い方は、以下のように行っていきます。

達成したい目的・テーマを決定する

まずは、達成したい目的やテーマを決めることから始めます。「生産率を上げたい」「事故件数を減らしたい」など、実施する目的を挙げてください。

また、挙げる目標は具体的に設定します。あやふやな内容だと、手段が枝分かれしすぎてしまい収集がつかなくなります。最終的にどれを実施すればいいのかがわからなくなり、意味のない結果となってしまうでしょう。

目的が膨大になりそうなら特に気になる部分を挙げるなど、細かい検討ができるよう目的は限定してください。

上位の目的、前提条件、制約条件を設定する

テーマを決めたら、、前提条件や制約条件を決めていきます。「工事(予算)不要で実施できること」「作業員自らができること」など、挙げる手段について決めていきます。

始めに条件を設定する理由は、チームで認識を合わせるためです。「工事不要で実施できること」を決めておかないと、手段を話し合う際に「工場の改修」を挙げてしまいます。

もちろん、手段が挙がるたびに却下することもできますが、それだと議論のテンポが悪くなります。余計な案を出さないためにも、始めに認識をすり合わせることが大切です。

一次手段~三次・四次手段を考える

条件を決めたら、一次手段を考えていきます。「作業効率を上げる」「作業人数を増やす」など、設定した条件の範囲内で、手段を挙げていってください。

一次手段が出揃ったら、次は一次手段を目的に設定し直し、二次手段を考えていきます。「マニュアルを導入して技術向上を目指す」「動線を変える」など、一次手段のときと同じように挙げてください。

そして、二次手段が出揃ったら二次手段を目標に設定して三次手段の模索を、三次手段が出揃ったら四次手段を考えるといったように、段々と手段を具体的にし手段を分解していきます。

手段を枝分かれさせていき、手段が思いつかなくなれば系統図は完成です。

三次・四次手段から目的に戻って確認する

手段が出揃ったら、今度は目標に戻って内容を確認します。その際、目的と手段のつながりに問題があるようなら、修正や削除を行ってください。

また、視点を変えることで、別の手段が見つかる場合もあります。そのような場合は、新たに手段を追加して、系統図を完成させてください。

具体的な改善行動を実施していく

系統図に問題がなさそうなら、挙げた手段の中から具体的な改善行動を決めていきます。四次手段(最終的な手段)の中から、実行できそうな手段を決め、今後の方針とするために文章化してください。

また、選ばなかった手段も、目的を達成するために必要となる手段です。将来的に実施できるよう記録しておきましょう。

系統図法を作る際のポイント

系統図法を作成する際は、以下のポイントを意識すると、わかりやすく問題も見つけやすくなります。

系統図法に慣れるまでは、特に意識してみてください。

1つの目的に対して、2つ以上の手段を考えよう

系統図法を作成する際は、2つ以上の手段を考えるようにしてください。1つしか手段が挙がらないと、目的と手段の関係性が固定され、できる手段が狭まってしまいます。

系統図法では、新しい手段を模索するのも目的の一つです。1つしか思いつかないような場合でも、チームで話し合いながら2つ以上考えてみてください。

もちろん、3つ以上考えられればなお良いです。固定観念に囚われず、多少突拍子もない手段でも挙げてみましょう。

必要に応じて制約条件を設ける

系統図法を作成する際は、必要に応じて制約条件を設けてください。制限を設けないと手段が広がりすぎてしまい、最終的に収集がつかなくなります。

チームで認識を統一し、できない手段を挙げないためにも、始めにチーム全体で確認してください。

手段は一度に細かく分けすぎない

系統図法を作成する際は、一度に細かく追及し過ぎないようにしてください。細かく追求しすぎると手段が狭まってしまい、網羅性を見失ってしまいます。

さまざまな視点で手段を網羅するためにも、漠然とした手段を挙げていき、段々と具体的な手段へと近づけていってください。

文章化までしっかりとまとめる

系統図法を作成する際は、文章化までしっかり行ってください。系統図はあくまでも目的と手段をまとめただけの図解であり、完成しただけでは、必要とする施策は決まってきません。

実施する手段を決めるのはもちろん、「その手段をどのように行っていくのか」「実施する際の注意点はなにか」など、具体的な問題解決に向けた話し合いが必要です。

ブレインストーミングで要因抽出

系統図法を作成する際は、ブレインストーミング方式を意識して話し合ってください。自由な発言を意識することで、違った意見を参考にできます。

ブレインストーミングとは、自由な発言をすることで新しい発想やアイデアの昇華を目指す方法のことです。ほかの人の発言を聞くことで刺激され、それによって、考えがブラッシュアップしていきます。

ブレインストーミングで大切なのは、発言に制限を設けないことです。自由に発言することで、思いがけない考えを聞くことができます。発言しやすい環境を整えるためにも、相手を否定したりせず、思いついたことをどんどん挙げるよう促してください。

まとめ:目的を達成するための手段が明確でないときに活用しよう

系統図法は、目的に対して手段を模索するためのフレームワークです。手段を図でまとめ、段々と枝分かれさせながら考えていくことで、具体的な対策内容が見えてきます。

一見すると1つしか手段が見つからない状態でも、図でまとめることで新しい手段が見えてくることがあります。チームで手段を話し合うときには、系統図法で全体像をまとめ、最適な手段を模索してみるといいでしょう。

ほかにも、問題解決を目的としたフレームワークはいろいろあります。それぞれの状況に応じて使い分け、効果的な問題解決を目指してください。

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